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「政治離れ」の若年層に、様々なイベントでアプローチする 社会起業家からのメッセージ

生ボイス

NPO法人Youth Create/東京都中野区

代表 原田謙介さん(26歳)

 1986年、岡山県生まれ。中・高校は愛媛県の一貫校で寮生活を送り、2006年、東京大学法学部入学。若者の「政治的無関心」に危機感を抱き、3年生の時に学生団体ivoteを結成。投票率向上に向けた街頭啓発などを行う。2011年6月に引退。翌年には自らが発起人となり、インターネット利用の選挙運動解禁に向けた「One Voice Campaign」を実施。2013年1月、Youth CreateをNPO法人化、代表に就任する。現在、学生、社会人ら13人で活動中。

 政治のことを語るなんて、ダサイじゃん――。その意識は、例えばこんな数字に結びつく。民主党による政権交代にわいた2009年8月の総選挙。全体の小選挙区投票率が69.28%だったのに対し、20歳代のそれは49.45%にとどまった。ちなみに30歳代は63.87%、60歳代は84.15%である(「明るい選挙推進協会」調べ)。若年層の投票率が上の世代に比べてダンゼン低い傾向は、特に80年代以降、顕著になってきた。当然のことながら、若年層の「利益」や「思い」を代弁する人物は、当選が難しいということになる。
 そうした現状に風穴を開けるべく活動を続けてきた原田謙介は、現在、Youth Createの旗頭として意欲的に動いている。「若者と政治を結ぶ」をコンセプトに、党派を超えて政治家と直接「飲める」イベントや、小学生から社会人まで、政治リテラシーを向上させるための年代別教育プログラムなどを実施。従来なかった取り組みは、マスコミにも取り上げられ、広く注目を集めている。そのルーツは「政治に関心を持つのはかっこいい」と思われる社会にしようと、大学生時代に同志6人で始めた、若者の投票率向上を目指す運動にある。

「無関心」が未来を閉ざさないよう、政治を肌で感じられる機会を創出する。それが、若者たちの政治参画を促す礎となる

━ そもそも政治に関心を持ったきっかけを教えてください。

 高校生の頃、どういうわけか政治家になりたかったんですよ。世の中に広くかかわる仕事がしたいなあって。政治のことなど、何も知らなかったんですけどね(笑)。で、大学に入ってから、郷里である岡山選出の民主党国会議員さんのところで、インターンをやったんです。とりあえず現場を見てみようと。そこでわかったのは、政治というものには、ものすごく力があるということ。まだ政権交代前夜でしたが、民主党の議員さんたちの話していたことが、翌日トップニュースになったりするわけです。そしてもう一つ、議員が若者に会う機会はほとんどない、ということにも気づきました。永田町の議員会館にいても地元に帰っても、周りは年配者ばかりで……。

━ そこで生まれた問題意識が、学生団体の結成につながったと。

 そうですね。片や、同級生なんかに政治の話をしてみると、「何言ってんの」という反応がほとんど。でも、30年後の日本のことを当事者意識を持って真剣に考えられるのは、その頃社会を支えているはずの若者でしょう。そこのギャップを埋めない限り、世の中は変えられないと強く感じたのです。それで大学3年の春、20歳代の投票率向上を目指す学生団体「ivote」を結成しました。東大のサークル仲間、あとはインターンで知り合った人とか、大学もバラバラの6人が集まって始めたんです。

━ 実際にはどのような活動を?

 最初は、学生が集まるイベントがあればとにかく出かけていって、空気を読まずに(笑)、「政治についてどう思いますか?」と聞きまくりです。むろん「何言ってんの」パターンが多いのですが、なかには「年金もらえるのかな」なんていう反応があるわけです。そんなことを繰り返しているうちに、だんだん活動のアイデアが固まってきました。「20代の夏政り」と銘打って、浴衣や甚平を着て練り歩きながら、若者に投票を呼びかける街頭啓発活動をやったり、「居酒屋ivote」という国会議員と若者の飲み会を企画したり。若者が政治に“直接触れる”機会づくりから始めたわけです。

━ それが、現在の活動のベースになっているわけですね。

 ivoteは後輩にバトンタッチし、そのOB・OGで設立したのがYouth Createです。僕らが考えているのは、まず選挙に特化した団体にはしないということ。例えば、まだ選挙権を持たない子供や若者に、政治の仕組みや役割などをきちんと知ってもらうための教育プログラムの策定、イベントの開催などを考えています。そして主催している「Voters Bar」は、やっぱり政治家との飲み会なんですが(笑)、今後は地方議会の議員さんたちとも触れ合える場をつくるべく、全国ベースで進めていこうと。あとはNPO法人として、行政や企業と組んだ活動の推進も課題です。

━ 多摩大学大学院教授の田坂広志さんらが発起人となった「デモクラシー2.0イニシアティブ」にも参加していますね。

 「観客型民主主義から参加型民主主義へ」といった、新しい時代に必要な政治理念を発信していくグループで、うちは、8つある参加組織の一つに加わらせてもらっています。僕は常々、「政治はあっちの人たちがやるもの」という発想が一番の問題だと思っているんです。それを打破していくうえで、非常に意義深い活動だと思っています。僕らの活動はまだ緒についたばかりですけど、学生団体を立ち上げた5年前にはなかった運動の広がり、手ごたえが確かにあります。これからが本番。いろいろ仕掛けていきますよ。

取材・文/南山武志 撮影/押山智良 構成/内田丘子

※本記事は取材当時の情報を基にしており、団体名、サービス名、法令等が現在と異なる可能性があります。しかし、取材時の想いや状況を正確に伝えるため、内容をそのまま掲載しています。ご了承ください。

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