自分の人生、このままじゃ終われない…。何か新しいことを始めたい!
そう思って1人で考え込んでいても、なかなか次にチャレンジするべきことは見えてこないものです。
いっそ考えるより先に行動を起こし、たくさんの人と会ってみることで人生が前に進んでいくこともあるのではないでしょうか?
今回お話を伺ったのは、車椅子トラベラー・三代達也さん。
三代さんは18歳のときにバイク事故に遭い、車椅子生活に。最初は深く絶望されたということですが、さまざまな出会いをきっかけにチャレンジを積み重ね、29歳のときになんと車椅子で世界一周を成し遂げました。
なぜ三代さんは失意の底から、人生を前に進めることができたのでしょうか? 怪我をしてから世界一周を達成するまでのお話を聞きました。
車椅子トラベラー・三代達也
1988年生まれ。18歳の頃バイク事故で首の骨を折り頸髄を損傷、両手両足に麻痺が残り車椅子生活を余儀無くされる。 会社員の時に同僚の勧めでハワイに1人で旅行し、世界観が広がる。その後海外の暮らしに憧れを持ちロサンゼルスやオーストラリアに短期移住。帰国後会社員として再度働き、お金を貯めてから世界一周を決意。約9ヵ月間23カ国42都市以上を回り、世界一周達成。
Twitter : @saitoumokichi
Instagram :https://www.instagram.com/wheelchair_traveler_miyo/
Blog :『Wheelchair Traveler Miyo』 http://wheelchair-worldtrip.com/
18歳で突然、車椅子生活へ。失意の底で背中を押してくれた「師匠」の存在
ー2018年5月に車椅子トラベラーとして世界一周を成し遂げた三代達也さん。今から12年前に事故に遭われたそうですが、どのような状況だったのでしょうか。
バイトの帰り道でバイクの運転中、車と正面衝突してしまいました。ふくらはぎが千切れかけていたり、目の中でコンタクトがバリバリに破れていたり、全身ひどい怪我でしたが、最もショックを受けたのは、体をほとんど動かせないことでした。僕は頸髄損傷という、四肢麻痺が残る障害を背負うことになったんです。
リハビリで若干の運動機能は回復しましたが、怪我をする前のようには戻れず。「こんな体で、これからどうやって生きていけばいいんだろう?」と、将来への不安に押し潰されそうでした。
ー何をきっかけに乗り越えられたのですか?
僕と同じ病室に、同じ障害を持つ人がいました。その人は食事の時間、僕が本当は自力で食堂に行けるのに、怠けて看護師さんに食事を持ってきてもらっているのを見て、「お前甘ったれてんなよ」と繰り返し言うんです。
最初の頃はイラっとしたのですが、「見ず知らずの僕にこんなに熱心に声をかけてくるなんて、どんな人なんだろう?」と思い、一度ちゃんと話してみると、意外に気が合うことが分かりました。父親と年齢が近かったこともあり、その人のことは「師匠」と呼んでいます(笑)
ーそのあと、師匠とはどんなやり取りをしたのですか?
僕が「絶対に無理!」と思うことを、師匠は「できるからやってみたら?」と言うんです。
例えば、帰省するときは「親に車で迎えにきてもらうんじゃなくて、1人で電車で帰ってみたら?」とか。施設の退所後は「実家に戻るんじゃなくて、東京で1人暮らしをしてみたら?」とか。
こんな体だし、退所後はDVDでも見ながら過ごすんだろうなと思ってたんです。でもそう言うと、「お前は本当にそれでいいのか? お前の人生はこれからなんだぞ?」と熱く語ってきて。
最初はそんな無茶な…と思ったのですが、背中を押されるがままにやってみると、本当に電車で1人で実家に帰れたし、退所後は東京で1人暮らしもできたんです。「自分にはできっこない」と思い込んでいたことは、チャレンジすればできることなんだと気づかされました。