スタイルのある生き方へシフトしたいビジネスパーソンのためのニュース・コラムサイト。
検索
起業家・先輩から学ぶ

行き当たりばったりこそが経営だ! カレーハウスCoCo壱番屋の創業者が実践した、徹底的な現場主義【前編】

行き当たりばったりこそが経営だ! カレーハウスCoCo壱番屋の創業者が実践した、徹底的な現場主義【前編】

去る3月25日、独立・開業・起業に関するさまざまな情報を提供する『アントレ』が「春の開業準備祭り」を開催。独立・開業に必要な資金調達の方法や事業計画の作り方、起業家の成功失敗事例など数々の起業支援セミナーを通して、参加者は“今やるべきこと”を体系的に学べる充実したコンテンツが用意されました。

その中でも多くの聴講者を集めたのが「カレーハウスCoCo壱番屋」(通称:ココイチ)の創業者・宗次德二氏の講演。「経営とは本気でやり続けること以外に成功なし」と、自身の経験を熱く語ったメッセージは、独立を考え、起業に向けて日々奮闘している方々に間違いなく響いたはず。今回はその講演内容の一部を紹介します。

宗次德二さん・プロフィール
1948年石川県生まれ。1974年喫茶店「バッカス」開業後、1978年に「カレーハウスCoCo壱番屋」を創業。ゼロから東証一部上場企業、国内1200店舗超のカレーチェーンを創り上げる。

2002年に53歳で会長職を退き、現在は創業者特別顧問。03年、NPO法人イエロー・エンジェルを設立し理事長に就任。07年、クラシックホール「宗次ホール」をオープンし代表就任。13年、NPO法人クラシックファンクラブ設立し、代表となる。

経営を成功させるコツは”行き当たりばったり”。どんなに会社が大きくなっても徹底した「現場主義」

pixta_28002024_M

IMG_6153_Fotor_Fotor
宗次徳二さん(以下、宗次さん)
私はよく起業セミナーなどで、どうしたら「ココイチ」のような大企業を作り上げられるのですか? と聞かれるのですが、ここまで大きくなったのは本当に幸運だと私は思っています。

「ココイチ」の前身は、名古屋市郊外の三流立地でスタートした喫茶店。そのメニューの1つとして提供していたカレーライスが人気を博したことで、3年後には喫茶店からカレー店に形を変えました。

当然、カレー屋のノウハウがあったわけでもない。だから最初の1〜2年はパンの耳を食べるような生活でした。でも最初からうまくいかないほうがいいんです。だからこそ一生懸命、必死でやりますから。

そんな何もないところから始まって、会社はだんだん大きくなっていきました。会社が大きくなっても、私は経営コンサルタントの方に経営を教わったことは一度もないんです。これまでの経営者人生は、全て自己流でやってきました。

ではどんな経営をしてきたのか。

最初は全てが行き当たりばったりで、その都度考えてきました。ただし超が付く程の「現場主義」「お客さま第一主義」そして「率先垂範」。この3つにこだわり、本気で貫いてきました。

何か問題が起こったとき、何かに悩んでいるとき。現場には解決のヒントや成功の糸口、そして新たなビジネスの種が必ず落ちています。現場には経営につながる何かがあるんです。

そういった現場で得たヒントから、お客さまに喜ばれる売り方は何なのか、価格帯はどうしようか、メニューは何がいいかなど、ひたすら考えました。

徹底的な現場主義。これは起業を始めようと思っている人に肝に銘じておいて欲しい、ポイントですね。

長期ビジョンはいらない!右肩上がり経営には「今」の苦しさに耐える精神が必要

shutterstock_612733175

IMG_6153_Fotor_Fotor
宗次さん
私は経営をしていて、長期的なビジョンや未来のことなど考えたこともありません。なぜなら今を精一杯やっていて、生じてくる問題に全力で取り組んでいたら必ず未来は見えてくるからです。

喫茶店時代は、名古屋では当たり前の厚切りトーストが付くモーニングサービスも一切なし。他店ではタダで付いてくるピーナッツなども、30円で別料金をいただきました。物のサービスはしたくないという思いからでした。接客にこだわり、次第に繁盛店となりました。

その後、喫茶店で人気メニューであったカレーの専門店。「ココイチ」を創業した年、スタート時の月商は70万円余り。創業から1〜2年はひどいものでした。

起業はそんな苦労がずっと続いていきます。

だから起業支援セミナーで講演をする際の第1声は「起業するなんてやめなさい」と、まず否定から入ります。自分1人で苦労をするならいいですが、家族を巻き込んでまで苦労を味わう必要はありませんから。

それでも起業をする人というのは、どんなに苦しくても耐えて、明確な目標に向かって、絶対に仕事への情熱を失わない人、そして諦めずにやり続けることができる人でしょう。

起業を始めること自体はとても簡単です。しかしそこから店を守り、育てていくことがとても大変なんです。現状に満足せず、目標を達成したら気を緩めることなく、そこからまた次の目標を定める。新しいことへ挑戦する強い気持ちを絶やさないことが、右肩上がり経営の秘訣です。

経営とは苦労を買うようなもの。その苦労が自分を鍛えてくれるのです。

右肩上がり成長さえ続けていれば、経営のほとんどの問題が解決する

shutterstock_614257115

IMG_6153_Fotor_Fotor
宗次さん
先程もお話したとおり、「ココイチ」を創業したばかりのときは本当に辛かったのですが、毎年の目標必達の繰り返しで、徐々に会社を大きくしていきました。私は創業社長として経営をしてきましたが、53歳のときに引退しました。

今の社長にタスキを渡してから早15年経ちますが、その間もずっと増収増益を継続。仕組みが構築されているならば、確実な経営のためには、経営能力もさることながら、一番重要なのは人間性が優れていること。浜島にはそれが備わっていたのです。

こういうと、ほかの経営者の方によく「社員教育はどうやったんですか?」「どのように後継者を育てたのですか?」等々聞かれるのですが、私はこう言います。

「社長が誰よりも一生懸命やり続けて、右肩上がり成長を続けてくださいよ」と。経営が右肩上がり成長さえしていれば、企業における問題や課題のほとんどが解決しますから。

経営もうまくいかず、この先どうなるかわからない不安要素がたくさんあるような会社で、誰が力を発揮できると思いますか?

口では社員も「会社のためにがんばります!」といってくれるでしょうが、内心は「給料分以上は当てにしないでくださいよ」と思っている人もおそらくたくさんいます。

しかし、社長が誰よりも一生懸命仕事をする姿を見せて、右肩上がり成長を継続していけば、優秀な人材の5人に1人は社長に近い思い、行動でついてきてくれるようになります。

そうして走り続けた結果、私は優秀な後任の社長に経営を引き継ぐことができました。

おかげさまで経営者を辞めてから15年間、一度も会社にストレスを感じたことはありません。長い経営者人生の中で、これが最大の喜びだと思っています。

後継者問題で頭を抱えている経営者の方がたくさんいらっしゃいますが、まずは自分が一生懸命仕事を全うすることが第一です。その背中を見てきた人の中から、優秀な後継者が生まれてくるでしょう。

    アントレ 独立、開業、起業をご検討のみなさまへ

    アントレは、これから独立を目指している方に、フランチャイズや代理店の募集情報をはじめ、
    さまざまな情報と機会を提供する日本最大級の独立・開業・起業・フランチャイズ・代理店募集情報サイトです。