ハウスクリーニングの独立起業に失敗するのは、フランチャイズ本部選びの失敗や本部任せの運営が原因です。ロイヤリティその他の違いや得られるサポートの違いを比較し、収益性をシミュレートして自分が描くターゲット顧客や働き方に合う本部を見つけましょう。事業を成功させて収入を上げるために最も大切なことは、「本部任せにせず自分から答えを見つけにいく」と意識して行動し続けることです。
ハウスクリーニングのフランチャイズ加盟したときの収入
各フランチャイズの加盟店の収入・支出モデルは下表のとおりです。
各フランチャイズの加盟オーナーの所得実績
おそうじ本舗 | 日本おそうじ代行 | 日本ハウスクリーニング 協会 | 株式会社ダスキン | おそうじ革命 | |
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加盟店情報 | 2017年3月開業 東京都50代男性 | 2019年10月開業 兵庫県30代男性 | 2015年6月開業 東京都50代男性 | 2020年4月開業 大阪府30代男性 | 2019年7月開業 神奈川県30代男性 |
自己資金額 | 400万円 | 53.9万円 | 80万円 | 274.2万円 | 150万円 |
年間所得額 | 1,400万円 | 1,400万円 | 790万円 | 432万円 | 1,300万円 |
達成時期 スタッフ数 | 開業1年目 従業員1名 | 開業2年目 オーナー1名 | 開業2年目 従業員1名 | 開業1年目 オーナー1名 | 開業1年目 オーナー1名 |
ロイヤリティ | 6.6万円 | ・専業プラン:6.6万円 ・副業プラン:2.64万円 | なし | ・ホームパッケージ:月売上10% ・フルパッケージ:月売上8% | 6.6万円 |
その他税込月額 | 広告分担金:2.2万円 システム利用:2.2万円 | 広告分担金:2.2万円 システム利用:2.2万円 | 入会した場合:入会金1万円(税込) 月会費3000円 | 広告分担金:月売上1% 店舗業務システム使用料:2.42万円~ 情報連携システム使用料:5.5万円 クレジットカード決済システム使用料:2.2万円 iPad使用料:月額3410円 損害賠償保険 ・ホームパッケージ:年間38680円(無事故の場合) ・フルパッケージ:年間55258円(無事故の場合) | システム利用4.29万円 |
参照:アントレnet各企業情報 2023年5月時点
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
ハウスクリーニングのフランチャイズを開業するまでの流れと支出・収入
フランチャイズに加盟してハウスクリーニング開業の流れは下記のとおりです。
それぞれについて詳しく解説します。
ハウスクリーニングのフランチャイズ本部選び
受けられるサポートや開業後のフォローの内容はフランチャイズ本部によって異なり、ロイヤリティやその他必要経費の種類や金額もさまざまです。
フランチャイズの場合、未経験でも開業可能とする本部が多いため、ほとんどのオーナーが業界での就労経験なく開業することも多いです。そのため、 開業前には技術サービス研修や経営者研修、実技研修、マーケティング研修などが数日間集中して行われます。
また開業後のサポートは、案件紹介をはじめとした営業販促ツールの配布、顧客や商材管理ツール、動画マニュアルの提供、担当者との相談などがあり、テレビや雑誌やネット広告でブランディングや集客を行うフランチャイズ本部もあります 。
このように、フランチャイズ本部ごとに開業前研修や開業後サポートの内容が異なります。またオーナー側も「できるだけ何でも自分でやって月額経費を抑えたい」という方や、「可能な限り清掃作業に集中したい」という方もいるため、自分に合ったフランチャイズ本部を探すには、サービスを比較する必要があります。
サービス比較におすすめなのは、独立開業の情報サイトです。なお、情報サイトへの会員登録は無料であり、登録すればフランチャイズ本部への説明会参加費なども0円のケースがほとんどなので、比較検討しやすいでしょう。 比較検討しないで安易に本部を選び、後から思っていたのと違うことが分かって後悔するようなことだけはやめましょう。
知識と経験が蓄積されて事業が安定するまでは、「自分に足りない経験値をサポートしてもらえる本部かどうか」という点に注目して確認すると良いでしょう。
加盟金など開業費用を準備する
フランチャイズに加盟するには、ほとんどの場合に一時金として本部に加盟金を支払います。また、フランチャイズによっては保証金や研修費などの必要な費用が異なるため、説明会の段階で費用の額や支払い時期などを明確にしておいて資金の確保に動きましょう。
なお、各フランチャイズの初期費用の支出モデルは下表のとおりです。
各フランチャイズの加盟オーナーの所得実績
