2024年からスタートする新NISA。
今回はそんな新NISAの最新情報を、やさしいお金の専門家・横川楓先生に伺いました。
現行NISA(つみたてNISA/一般NISA)との違いから、新NISAへ向けての準備と、注意点について解説します。
既にNISAを活用している人も、これから活用を考えている方も要チェックです!
2024年から始まる「新NISA」を、やさしいお金の専門家・横川楓さんが徹底解説!
貯金の次はつみたてNISAに挑戦! やさしいお金の専門家・横川楓先生の投資の授業②
横川楓さん
やさしいお金の専門家・金融教育活動家
一般社団法人日本金融教育推進協会 代表理事
明治大学法学部卒、その後同大学院へ進学。
24歳で経営学修士(MBA)を取得。
実家は会計事務所を経営。
同年代の友人たちのお金に対する意識と、将来の資産形成、所得格差、年金問題、増税など、これからの日本を担う世代に振りかかるさまざまなお金の問題との乖離に疑問を持ち、お金の知識の啓蒙活動を開始。
ファイナンシャルプランナー(AFP)や、SDGs検定、マネーマネジメント検定等の資格を取得し、2022年1月に一般社団法人日本金融教育推進協会を設立。
同法人の代表理事を務める。
横川さんのインタビュー記事はこちらから!
「収入=給与」に縛られない。経済評論家・横川楓さんに聞く、独立・起業に必要な2つの条件
庵(いおり)
イラストレーター
都内に住む27歳のフリーランスイラストレーター。
学生時代から絵を描くことが好きで、数年前から副業としてイラストレーターの仕事を受けるようになった。
近年は副業での収入が本業の稼ぎより多くなったことから、独立を決意する。
「新NISA」が2024年からスタート! 現行NISA(つみたてNISA/一般NISA)からの変更点を解説

こんにちは、庵ちゃん。
今回のテーマは、久しぶりに「新NISA」について。
概要については以前にも解説したんだけど、今回は注意点や準備に向けたお話を解説していくよ。

よろしくお願いします! でも新NISAについて、結構忘れちゃってます……。

うん、じゃあまずは「新NISA」の概要について、簡単に復習していこう。
以下の2つの表を見比べてみて。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html

新NISAと現行NISA(つみたてNISA/一般NISA)の特徴がまとめられていますね。

この中から大きく変わるところをピックアップしていくよ。
・年間投資枠

まずは年間の投資枠について。
現行のつみたてNISAだと年間40万円まで、一般NISAだと120万円までの投資枠だったのが、新NISAではつみたて投資枠では年間120万円まで、成長投資枠では240万円まで増額されたんだ。
さらに従来ではつみたてNISAか一般NISAのどちらかを選ばないといけなかった(併用できなかった)んだけど、新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠の両方を併用できるようになったのも、大きな変更点だね。

つまり新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の2つを最大限活用すれば、360万円まで投資することができるんですね!
・非課税保有期間

NISAという制度の魅力はなんといっても、利益が非課税になること(通常、投資では利益を確定して現金化する際に、利益の20%を税金として納める必要がある)。
ただし利益が非課税となるのは、つみたてNISAの場合は20年、一般NISAの場合は5年と、あくまで期限つきだったんだ。
新NISAでは、その非課税保有期間が無期限になったよ。

期限がなくなったのは大きな変更点ですね!
・非課税保有限度額

そして非課税となるには期限だけでなく、もちろん金額の上限もあったんだ。
非課税保有期間と違って、こっちは流石に無制限、とまではいかないけれど、つみたてNISAでは最大800万円まで、一般NISAでは600万円までとされていた限度額が、新NISAでは1800万円(そのうち成長投資枠は1200万円)まで増額されたんだ。
その他、より詳細な情報を復習したい場合は、以前新NISAについて解説した回があるから見てみてね。
2024年から始まる「新NISA」を、やさしいお金の専門家・横川楓さんが徹底解説!
新NISAへの準備と注意点

だんだんと新NISAについて思い出してきました……! 新NISAへ必要な準備と注意点を教えてください。

うん、いくつかあるから順番に解説していくね。
・新NISA売却後の年間投資枠再利用について

さっき解説した、1800万円までの非課税保有限度額について。
仮に新NISAで1800万円満額まで投資していたとしても、いくらか(あるいは満額)売却して利益を得た場合、上限1800万円(そのうち成長投資枠は1200万円)までの差額分は、翌年以降再び購入して、非課税枠を再利用することができるようになったんだ。
・新NISAを始めるには新NISA用の証券口座が必須!

現行のつみたてNISAと一般NISAの時同様、新NISAを始めるには新NISA用の証券口座の開設が必須なんだ。
ちなみに既につみたてNISA、あるいは一般NISAを運用して証券口座を持ってる人は、証券会社で新NISA用の口座が開設されるから特に手続きは必要ないよ。
新NISAを機に新たに口座を作ろうと考える人は、今のうちに手続きをして準備をしておこう!
・現行NISAから、証券会社を変更したい人

ちなみに今、既につみたてNISA/一般NISAを運用している人で、新NISAから証券会社を変えたいと考えている人は、2023年10月1日から証券会社変更の手続きがスタートできるよ。
来年の新NISAのスタートのタイミングで証券会社を変えたい人は、年内に申請の手続きをしなければいけないから、留意しておこう。

証券会社の変更という形ではなく、別の新NISAの口座を開設して、両方の証券会社の口座で新NISAを運用することはできないんでしょうか?

証券口座を別の会社で複数作ることはできるんだけど、NISA用の口座は1人1つしか持つことができないから、その点は注意してね。
・現行NISAから新NISAへのロールオーバーはできない

名前が似ているせいもあって、よく勘違いしている人が多いんだけど、現行NISA(つみたてNISA/一般NISA)と新NISAは全く違う制度なんだ。
だから現行NISAで投資していたお金が、新NISAに引き継がれることはないから、その点はよく注意してね。

新NISAは新NISAで、あくまで別物、ということでしょうか?

その通り。
だからここで鍵になってくるのが、非課税保有期間。
新NISA施行後も、これまでつみたてNISAを運用していた人は、運用開始した時から20年、一般NISAを運用していた人は5年の非課税保有期間が変わらず適用される。

なるほど……!
「新NISAが非課税保有期間が無期限だから、今までのつみたてNISA/一般NISAのお金も無制限になる」と勘違いしてしまう人は、多そうですね……。

そうなんだ。
だからちゃんとつみたてNISAなら20年以内、一般NISAなら5年以内に利益を確定しないと、せっかくNISAを活用しているのに利益の20%を税金として取られちゃうから注意が必要だね。
もう現行NISAを活用しているよという人も、来年から新NISAを活用してみようという人も、このあたりを注意してぜひ上手にNISAを使ってくださいね。

横川先生、今回もありがとうございました!
構成・文・撮影=内藤 祐介
イラスト=ram