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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第98回・ポイントカード進化系

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起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

家電量販店のヤマダ電機が「ヤマダPay」というサービスを始めました。2021年4月時点では、まだいくつかの店舗限定で、順次導入店舗を増やしていくとのことです。この「ヤマダPay」は、多くのスマホユーザーが当たり前のように使っている「ある機能」を取り込んでおり、それによって非常に便利な決済サービスになるといわれています。さて、それはどのような機能でしょうか?

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

日本人はポイントカード好きだとよくいわれます。皆さんもいろいろなお店のポイントカードを持っているのではないでしょうか?

最近はスマホアプリを使ってポイントが貯められるようになるなど、より便利になっていますよね。スマホを使った決済サービスも増えていて、買い物をする時にはスマホが欠かせなくなっています。

今回取り上げた「ヤマダPay」、店頭で勧めてくれた店員さんによれば、ポイントカードがスマホになり、そのスマホを使って決済するのが当たり前となった今の時代において、さらに「その先」を見据えた進化系のサービスなのだそうです。

それでは解説します!

「ヤマダPay」は、スマホに搭載されたことで多くの人がほぼ毎日使っている「ある機能」を活用することで、非常に便利な決済サービスを実現しているのだそうです。といっても、スマホにはいろいろ便利な機能があるので、それだけでは分かりませんよね。

1つ目のヒントは、スマホで買い物をする時の「面倒なあれこれ」を解消してくれるのが、その機能だということです。

スマホを使ってお店で買い物をするところを想像してみてください。会計時にまずはそのお店のポイントカードとなるアプリを画面上で見せて、読み取ってもらいます。さらに、お得なクーポンがある時は、そのクーポンの画面を表示し直して、同様に読み取ってもらいます。そこでようやく決済サービス用のアプリを立ち上げて、支払いが完了するわけです。

この一連の流れ、スマホだけで全てが完結しているので便利なような気がしますが、実際は非常に面倒ではないでしょうか。いちいち画面を表示して、その都度、読み取ってもらうわけですから、実はお互いに手間がかかります。しかも、久しぶりに開くアプリだった場合、アップデートが必要になったり、ログインし直す必要があったりして、思っている以上に時間がかかることもあります。

でも、「ヤマダPay」のその機能があれば、こんな面倒なことをいちいちしなくてもよくなるのだそうです。

2つ目のヒントは、「スマホがなくても便利に使える」ということです。

買い物時にアプリが入っているスマホを持参していなければ、ポイント加算や支払いは当然できませんよね。電話番号や生年月日などで本人確認が取れればサービスを受けられる場合もありますが、流石にその場合でも決済まではできないでしょう。

しかし「ヤマダPay」だと、仮にスマホを忘れてしまっても、ポイント加算どころか、支払いまで問題なくできてしまうのだそうです。

つまり、「ヤマダPay」の大きな特徴は、「個人認証が非常に楽になる」ことです。スマホに搭載されている個人認証で多くの人がほぼ毎日使うものといえば…そう、答えは「顔認証」です。

「ヤマダPay」は自分のスマホを使って顔画像をあらかじめ登録しておくと、スマホやクレジットカードがなくてもヤマダ電機のお店で買い物ができる、画期的な決済サービスなのです。

生体認証の普及が、あらゆる場面で「本人確認」を楽にする

今のところ、登録できるユーザーや使える店舗を限定していますし、サービスとしても試験段階であるため、細かい仕組みについては分かっていないことも多いです。しかし、ゆくゆくは会計時に顔をピッと読み込むだけで、決済まで全てが簡単にできるようになるのだそうです。

こうした顔認証による本人確認の活用は、色々なところで期待されている技術の1つです。

皆さんも経験があるかもしれませんが、先日とある不動産取引をした際、契約書やら委任状やらたくさんの書類にいちいちハンコが必要で、非常に面倒でした。しかし、顔写真との照合による顔認証で本人確認が簡単にできるようになれば、こうした捺印作業は一気になくなると思われます。

行政改革担当大臣の河野太郎氏が「脱ハンコ」を打ち出したり、デジタル庁の新設もひかえていますが、まだまだデジタル化は思うようには進んでいないのが現状です。

そうした問題を一気にクリアしてしまうのが、このような生体認証を活用した取り組みといえるかもしれません。それこそ、法務局などが顔認証アプリのようなものを作ってしまえば、それで全て事足りてしまい、あらゆる法的手続きが一気に簡単になるかもしれません。

司法書士が「そんなことになったら自分たちの仕事がなくなってしまう」と焦っていましたが、今後十分にあり得る話ではないでしょうか。

世の中からパスワードがなくなる日も近い!?

顔認証については「本当に間違いはないのか」「双子や顔がそっくりな場合も大丈夫なのか」といった不安の声があるのは事実です。

であれば、指紋認証や声紋認証、網膜認証、静脈認証など、生体認証の手段は顔認証以外にもいろいろとあるので、そうした方法を考えていけばいいだけの話でしょう。

世界は間違いなく、そのようなデジタル化に向かっていて、パスワードのようなものはどんどんいらなくなる便利な世の中になると思われます。皆さんのビジネスにおいても、そうした未来を踏まえていろんなことをイメージしておくと、何か発見があるかもしれませんね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「顔認証」でした。ちなみに、現在のスマホの解像度であれば網膜認証や虹彩認証は問題なくできるのだとか。あらためて、スマホにはものすごく高度な技術が普通に搭載されているんだなあと気付かされます。

構成:志村 江

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PROFILE
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズ アタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『戦略思考トレーニング 最強経済クイズ[精選版]』(日本経済新聞出版社)、『日本経済 予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』『「AI失業」前夜―これから5年、職場で起きること』(ともにPHPビジネス新書)など。

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