おそうじ本舗 | 日本おそうじ代行 | 日本ハウスクリーニング 協会 | 株式会社ダスキン | おそうじ革命 | |
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契約タイプ | フランチャイズ | フランチャイズ | 開業支援スクール | フランチャイズ | フランチャイズ |
契約期間 | 2年 | 5年 ※以降、2年ごとの自動更新 | なし | 1年 ※毎年4月1日に自動更新 | 業務委託:1〜2年 フランチャイズ:3年 |
初期費用 | 417.98万円 | 55万〜143万円 | 17.6万円 | 151.8万〜310.2万円 | 10万〜184.6万円 |
初期費用の内訳(概算、税込) | 加盟金:33万円 保証金:20万円 研修費:110万円 機材費:209万円 システム導入費:16万円 オープン販促費(オープンチラシ):19.8万円 フリーダイヤル初期費:0.33万円 A4プリンタセット:9.35万円 | 加盟金:22万円 資材費:33万円 研修費:88万円 ※加盟初月~16ヶ月目まで、月5万5000円(税込)の分割払い | ベーシック17.6万円 プロフェッショナル41.8万円 ※任意で機材セット16.5万円、洗浄機材セット13.2万円 | ホームパッケージ: 加盟金55万円 研修1人24.2万円 初回仕入れ72.6万円 フルパッケージ: 加盟金93.5万円 研修1人40.7万円 初回仕入れ176万円 | 自己資金10万円プラン: 研修費:114万万円 ※備品・資器材・ユニフォーム・名刺は全て貸与 |
最低自己資金の目安額 | 100万円 | 55万円 | 50万円 | 150万円 | 10万円 |
データ参照:アントレnet各企業情報 2023年5月時点
店舗に関しては、ほとんどの場合は不要です。理由としては、実際にハウスクリーニングをする場所は依頼者の自宅や会社であり、 基本的に顧客の来店はなく受注は電話やネットで完結するからです。自宅を事務所にしておけば毎月の店舗家賃もかからないため、利益を圧迫する大きな固定費が削減できます。
清掃中の物品破損などは、細心の注意を払っていても起こりえます。損害賠償保険に加入しておき、補償金を捻出できる手段を講じておくと安心でしょう。
ハウスクリーニングのフランチャイズ本部は多くの場合、 開業後は毎月ロイヤリティがかかります。そのうえ 別途で広告宣伝費やシステム利用料など、売り上げが少なくても固定金額がかかる場合があります。開業から数ヵ月の売り上げが少ない状態でも、生活の心配をせず本業に打ち込めるように、運転資金として少なくとも「半年分くらいの生活費」を準備しておくと良いでしょう。
また、自治体の要件に合えば起業の助成金を受けられますが、応募期間が限られていたり、支給件数が限られていることが多いため早急に調べて申請することをおすすめします。
出店エリアについて相談・検討する
ハウスクリーニングを使う顧客がたくさんいると思われるエリアや、競合他社が少ないもしくは自分が地域の特性をよく知るなじみのエリアなど、ターゲットにするエリアを絞ります。
フランチャイズ本部は、見込み顧客や既存顧客の分布データを持っていることが多いです。たとえ有料相談であっても、データに基づいた確度の高い最適解が得られるため、利用するほうが良いでしょう。
営業対象は、賃貸マンションの大家さんや管理会社などの「大口顧客」とマイホームなどの「個人顧客」に分け、経済的にゆとりある高齢者世帯や子どもを持たない共働き家庭のDINKs へ注力するなど、ターゲットの仮説を立てて行うほうが効果的です。
加盟契約
フランチャイズ加盟契約を締結したなら、準備していた初期費用を本部へ支払います。
下記は「おそうじ本舗」の初期費用の一例です。
加盟金 | 33万円 |
保証金 | 20万円 |
研修費 | 110万円 |
機材費 | 209万円 |
システム導入費 | 16.5万円 |
オープン販促費 (オープンチラシ) | 19.8万円 |
フリーダイヤル 初期費用 | 0.33万円 |
A4プリンタセット | 9.35万円 |
加盟時の初期費用 | 417.98万円 |
データ参照:アントレnet各企業情報 2023年5月時点
最新の情報については、必ずおそうじ本舗公式サイト等で確認してください。
このときの自己資金が仮に150万円であれば、残りの約268万円は融資などで調達することになります。
営業・集客を開始する
地域への広告集客活動といえば、まず各戸へのポスティングが思いつきますが、実はポスティングの集客力や費用対効果はそれほど高くありません。もし行うならチラシに反応しやすい高齢者が多いエリアに絞ると良いでしょう。
一方でネット集客は費用対効果が断然高く、顧客が検索して調べている流れで問い合わせや申し込みが入れやすいなど、大多数の顧客層が反応しやすいメディアです。そして、ハウスクリーニング事業者と顧客とを引き合わせるマッチングサイトは、ハウスクリーニングの利用を希望している方が問い合わせをしてくるため、成約率が高いのでできる限り利用しましょう。
