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テニスプレイヤーから起業家へ。尾山翼さんがフライパン・SURUTTOを開発した理由

生ボイス

「自分のやりたいこと」で独立・起業をする。

独立・起業の動機は人それぞれといえど、自分のやりたいことや得意なこと、好きなことで事業を立ち上げたいと思うのが自然ではないでしょうか。

しかし思った以上に「自分のやりたいこと」を事業化するのは難しいものです。

今回お話を伺ったのは、尾山翼さん。元テニスプレイヤーだった尾山さんは、2022年に起業し、現在はフライパン「SURUTTO」の企画・販売を手がけています。

なぜ尾山さんはテニスプレイヤーから起業家へ転向し、フライパン「SURUTTO」を開発することになったのでしょうか。

今回は尾山さんのキャリアとともに、自分のやりたいことの見つけ方を伺いました。

<プロフィール>
尾山翼さん
株式会社ふじいろ 代表取締役社長

元テニスプレイヤー。高校在学中からプロテニスプレイヤーを目指す。
現役を引退後、商社に就職。

2021年春頃から独立に向けて、副業としてさまざまな事業をスタートさせる。
ECサイトを活用した食品卸売業を経て、同年8月に退職し独立。
翌2022年2月に株式会社ふじいろを創業。

同社が企画・販売するフライパン「SURUTTO」は、クラウドファンディングの「コーティングフライパン部門」で支援金額歴代1位を獲得。

人を感動させる仕事をしてみたい。尾山さんがテニスプレイヤーから、起業家に転向するまで

――まずは尾山さんが経営する、株式会社ふじいろの事業について教えてください。

尾山さん
自社製品のフライパン「SURUTTO」(以下「SURUTTO」)の企画・販売を行っています。

「SURUTTO」は、買いたての「スルッと感」が持続するフライパンとして、2021年11月にクラウドファンディングを開始し、現在は自社ECサイトなどで販売しております。

↑どんな調理をしても、スルッと滑る特殊なコーティングがされたフライパン。調理のしやすさはもちろん、油汚れなども簡単に落ちるため洗いやすさにも定評がある。2023年6月現在公式サイトでは、売り切れ再入荷待ち状態となっている。

――ありがとうございます。続いて、尾山さんのキャリアについてお聞かせください。現在の事業から考えると、元々尾山さんはフライパンなどを作るメーカーに勤務されていたのでしょうか?

尾山さん
いえ、実はフライパンとは全く関係のないキャリアを送っていました。

前職は商社に勤務していたのですが、その前は10年ほどテニスプレイヤーをしていたんです。

順を追って説明します。

僕は中学時代からテニスを始めて、高校の頃から本格的にプロテニスプレイヤーを目指して練習するようになりました。

そして高校卒業後、大学へ進学したのですが、テニスに専念するため中退。以降はプロになるために、テニスに明け暮れる日々が続きました。

当時の僕にとって、テニスは生きがい、そして人生そのものでした。

遊びの誘いも一切断り、時間・お金・体力、人生の全てをテニスに捧げていたのですが、残念ながら力及ばず、プロ選手になることはできなくて……。

28歳で現役を引退。その後は知人のつてで運良く商社に入社し、営業の仕事をしていたんです。

――その後、どのような流れで起業を?

尾山さん
商社での仕事は、選手時代と比べ物にならないほど安定していたのですが、一方で人生をかけるような情熱ややりがいを感じる事ができず、ポッカリと穴が空いてしまって。

安定を求めて就職したものの「本当にこのままで良いんだろうか」と徐々に思い始めてしまったんです。

ちょうどその頃、ある出来事がありました。

元々好きだったアニメ映画の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』という作品を映画館で見て、別に「泣かせる映画」というわけでは無いはずなのに、なぜか号泣してしまったんです。

関係者一同が、一体どれほどの情熱や覚悟を持ってこの映画を作り上げたのかというのが作品から伝わってきて、エンドロールで感動で涙が止まりませんでした。

そして「もう一度何かに情熱を注ぎたい」「こんなにも人を感動させる仕事がしたい」と思うようになり独立を決意。

まさか「エヴァ」をきっかけに独立することになるとは思いもしませんでした(笑)。

あの時悲しませてしまった、母親を感動させたい。尾山さんが「SURUTTO」を作った理由

尾山さん
しかし独立をするにしても、会社員経験も少なく、これまでテニスしかしてこなかった僕にとって「自分のやりたい事業を見つける」ということは容易ではありませんでした。

――たしかに、独立するにしても事業の種類は無限にありますからね。どのように自分の事業を決めていったのでしょうか?

