終身雇用、年功序列――これらが崩れ始めて以降、1つの会社に勤めあげるというケースは減り続けています。このような時代を生きていると頭に浮かぶのが「今の会社でできることではなく、やりたい仕事をしたい」との思い。
独立、起業が選択肢になるわけです。
でも、やりたいことをするにはどうすればいいのか、何に気をつけるべきなのか?
経営コンサルタントを行う傍ら、複数の企業を経営する本田健さんのお考えや発言から、新しい時代における独立の軸を見ていきます。
本田健 氏
ギリシャ危機、イギリスのEU離脱。不透明な時代こそ独立を
多くの人がある日突然命を落とした東日本大震災は、我々の心の中に大きな変化をもたらしました。それが“人はいつ死ぬのかわからない”ということ。
だからこそ、自分がやりたいことをしようと、人生を見つめ直す風潮が出てきたのではないでしょうか?
変化したのは人々の心だけではありません。本田さん曰く、「リーマンショック以降から悪化した日本経済の流れが、震災を経て表面化された」といいます。
「震災以前から資本主義社会は崩壊しつつ、力の弱い資本主義国が財政危機に陥り、多くの国に影響をもたらしている」と本田さんは感じているそうです。
資本主義の行き詰まりは、ギリシャ危機(2010年以降の経済と政治の混乱)やイギリスのEU離脱問題でさらに表面化しています。世界規模でも経済の悪化が囁かれているのです。
世界規模で先行きが不透明な中では、独立するのは難しいことなのでしょうか?
答えは、ノーです。ブログ「まだ東京で消耗してるの?」で生計を立てているイケダハヤトさん(以下、イケハヤさん)は震災直後にフリーになっています。
「先が見えない時代ではありますが、大きな変化を迎えた時代だからこそ、ビジネスチャンスがあると捉えることができる」と、難しいどころか今こそチャンスだと本田さんも言います。
では、その変化の中でどのようなことに注意して独立していくべきなのでしょうか。
二極化するビジネスと中流層。消えたビジネスを反面教師にすればあなたは大丈夫!
注意すべき点は、ビジネスと中流層の淘汰で起こる“二極化”という流れ。
「今後は必要なものと不必要なものに分かれ、不要なものは淘汰され、二極化の時代を迎えます。ビジネスはこれまでとは違う販売方法と新しい提案。労働は雇用が生まれにくいので、中流階級はなくなる可能性がある」とこれからの厳しい時代を示唆する本田さん。
しかし、多くのビジネスが消えることに尻込みせず、逆にチャンスとして捉えるべきです。
「どんなことをすれば、そのビジネスが死ぬのか。失敗事例を100通り集めておけば、それをカバーする対処方法を考えることができます」。本田さんが言うように、独立する前に、消えていくビジネスを知り、その対策が打てるのは、この時代の特権かもしれません。
前述のイケハヤさんも、起業家にとって日本市場はおいしいと言います。
日本を戦場にしていてよかったなぁ、と思うことは多い。ここは競争がぬるいんです。ゆえに、英語圏から3〜4年遅れて社会変化が来るので、未来を見越して行動が取りやすい。10年後はもっとシビアなんでしょうけどね。
— イケダハヤト (@IHayato) 2016年5月16日
英語圏で起きていることを学ぶことで、先が読めるとのこと。これも、先に起きている現象を学べるからこその良さです。
独立で成功するには、自分・時代・人の3つの流れを読むだけ!
大きな変化ともに、無限のチャンスが訪れています。やりたいことをしたいと考える反面、失敗した時のことを考えると心配になる人もいるでしょう。では、やりたいことをやり、かつ長続きするためには、どうすればいいのか、本田さんはこう答えます。「まず自分のビジネスに関する、明確なビジョンを持つことが大切」。
そして、そのビジョンをしっかりと自分の中に落とし込むために、読むべきなのが3つの流れ。
第一は、“自分の流れ”。「人生の流れを振り返り、やりたいことやワクワクすることを改めて考える」。
第二は、“時代の流れ”。「消費者の動向がどう変化しているかを掴み、ニーズを探す」。
第三は、“人の流れ”。「ライフスタイルの変化で、どこにどんな人が集まるか、ニーズのある場所を考える」。
最後に本田さんはこう言います。
「この3つの流れを融合し、この事業を通じて達成したいヴィジョンを明確にすることができれば、ビジネスとしてうまくいく可能性が高いでしょう」。
万が一失敗しても、それを経験に次のチャレンジ
本田さんは、ビジョンを明確にできれば「どんな厳しい変化が訪れたとしても、おのずと人が集まり、そのビジョンをもとに次の手を打つことができる」と言います。
別の著名人で同じ意見の方がいます。それは、起業家の堀江貴文さん。
堀江さんは『堀江貴文という生き方』で、「世の中のほとんどの人は、他人の失敗や挫折に興味はない」と言っています。その上で「経験こそが社会人の最強のアイテム」とも。
独立しても、最初は失敗の連続かもしれません。しかし、堀江さんが言うように、失敗しても気にする人は少なく、それは経験として積まれていきます。明確なビジョンを持ちつつ、次のチャレンジをできる気持ちを持てば、明るい未来がきっと開けることができるでしょう。