前回、『2 審査項目「自己資金割合」って?』では、創業融資でおさえるべき1つ目のポイント、「自己資金割合」についてお伝えしました。今回は残りの3つのポイントについてお話をします。
創業融資の審査基準4つのポイント2つ目は「経験と能力」です。
■経験とは
一般的な企業の融資審査では、過去の事業の実績から融資の可否判断が行われます。ところが創業融資では、これから起業するので過去実績はありません。
そこで代わりにその人の履歴書データから、今回のビジネスをやっていく上で必要な経験を積んできているかを重視するというわけです。経験は量と質、いずれも大事です。
例えば、飲食業の経験が6年の場合、アルバイト経験で6年か、店長経験で6年かでは後者の方が断然有利となります。
■能力とは
ズバリ経営者としての資質があるかどうかです。
面談での態度、信用できる人物かどうかなどが問われます。
能力として、もう一つ重要なのが「お金の面での能力」。つまり、お金にだらしない人かどうかです。
審査をする際には、本人の過去の銀行通帳の提出を求められ、税金、光熱費などの滞納がないか調べられます。
また、カード会社など金融機関が共通で管理する「個人信用情報網」でブラックリストに載っていないかどうかも調べられます。
カードローンを組んで滞納してきてしまった、電話代を払わずによく電話を止められているなど、過去のことが原因で融資不可になる失敗事例も多くあります。
起業・独立を決意した時点から、お金の管理は慎重にしたいですね。
「返済の可能性」
創業融資の審査基準4つのポイント3つ目、は「返済の可能性」です。
■返済の可能性とは
創業融資の財源は、たどっていけば税金です。
金融機関としては、その大事なお金を起業家に貸すのですから、確実に回収する責任があるわけです。
なので、これから起業家が手掛けるビジネスが、ちゃんと返済できるだけの利益を上げられるものか、厳しく審査されるのです。どんなに情熱をもっていても、どんなに社会に有益なビジネスだとしても、融資が返済できるだけの利益がなければ貸せない。そういった視点で見られます。
■具体的にはどうすればいいのか
返済の可能性があるかないかは、事業計画書上の利益の推移とその妥当性を審査していくことになります。
ざっくりいうと、
- そのプランに説得力があるかどうか
です。
よくある失敗例としては、このことを考えずに、赤字続きの事業計画書を作成してしまうケース。
金融機関としては、貸したくても貸せないということになってしまいます。
「資金使途」
創業融資の審査基準 最後の4つ目のポイントは、「資金使途」です。
資金使途とは、借りたお金の「具体的なつかいみち」。創業融資を受けるには、この使い道を説明する必要があるのです。
つまり、形式上の借入枠があっても、使い道を説明できなければ借りる名目がないため、本当に必要な分までしか借りられないということです。
例えば、事業に必要な資金が1500万円の計画書をもとに、自己資金500万円、借り入れ希望額1000万円の申し込みをする場合。
事業全体でかかる1500万円の内訳を示し、それぞれの項目について見積書などで数字の根拠や資金の必要性を説明しなければならないのです。
一方、コンサルタント業など、多額の資金がかからないビジネスで起業する場合はどうでしょうか。
自己資金が500万円あって、形式的には最大1000万円の借入枠が期待できても、総額1500万円もの資金使途、見積書は示せないはずです。
このケースも、やはり本当に必要な金額までしか借りられないということなります。
あまりお金を必要としないビジネスを想定しているにも関わらず、多額の創業融資を受けられると勘違いしている方も多いのでご注意ください。
【まとめ】
・「経験」は量と質、いずれも大事。「能力」は特に「お金の面での能力」を問われる。
・「返済の可能性」は、事業計画書上の利益の推移とその妥当性を審査される。
・「資金使途」では、必要な金額以上の多額な融資は受けられないので注意。
次回は、「事業計画書」の書き方についてご紹介します。