宮田昇始さん(33歳)
2つのウェブサービスに失敗するも、Open Network Labが手がけるアクセラレータプログラムを経て、社会保険・雇用保険の労務手続きを自動化するクラウド労務ソフト「SmartHR」をリリースすると大ヒット。現在までに3700社以上が登録している。
VOL.181クラウド労務ソフトが登録企業数3700社を突破
「作りたいものを作る」から
「人が欲しがるものを作る」へ
S
martHRの前に自社サービスを2つリリースしています。資金繰りはいつも厳しく、受託事業で日銭を稼ぎ、落ち着いたら自社サービスに専念という繰り返し。でも芽が出ませんでした。
今考えると理由は単純、机上の空論で自分たちがやりたいように作り、人が欲しいと思うものを作っていなかったから。アクセラレータプログラムに参加すると、指導してくれたメンターに「ユーザーのことを把握していない」と指摘されました。僕たちは「~らしいです」「だと思います」といった曖昧な話をしていたんです。
ユーザーヒアリングの重要性を叩き込まれたのはその時です。「こんな属性の人たちはこんなことに困ってるんじゃないか」と仮説を立て、ヒアリングにより事実情報を集め、検証していく作業。SmartHRなら、例えば「人事担当者は採用や制度作りに力を入れたいのにペーパーワークに時間がとられて困っている」といった仮説ですね。開発に際して行ったヒアリングは200回。こうして「人が欲しがるものを作る」というプロダクト開発の基本に気づくことができました。
あの経験がなければ、僕は事業を諦めて会社員に戻っていたと思います。
アントレ2017.春号 「起業家7人が語る 私がプロになった瞬間」より