こんにちは。創業融資の獲得を前提とした事業計画書の書き方のお話を続けます。
前回「『コンセプト』は事業の要!仮説と検証を繰り返して、磨きこもう!」では、
事業コンセプトは9つの要素から成り立っていること、9つの要素のうちの一つ、「誰が」についてお話ししました。
今回は「誰に」「どこに」「何を」について詳細にご説明します。
個人向け? 会社向け?
個人だとしたら、何歳で、どこに住んでいて、どこに通勤していて、どんな職業で、
どんな趣味で、どんな性格で、どんな家族構成で、何を目指していて、どんな悩みがあって、何を必要としているか・・・など。
会社だとしたら、社歴何年くらいで、どこにあって、どんな業種で、どのくらいの規模で、社長はどんな人で、従業員は何人いて、どんなことを目指していて、何が課題で、何を求めている会社か、などなど…。
できれば、個人向けビジネスなら1人、法人向けなら1社というふうに、「仮想ターゲット客」にまで落とし込みましょう。
想像を最大限に膨らませて、刑事ドラマのようにターゲット客層の「プロファイリング」をするのです。
ここが明確に見えていれば、事業計画全体の軸が決まることになります。
ビジネスを展開する場所、探す不動産物件、商品やサービスの名称や内容、イメージカラー、広告方法、そして必要な資金などなど。軸がしっかりと決まっていれば、ターゲット客層の趣向とズレる可能性も減らすこことができます。
逆に失敗事例として多いのは、この軸がブレブレなケース。
項目によってあちこちバラバラに飛び、結局、何がしたいのかわからないような魅力のないビジネスモデルができあがってしまうのです。そうならないためにも想像力をフル回転させましょうね。
「対象となる市場はどこか」「参入する業種・市場の中での自社の位置づけはどこか」
市場全体で見たときのポジショニングの確認作業です。
例えば、価格は平均より高いのでしょうか、低いのでしょうか?
商品・サービスのクオリティは良いものでしょうか、普通でしょうか?
扱っている商品・サービスは珍しいものでしょうか、ありきたりなものでしょうか?
その他の項目も市場の競合他社と比較して、どんな位置を目指すのでしょうか?
このことを事前に決めておく必要があります。
当然ながら、ライバルがひしめき合うゾーンを目指してはいけません。
激しい競争の中で起業したばかりの会社が生き残るのは至難の業だからです。
できる限りライバルがいないゾーンを模索し、そこで勝負をしましょう。
失敗事例としてありがちなのは、ポジショニングを考えずにライバルだらけのゾーンで勝負してしまうケースです。
例えば、大手企業が多数参入している安価が売りの居酒屋と競合するような店を、すぐ近隣で出店してしまうというようなケース。何の工夫もなく大手企業と張り合っても勝てる見込みは少ないですよね。
そのようにならないためには、市場全体の今の情勢や近未来の情勢をよく分析しましょう。
そして、競合他社がどんな展開をしているのか、市場をよく見極めましょう。
ポイントは他社にないような自社の強みを生かしたときに勝てるゾーンを見つけることです。
その商品・サービスの「具体的な内容」です。これはかなり具体的になっていなければなりません。
例えば、スペイン料理のレストランだとすれば、他店に負けない一番の「売り」のメニューは何か。
本場スペインで修業をしてきたパエリアはイチオシの自信作で、東京のどのレストランにも負けない自信があるなど。
コンサルタント業であれば、具体的にクライアントに提供するメニューは何で、使う手法はどんなもので、価格はいくらで、何カ月かかって、それはクライアントにどんなプラスの効果をもたらすかなど。
失敗事例でありがちなのは、客観的に見て「何となく」それを提供しようとしているような状態です。
例えば、「何となく」スペイン料理のレストランを開業したい、経験を活かせば「何となく」コンサルタント業ができるんじゃないかなど。こういうのを「何となくビジネス」と言っていますが、「何となく」で起業してうまくいくほど甘くありません。考えが浅い状態で起業すれば失敗が待っているといえるでしょう。
そのようにならないためにも、提供したい商品・サービスについて詰めが甘い点がないかどうか、
起業前の早い時期に客観的にチェックしてもらうことをオススメします。
お世辞を言われてしまう可能性がある知人や友人よりも、専門家などの第三者に、完全に客観的な意見を言ってもらう方がいいでしょう。
さて、次回も事業コンセプトについてのお話を続けて行きます。
【まとめ】
・「誰に」は、想像を最大限に膨らませて、「プロファイリング」。
・「どこで」は、他社にないような自社の強みを生かしたときに勝てるゾーンを見つけること。
・「何を」は、起業前の早い時期に客観的にチェックしてもらおう。