山中大介さん(33歳)
VOL.232「夢と狂気」の人生求め 三井不動産から地方起業へ
山形県鶴岡市で地域主導の街づくり
「デカいことがしたい」と思って入社した三井不動産です。スケールが大きい仕事をさせてもらいました。でも「なんでショッピングモールをつくるんだっけ?」という葛藤が日増しに強くなりました。この人口減少の日本に、新しい価値を提供できないかとよく同僚と議論してました。
そんな時に出合ったのが庄内サイエンスパーク。人口減少に苦しむ鶴岡市が立ち上げた、学術と産業の集積地です。そこに集まるベンチャーたちの、純粋に社会をよくしたい、それができれば成功しないわけがないという情熱に感動しました。勢いで会社も辞めて、庄内に移住。離職する人も転職する人も少ない職場だったので、同僚からは相当おかしいヤツ扱いです。でも僕は「人生は夢中と狂気」だと思ってます。会社のなかにそれが見つからないなら、外に出るしかない。
でも鶴岡市のネジの外れ方も半端じゃないです。サイエンスパーク内に残る用地14haの開発を、資本金たった10万円で始まった僕の会社に任せるなんて。でもそれだけ地元の人たちは僕に、サイエンスパークに期待している。その期待に応えたいんです。「山中くんはリスクをとっていない」と地元の人に言われたのが悔しくて、こっちに家も買いました。目の前に困っている人がいて、自分にできることがあるなら、やるのが運命でしょう?
撮影/刑部友康、片桐 圭、阪巻正志、宮田昌彦
アントレ2019.冬号 安定、肩書、仲間…雇われるよさもあったけど 私、会社を卒業しました!より