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資金調達時に注意したい詐欺!よくあるケースや見極め方を解説

独立ノウハウ・お役立ち

資金調達にはさまざまな方法があり、仕組みや手続きが複雑なものもあります。これを悪用した詐欺も増えつつあり、たくさんの被害が報告されています。資金調達を考えるような場面では、冷静さを失っていたり、極限まで不安が高まっていたりすることがほとんどです。まさに、詐欺に遭いやすい心理状態といえるでしょう。本記事では資金調達時に融資などを装った詐欺にはどんなものがあるのか、特徴や気を付けるべきことを解説します。

資金調達時に被害に遭いやすい詐欺にはどんなものがある?

最近、資金調達をしようとしている人に融資などを装った詐欺の被害が増えています。「自分は大丈夫」と思っていても、資金調達が必要になるのは緊迫した場面です。普段は詐欺だと気付けるような内容でも、焦りや不安から誤った判断を下してしまうかもしれません。

詐欺に遭わないようにするために、実際の詐欺がどんな手口で行われているのか知っておきましょう。資金調達時に融資を装った詐欺のよくあるパターンを3つ紹介します。

【資金調達時に被害に遭いやすい詐欺のよくあるパターン】
・融資を装った詐欺
・ファクタリングを装った詐欺
・書類を偽装させる詐欺

融資を装った詐欺

資金調達時に被害に遭いやすい詐欺の1つ目は、「融資を装ったパターン」です。このパターンでは、条件付きでお金を貸すと言いながら、実際には振り込みをしなかったり、法外な利息を騙し取ったりします。

「被害者にブランド品を買わせ、それを転売した利益で融資をする」「ある程度のお金を出させ、それを運用して増やした分を渡す」などのケースがよく見られます。中にはそのためのお金を金融機関から借りさせ、元手や手数料と称して騙し取るケースもあります。

ファクタリングを装った詐欺

資金調達時に被害に遭いやすい詐欺の2つ目は、「ファクタリングを装った詐欺」です。ファクタリングとは、売掛債権(請求書)を売却し、本来の入金日より早く資金調達する方法です。「請求金額の前借り」と思えば、イメージしやすいでしょう。

ファクタリングで調達した資金は、本来の支払日に一括で返します。一見「借り入れ」ですが、実態は債権の売却であり、あまり広く知られていない方法です。これを悪用し、法外な手数料を騙し取る詐欺が発生しています。

なお、ファクタリングは事業主のみが利用できる方法です。「給料債権の買い取り」を謳い、開業していない個人を対象にした業者は、詐欺グループだと思ってください。

書類を偽造する詐欺

資金調達時に被害に遭いやすい詐欺の3つ目は、「書類を偽造する詐欺」です。これは単体で行われるというより、「融資を装った詐欺」と併用されるケースが多いです。

例えば200万円の資金調達が必要な人がいたとしましょう。この人に「金融機関から100万円を借りて、私たちに振り込んでくれたら、200万円をお渡します。その後、私たちは受け取ったお金を運用により増やし、あなたに返します」などといい、お金を騙し取ります。

ただ、金融機関からお金を借りるには、それなりの返済能力が必要です。このパターンでは、金融機関の審査をクリアするために、実際よりも高い返済能力があると見せかけて、源泉徴収票を偽造します。

被害者も書類の偽装に関わり、加害者と共謀して金融機関を騙していることになるため、警察に通報できず泣き寝入りすることが多いです。

【見極めよう】資金調達時に被害に遭いやすい詐欺の特徴

資金調達を装った詐欺が急増!よくあるケースや見極め方を解説

資金調達時に被害に遭いやすい詐欺には、紹介したもの以外にもさまざまなパターンがあります。詐欺の手口はどんどん巧妙になるため、すべてのパターンを把握するのは不可能でしょう。

そこで役立つのが、「詐欺の特徴」を覚えておくことです。資金調達時に被害に遭いやすい詐欺の特徴を3つ紹介するので、頭の片隅に入れておきましょう。

【資金調達時に被害に遭いやすい詐欺の特徴】
・SNSで希望者を募っている
・手数料や利息が極端に高い
・条件があまりにも良い

SNSで希望者を募っている

「SNSで資金調達の希望者を募っている」は、詐欺の可能性が高いです。特に「融資を装った詐欺」は、SNSを入り口とするケースが多数確認されています。

ただ、SNSに金融機関の広告が出ていることもあるでしょう。詐欺と本物の広告は、どう見分ければいいのでしょうか。

確実ではありませんが、少なくともSNSからそのまま申し込めるものや、SNSからLINEやアプリに誘導されるものは、詐欺だと思った方が安全です。広告であれば会社ホームページや広告ページに遷移します。そこから会社情報を調べれば、より確実でしょう。

手数料や利息が極端に高い

融資やファクタリングを謳いながら、「手数料や利息が極端に高い」ものは、まず詐欺だと思うべきでしょう。「極端に高い」とは、融資の年利やファクタリングの手数料が20%を超える場合です。

融資、つまり借り入れの場合、年利が20%を越えることはありません。上限金利が法律で定められているからです(2022年10月時点)。法律では、利用者の金利負担の軽減を図るため、借入れの上限金利は、借入金額に応じて年15%~20%となっています。

