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諦めるのはまだ早い! 事業再構築補助金の“特別枠”の申請について、税理士が全力解説!

申告・納税

今年一番注目の補助金「事業再構築補助金」も、事務局ホームページもオープンされ4月15日より申請受付開始となりました。
https://jigyou-saikouchiku.jp/

事業再構築補助金とは、新分野展開や業種転換等に取り組むような事業に対する補助金でした。

事業再構築補助金の概要については、前回の記事をご参照下さい。
ポスト“持続化給付金”?注目の「事業再構築補助金」を税理士が最速解説!

最大3/4の経費が補助対象となるため「何がなんでも受けたい!」というフリーランスの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし一方では、

・申請要件は満たしているけど、本当にフリーランスでも採択されるの?
・申請から補助金入金まで1年以上は待てません!
・自己負担額1/3でも資金繰りが苦しいです!

こういった声が多く、申請をせずに諦めている方が多い印象です。そんな方はぜひ「緊急事態宣言特別枠」も検討してみてください。

今回はそんな「緊急事態宣言特別枠」の概要を解説していきます!

緊急事態宣言特別枠とは?

緊急事態宣言特別枠の創設趣旨

令和3年1月の緊急事態宣言により深刻な影響を受け、早期の事業再構築が必要な中小企業等については、さらに補助率の高い「緊急事態宣言特別枠」が設けられました。

申請要件で通常枠との違いは?

https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/summary.pdf?0331

(主要申請要件)
通常枠の申請要件は上図に示された3つがありました。

これに加え、緊急事態宣言特別枠では、

緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1~3月いずれかの月の売上高が対前年(2020年)、または前々年(2019年)の同月比で30%以上減少している事業者とされています。

※要件に合致すれば、地域や業種は問いません。
※要件を満たすか心配な場合は事務局に問い合わせしてみましょう。

大きなメリットは3つ!

通常枠に比べて緊急事態宣言特別枠はメリットがあります。

①通常枠より迅速な審査・採択
②補助率がアップ 特別枠:3/4(通常枠:2/3)※中小企業の場合(個人事業主も含む)
③特別枠で不採択の場合でも、加点の上、通常枠で再審査を受けることが可能!

それぞれ詳細を見ていきましょう。

①通常枠より迅速な審査・採択

通常枠ですと、申請から補助金支払いまでは1年以上かかってしまいます
なお、補助事業期間(設備等の購入を行う期間)は12カ月または14カ月とされております。
※今後方針が変更となる可能性はあります。

補助金を申請した後に審査があり、採択公表という流れなのですが、4月30日申請分はおそらく6月上旬~中旬頃に採択公表となるでしょう。

緊急事態特別枠の具体的な採択日や、補助金入金スケジュールは4月中旬時点の現在では明らかにされていませんが、通常枠よりは入金が早くなると言えます。


https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/summary.pdf

②補助率がアップ

通常枠:2/3 特別枠:3/4 ※中小企業の場合

600万円の経費計画の例)
通常枠)自己負担額 200万円、補助額400万円
特別枠)自己負担額 150万円、補助額450万円

③不採択の場合でも、通常枠で再審査を受けることが可能!

今回の特別枠で不採択になった場合でも、通常枠にエントリーすることができます。

特別枠でのエントリー実績が、通常枠で審査をする上で有利になると言われています。
※通常枠のみで申請された場合でも、一定の加点措置はあります。

緊急事態宣言特別枠のデメリットは?

①補助額の上限が従業員数ごとに制限される


緊急事態宣言特別枠の申請と、通常枠での応募申請は、同時に行うことはできません。

補助額次第ではどちらかを選ぶことになるかと思います。

例えば、従業員数5名の会社で経費全体で900万円の計画をしていた場合を比べてみましょう。

通常枠)自己負担額 300万円、補助額600万円(900万円×補助率2/3)
特別枠)自己負担額 400万円、補助額500万円(900万円×補助率3/4≦500万円 ∴500万円)

今回のケースですと従業員は5人以下であるため、特別枠の補助金額が最大500万円となってしまいます。

結果的に特別枠よりも通常枠の方が、自己負担額が低くお得という結果となりました。

②提出書類や保存必須な書類が増える

緊急事態宣言枠(もしくは通常枠で加点)で申請するためには宣誓書など、追加での書類提出が必要となります。

<追加資料>
・労働者名簿
・令和3年の国による緊急事態宣言の影響を受けたことの宣誓書
https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/senseisho_mihon.pdf

・売上減少に係る証明書類
・固定費が確認できる書類
・協力金の受給に係る証明書(任意)

詳細は公募要領を御覧下さい。
https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/koubo001.pdf

(公募要領 添付書類より)

<保存が必要な書類について>
誓約の根拠となる書類については、「一時支援金」における保存書類を例に適切に保存することとなります。

緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金の詳細について
https://www.meti.go.jp/covid-19/ichiji_shien/pdf/summary.pdf?0322


補助金申請は事業を見直すチャンス! 採択の可否問わず、チャレンジしてみる価値は大いにあり!

いざ補助金申請をしようとすると、知らない用語が出てきたり、慣れない事業計画書の作成で諦めたくなる時もあるでしょう。

特に事業再構築補助金は、持続化給付金や、他の補助金に比べて申請内容や申請書類が多く、入り口で諦めてしまう方が多いと感じます。

今回の補助金の目的は、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するために、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことでした。

申請に求められる事業計画を作っていく中で自社が行う事業の市場分析や、将来予測等を通じて自社の事業を見直す良い機会となるかと思います。

採択の結果に関わらず、補助金申請にチャレンジするや専門家から事業計画のアドバイスをもらえることは大きな価値となることでしょう。

フリーランスの方も「緊急事態宣言特別枠」が対象となる方は、ぜひこの枠を活用し早い段階で新規事業に取り組んでみてはいかがでしょうか?

また、4月の締め切りに間に合わない方も、緊急事態宣言特別枠はあと1回(時期は未定)残っています。補助金を上手く活用し、コロナ禍を乗り越えていきましょう。

文=齋藤 雄史
編集=内藤 祐介

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PROFILE
齋藤雄史

税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。
ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。

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