お店を開くとき、フリーランスで働き始めるときなど、新たなビジネスを個人事業主として開始するとき、開業から1カ月以内に開業届を税務署に提出します。
開業届を提出した場合、確定申告の時期になると税務署から申告書類が送られてきます。
開業届は、税金を納めるためだけでなく、実は、事業主にとってもさまざまなメリットがあります。
今回は、個人事業主が開業届を出すメリットおよびその提出方法について、ご紹介していきます。
開業届を出すメリット
個人事業主が開業届を出すメリットは3つあります。
1.青色申告で節税できる
青色申告を行うためには開業届が必要です。
青色申告承認申請書は一般的に、開業届と同時に提出しますが、開業届を提出するときに青色申告承認申請書を提出していなくても、開業の日から2カ月以内に提出すれば、その年の収入分から青色申告が適用されます。
青色申告を行うことで、次のような節税のメリットがでてきます。
青色申告特別控除
簡易簿記の場合は10万円、複式簿記の場合は65万円の特別控除が受けられます。
青色事業専従者給与
生計が同じ家族が事業に携わっている場合、家族の給与を全額必要経費にすることができます。
純損失の繰り越し
赤字を3年間繰り越すことができます。例えば、前期は赤字でしたが、当期は黒字となった場合、前期の赤字分を当期に繰り越すことができ、税金の支払いを抑えることが可能です。
2.金融機関の口座が屋号名義で作れる
お客さまや取引先に振り込みを依頼する際、個人名義の口座より屋号名義の口座の方が、信用力が増します。
なお、屋号名義で金融機関の口座を開設するとき、開業届の控えが必要となります。
開業届に必要な書類とは
開業届、正式名称「個人事業の開業・廃業等届出書」を作成します。
開業届は、最寄りの税務署または国税庁のホームページからダウンロードできます。
開業日、屋号、マイナンバー、そして事業内容など必要事項を入力し作成します。
また、マイナンバー確認のため、顔写真付きのマイナンバーカードが必要です。マイナンバーカードがなければ、マイナンバー通知と顔写真入りの本人確認書類が必要になります。
開業届を出す方法には窓口提出と郵送がある
提出方法は、所轄税務署へ持ち込むか、郵送になります。
開業届の提出に費用はかかりません。
窓口提出の場合、開業届は税務署への提出用と控えの2部提出します。その際、マイナンバーを確認できるものも持参してください。
郵送で提出する場合は、開業届の提出用と控え、マイナンバーカードのコピー(両面)、(マイナンバーカードがない場合は、マイナンバー通知のコピー(両面))、顔写真入りの本人確認書類のコピー、そして自分の住所宛の返信用封筒(切手貼り付け)を同封します。
受領されると、控えが自宅へ送付されます。
開業届を提出しないとどうなるのか
「売り上げがまだ少ないから」とか「事業を続けられるかわからないから」といった理由で、開業届を出さない方がいます。
開業届は、開業してから1カ月以内に提出することになっていますが、提出していないからといって、罰せられることはありません。
開業届を出していると、確定申告の時期に申告書類が送られてきますが、開業届を出さず、申告書類が送られてこないからといって、税金を払わなくていいわけではありません。
自分で申告書類を入手し、確定申告を行います。
まとめ
今回は、開業届を出すメリットとその提出方法について説明しました。
開業届を出すことで、税金面でメリットがあるだけでなく、屋号を持ってビジネスを行うことができ、社会的信用も増します。
そして何より、自分でこれから気合いを入れてビジネスを行うという、一種のけじめになるのではないでしょうか?
開業届の提出に費用はかかりません。
開業届は最寄りの税務署や国税庁のホームページなどで入手でき、持ち込みでも郵送でも提出でき簡単です。
ただし、書類が不足すると、余計な手間がかかってしまうので、提出前に税務署に電話するなどして、必要書類を確認した方がよいでしょう。
ファイナンシャルプランナー 富田 浩司
<得意分野>
ライフプラン(マネープラン)コンサル、子育て・教育資金コンサル、長期分散投資コンサル、保険新規見直しコンサル、不動産購入・不動産投資コンサル、節約経費削減コンサル、法人税金対策コンサル