ファクタリングの手数料の相場も2社間ファクタリングなのか3社間ファクタリングなのかで差があるものの1%~30%ほどといわれているため、超えるなら詐欺を疑った方がいいでしょう。仮に詐欺でなくとも、相場の範囲内の会社を選ぶべきです。2社間ファクタリングよりも3社間ファクタリングの方が未回収リスクは、かなり低くなるので、手数料が低く設定されています。また金額が大きくなるほど、手数料が低くなります。

貸金業法のキホン(金融庁)

条件があまりにも良い

「審査不要」「1%未満など、金利が極端に低い」などの条件の良すぎる謳い文句は、詐欺だと思った方がいいでしょう。まず、審査なしでお金を貸してくれる金融機関などありません。

金利が極端に低いのも、そもそも貸す気がない(騙し取るつもり)ケースや、契約直前でほかの名目でお金を取るケースが多いです。

金融機関が融資をするのは、利息による利益を得るためです。利息がほとんど出ないようなものは、商売として成り立ちません。疑ってかかるべきでしょう。

資金調達を装った詐欺に遭わないために

とにかくお金がなくて藁にもすがりたいとき、冷静な判断を下すのは難しいです。資金調達を装った詐欺のパターンや特徴を把握していても、それらを「今、目の前にある話」に当てはめるのは難しいかもしれません。

冷静に考えられないなら、客観的な指標で判断しましょう。資金調達と、それを装った詐欺を見分けるための「調べ方」を3つ紹介します。

【詐欺を見分けるために調べるべきこと】
・ブラウザとSNSで調べる
・企業情報や契約書を確認する
・貸金業の登録を確認する

ブラウザとSNSで調べる

資金調達を装った詐欺を見分ける際、最初に試したいのが「ブラウザとSNSで調べる」ことです。会社名や代表者の名前、電話番号などで検索したり、SNS(特にTwitter)で「#詐欺」「#融資」で調べたりして、被害報告がないかチェックします。

詐欺グループは会社名や代表者名をこまめに変えているはずなので、被害報告が出てこなくても安心しないでください。ただ、名前を変える前に被害報告が上がっていれば、早い段階で詐欺だと気付けるでしょう。

企業情報や契約書を確認する

資金調達を装った詐欺を見分けるなら、「企業情報や契約書の内容」は必ず確認してください。まずは、その会社のホームページはあるのか、実在する企業なのかを調べます。会社所在地は実在する場所なのか、本当にそこに会社があるのかも確認しましょう。

契約書の内容もよく確認し、おかしな点がないか探してください。特に、金利や手数料、それに類する名目で30%を超えるお金が取られるなら、詐欺の可能性が高いです。

「そもそも契約書がない」というケースは、確実に詐欺だと思った方がいいでしょう。

貸金業の登録を確認する

融資による資金調達にしか使えませんが、「貸金業の登録を確認する」のが確実です。融資をはじめとする「貸金業」をするためには、都道府県に届け出し、貸金業登録をしなければなりません。

貸金業登録をした事業者は、金融庁の検索サービスで調べられます。名前の載っていない業者が融資をしようとしていたら、それは違法行為であり、間違いなく詐欺です。

業者の会社ホームページには「貸金業登録番号」が載っているはずなので、その番号で検索してください。

登録貸金業者情報検索サービス

資金調達時に詐欺に遭ってしまったら

資金調達を装った詐欺が急増!よくあるケースや見極め方を解説

どんなに気を付けていても、詐欺に遭ってしまう可能性はなくせません。もしも資金調達をする際に詐欺に遭ってしまったら、早めに通報したり相談したりすることが大切です。

お金が戻ってくることはほぼありませんが、詐欺グループをのさばらせておいてはいけません。再び詐欺に遭ったり、自分まで罪に問われたりしないよう、適切な機関に相談しましょう。

警察に通報する

詐欺被害に遭ったら、まずは警察に通報してください。警察に行き、被害届を出さなければ、捜査は行われません。確実に詐欺だとわかっているなら通報を、怪しいと思うだけでも相談をしてください。

たとえ犯人が捕まっても、お金が戻ってくることはないでしょう。しかし、泣き寝入りしては、被害者が増え続けたり、自分も被害額が増えてしまったりすることもあります。

無料窓口に相談する

警察に行けない事情があるなら、まずは国民生活センターや消費者ホットラインに相談してみましょう。被害報告があれば、相談することで「詐欺グループだった」とわかることもあります。解決に向けたアドバイスや、今すべきことを教えてくれるでしょう。

「書類偽造に関わり、自分も加害者の立場になってしまった」ような場合でも、それを隠したり、警察に行くことを避けたりはしないでください。通報されて罪に問われてしまう前に、早めに、正直に相談すべきです。

国民生活センター 
消費者ホットライン(消費者庁) 

地域の法律相談窓口を利用する

無料窓口に相談した結果、地域の法律相談窓口を進められることもあるでしょう。各都道府県には無料で利用できる法律相談窓口があり、1人1回利用できます。可能性は低いですが、返金請求の相談もできるでしょう。

「自分だけは大丈夫」と思っていると詐欺に遭います

詐欺の手口は増え続け、どんどん巧妙になっています。特に資金調達時の詐欺は、「被害者が冷静さを失っていること」「自分で業者を選び、自分から連絡や相談を持ちかけていること」から、騙されやすいといえます。

「自分だけは大丈夫」と思っている人ほど、詐欺に遭いやすいです。資金調達を装った詐欺にはどんなものがあり、それぞれどんな特徴なのか、事業主は頭にしっかり入れておきましょう。

<文/赤塚元基>

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