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作って弾いて楽しめる、バイオリン工作教室:VOL.214 

作って弾いて楽しめる、バイオリン工作教室:VOL.214 
PROFILE

中井里さん(45歳)

キットバイオリン教室/東京都足立区
大学卒業後、大手通信会社に就職。好きだったバイオリンについて調べていると製作学校を発見。見学するうちバイオリンの製作家の道を志し、脱サラ。4年で資金がつき一度は会社員へ戻るも、やがて2度目の脱サラ。バイオリンの工作教室として再スタートを切る。

VOL.214
作って弾いて楽しめる、バイオリン工作教室

「何とかなる」に根拠なし。
製作から工作教室に転身、軌道に

製作学校で学びながら、バイオリンを作って売って、お金を稼ごうとしていたわけです。相談した先生も「いい楽器を作ったら売れる」というし、何とかなるだろうと。でも、なりませんでした(笑)。楽器屋さんに行けば安いバイオリンがあふれている。仮に良い楽器を作っても埋もれてしまいます。貯蓄が10万円を切った時は寝込みましたよ。今なら「また稼げばいい」という感覚があります。でも当時は稼ぎ方も分からなくて、貯蓄の残高イコール、自分の命みたいだった。

 一度は会社員に戻りましたが、どうしても100%打ち込めない自分がいて2度目の脱サラ。ただし製作では食べていけないのは分かっていたので、今度は工作教室を。これなら「製作に関わる」という、自分にとって一番大切なところを譲らずにいられます。でも最近は、教室のお客さんがバイオリンを作っているのを見るのも好きなんです。教室で作った楽器を家で弾いてくれて、壊れたら修理に持ってきてくれるのも、すごく嬉しい。

 思えば、僕の「何とかなる」には根拠がなかったですね。もし過去に一度でも「いいものを作り、売った」経験があれば、それが根拠のある自信になっていたのかも。自分で稼ぐ力があるからこそ、失敗しても「また稼げばいい」と思える。そういう人の「何とかなる」が、本物じゃないでしょうか。
 

構成・文/東 雄介
撮影/刑部友康、片桐圭、阪巻正志、宮田昌彦
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