﨑山 博教さん(41歳)
VOL.146技術者出身の知識を生かした特許や商標登録申請の代理人
7回落ちた不安と焦り。
手放したことで開眼!「本質がわかる弁理士」に
特
許申請の代理人。それが弁理士ですが、年に1度の資格試験の合格率は、わずか数パーセント! 実は私、この資格試験に7回も落ち続けました(笑)。
技術者出身ながら、文章を書くのが好き。人に勧められて特許申請事務所で働いてみたら、知識と文章力が必要な仕事は、天職のごとく楽しかった。世に発表されていない新技術に触れ、ワクワクする日々を味わい、「資格を取って独立しよう」と決めました。
最初の3年は独学で挑戦し、それじゃ無理だと気付いてから、資格学校に通い、明けても暮れても勉強の日々。独立したくてしょうがないのに、受けても受けても受からない。焦るほどに成績も落ち、7年目を迎えた年、「もう、やってられへんわ」と(笑)。そこで、ギリギリまで一切勉強せず、自分を追い込む決意をしました。
これが功を奏し、翌年、8回目の挑戦でついに合格! 思えば、長年の間に、資格取得が目的になっていて、独立して何をするのかを一切考えていなかった。論述試験でも、ありったけの知識を書き込んだだけ。つまり、特許申請で一番重要であるはずの、「技術の特徴」を端的に伝えることができていなかった。勉強から距離を置いたことで、その本質に立ち返り、合格できたんだと思います。
特許申請は、一度出願したら内容を変更できません。発明者の権利を守るのは自分の文章であり、その技術が生きるも死ぬも、本質を伝えられるかどうかにかかっています。責任ある仕事に携わる今、大きなやりがいを感じます。
アントレ2016.冬号 「いざ独立!私たちの第一歩」より