堀越 建夫さん(51歳)
VOL.151海外の会員制コンシェルジュサービスを扱う代理店
“自分の夢”と“家族の幸せ”
両方大事にするための独立を
当
時4歳だった娘が難病を発症したのは、勤め先が株式上場する直前の時期。準備に追われる中、毎晩、入院先を訪ね、病室で仕事を続けました。2カ月が過ぎる頃、社長から「仕事と娘とどっちが大事なんだ!」と迫られました。頭に来て「娘だ」と答えれば、「じゃあ辞めろ」と。もう引くに引けず、その場で会社を辞めることになりました。
すると、私の窮状を知った知人が、高収入で残業がない仕事を紹介してくれて。以前から、「次は転職でなく、独立したい」と思っていたのに、厚待遇にグラリときて1カ月ほど悩みましたね。目先の収入にとらわれて、自分の気持ちにフタをしていいのか。しかし、家族や住宅ローンのことを考えると不安は尽きない。そんな葛藤する日々の中、起業セミナーに参加したら、「ハワイにホテルを建てたい」という夢を思い出したんです。また、「夢に向かうことが家族を捨てることにはならない」という話も聞いて。“自分の夢”と“家族の幸せ”、どちらを取るか悩み続けていましたが、「両方大事にするための独立だってできるんだ」と思えましたね。
その後、独立に向けて勉強する中、現在手がけている外資系の会員制コンシェルジュサービスに出合った。可能性を感じ、海外の本拠地を訪問して直接交渉した結果、代理店をやらせてもらえることになりました。あのまま転職していたら自分の夢は消えていたはず。逃げずに、その不安をしっかり受け止めたことが、自分を動かす原動力になりました。
アントレ2016.冬号 「独立VS転職 私たちの決断」より