尾山さん
独立への意識が向いた時から僕は、動画編集やプログラミングを始めとする、思いつく限りの副業に挑戦し始めました。

「自分のやりたい事業」が分からないなら、やりたいと思えるものを見つけられるまで片っ端から挑戦しよう、と思ったんです。

2週間くらい1つずつ本気で向き合ってみて、確かめてみたんです。いくつか挑戦する中で自分がやりたいと思えたことが、EC卸売業だったんです。

そしてある程度、副業が上手くいき独立が見え始めてきた時に、もう一度独立・起業について考えて、2つの目標を立てました。

――2つの目標?

尾山さん
1つ目は「誰かに雇われるのではなく、自立して自分の力で生きていきたい」という目標。

この目標は、副業が上手く回り始めた時点で、ある程度達成できつつありました。

2つ目は「誰かを感動させる事業を立ち上げたい」ということ。

卸売業も、もちろん人の役に立つ仕事ではあるのですが、「自分で企画し作り上げた商品で感動を届けたい」と思い、そんな事業を運営するべきだと考えたんです。

そして試行錯誤の末、行き着いたのがフライパン「SURUTTO」でした。

――卸売業からフライパンとは、なかなか大胆な事業転換だと思います。なぜフライパンを作ろうと思ったのでしょう?

尾山さん
事業によって「誰」を感動させたいか、と考えた時に真っ先に思い浮かんだのが、母の姿でした。

実は遡ること大学時代。当時テニスに没頭していた僕は、大学を辞めてテニスに専念したいと両親に相談しました。結果、何ヶ月もの話し合いの末、中退することになるのですが、その時に母は泣いて反対したんですよね。

その選択をしたことに後悔はありませんが、母を泣かせてしまったことだけがずっと心残りで、今でも忘れられません。

だから、商品を企画する前から、「初めてのプロダクトは母に向けて作る」と決めていました。

こうして「SURUTTO」の開発が始まり、クラウドファンディングで出資を募って、株式会社ふじいろを起業することになりました。

「自分のやりたい事業」が分からないなら、「まず、やってみる」が最優先。

――尾山さんの今後の展望について聞かせてください。

尾山さん
「SURUTTO」の事業は、まだ始まったばかりです。

まずはよりたくさんの方に、この商品を使っていただけるよう、邁進していきたいです。そしてたくさんの感動を与えられるプロダクトを作っていきたいですね。

――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

尾山さん
独立・起業に興味を持ちながらも「自分のやりたい事業が分からない人」って意外とたくさんいると思うんです。実際、僕自身もそうでした。

そんな方にお伝えできることがあるとすれば、「まず、やってみる」から僕の事業は始まったということです。自分が興味を持ったことを「できる・できない」は関係なく、思い切って挑戦してみて欲しいです。

僕も「独立したい」という思いだけを持って、当時流行っていた面白そうな副業に一つずつ片っ端から挑戦してみました。

ほとんどが上手くいかなくて、自分に向いていることは無いのではないかと本気で思っていました。

ですがその中に、思ったより上手くいったものや、やっていて嫌じゃないものなど、何かしら必ず発見があるはずなんですよね。

そして、色々と挑戦する中で、偶然、EC卸売事業に出会い、軌道に乗り、もう一度自分が取り組みたい事業とは何かと考えた時に「誰か(僕の場合は母親を)感動させたい」と思うようになり、フライパン「SURUTTO」が生まれました。

やりたい事業がはっきりしている人なら、その事業を形にするため行動するしかありません、逆にやりたい事業がはっきり決まっていない人も、結局は行動してみないことには始まりません。

上手くいくか、上手くいかないか、ではなく「まず、やってみる」を何よりも最優先して、行動することから始めてみてはいかがでしょうか。

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