また、本部が既にサービスを紹介するWebサイトを持っているのであれば、新規出店や地域担当店として情報を掲載しレコメンドしてくれるケースもあります。このようにネットからの集客は、費用を投じても成約率が高く費用が回収しやすいので、こまめに更新して継続して積極的に活用しましょう。また、ブログやSNSを使って反響の流入経路を複数持っておくとさらに効果的です。
開業(サービスを提供する)
開業後には、依頼があったお客様へクリーニングサービスを提供します。ハウスクリーニングを例に挙げてどれくらいの収益が得られるかを算出してみましょう。
仮に、キッチンとレンジフードのクリーニング1件の受注金額を3万円・作業時間を3時間・利益率を70%とすると、1件の粗利は2.1万円であり時給は0.7万円になります。
例えば、キッチンとレンジフードのクリーニングを1日に2件行えば粗利は4.2万円、3件行えば6.3万円にもなるのです。
ハウスクリーニングのフランチャイズで収入を上げるためのコツ
フランチャイズに加盟してハウスクリーニングで収益を上げるコツは下記のとおりです。
それぞれについて詳しく解説します。
フランチャイズ本部のサポートをフル活用する
ハウスクリーニングの開業後はフランチャイズ本部と連携して、顧客の集客や営業に力を入れましょう。技術面や接客面、事業の運営ノウハウや顧客を獲得するための営業方法 などについての疑問は担当者に相談してすぐに解決できるようにすると、事業を軌道に乗せやすいです。
また、開業後も積極的に本部のサポートを活用しましょう。定期連絡や研修・技術支援を積極的に利用し、問題や悩みを抱えないようにします。
そして、本部に集まるたくさんの成功事例は、大小にかかわらずシェアしてもらい即時自分の事業に反映させるなど、フランチャイズ本部のサポートはフル活用していきましょう。
個人以外に大口の法人顧客を得る
ほとんどのオーナーは個人顧客が売り上げの大部分を占めていますが、下記の法人顧客なら大口の受注や継続案件の獲得ができる可能性があります。
「既に固定のクリーニング業者に依頼している」と思われる不動産会社でも諦めることはありません。不動産管理会社などは、突発的な急ぎ案件や春の繁忙期などでクリーニングを頼める先を確保するために、常に安くて丁寧で小回りがきくクリーニング業者を探しているからです。
年に1件でも大口案件が獲得できれば収入は大きく増えますので、空いた時間はコツコツと営業を続けておくと良いでしょう。
必要な資格を取得して事業拡大を狙う
クリーニング事業者になるのに特別な資格は必要ありませんが、ビルクリーニングでは「ビルクリーニング技能士」という国家資格が役に立ちます。不特定多数が出入りする一定以上の広さの建物(特殊建築物う)などで清掃作業監督者として作業するためには、1級ビルクリーニング技能士の資格が必要になるからです。
また、競合を減らして単価を上げるために難関といわれる国家資格を取得するという選択肢もあります。
その他にも下記の資格があります。必須の資格ではないものでも「知識の強化」や「対顧客の信頼性」が向上するため、保有しておいて損はないでしょう。
経営者としての自覚を持つ
フランチャイズ本部は、業界未経験のオーナーの独立を手伝い、独立後も事業の成長と拡大を助けて成功へと導いてくれます。そしてそのサポートサービスを買うために支払うのがロイヤリティでもありますが、「フランチャイズに加盟してお金を支払えば、誰でも成功して裕福になれる」というわけではありません。
事業を成長させるための仮説検証や改善は、実際に事業を行うオーナー自ら進んで努力していかなければうまくいくことはありません。「フランチャイズ本部はあくまで伴走者でありアドバイザーである」と理解して、オーナーの知識向上や時流を読む努力は顧客獲得とともにずっと継続すべきものなのです。
まとめ
ハウスクリーニング業界で、フランチャイズに加盟してから開業までの流れや収入を上げるコツについて、まずは全体を把握しておきましょう。
開業前の手順で特に重要な項目は「フランチャイズ本部選び」と「出店エリアの選定」、そして「営業・集客」です。
また、収入を上げるコツのなかでも「経営者としての自覚を持つ」という点が最も大切だといえるでしょう。
クリーニングは知識とスキルを要する専門技術職ですが、顧客の不安や不満を解消するために想像を巡らすことは誰にでも簡単にできます。フランチャイズ本部のサポートはできる限り活用して、自分の分身である自分の事業を大切に育てていきましょう。
ハウスクリーニングのフランチャイズ本部をいくつも調べるなら、フランチャイズ本部のロイヤリティや諸費用などの条件が掲載されたこちらのページを併せてご覧ください。
<文/柴田敏雄>