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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第51回・「にせんだみつお」を笑うな

経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第51回・「にせんだみつお」を笑うな

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

私事ですが、4月19日に新しい本を出す予定です。この本には「ある工夫」をしました。本当は3月末に出す予定で進めていたのですが、せっかくならとあえてずらしたのです。さて、それはどんな工夫でしょうか?

ちなみに、本の内容は「これからの時代をどう生き抜くか」をテーマにしたビジネスパーソン向けのもので、「その工夫」と多少は関係あります。ですが、「なぜ4月のこの時期なのか」というところに着目した方が答えは浮かびやすいと思います。

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

今回は思いっきり自著の宣伝のような感じになっていますが、本当の目的はそこではありません(笑)。「今ならでは」のビジネスについて考えるうえでいいネタだと思ったため、取り上げることにしました。

今、世の中で一番大きな話題は間違いなく「新元号」ですよね。「令和」がいいかどうかは置いておいて、こんな大きなトピックスをビジネスで生かさない手はないでしょう。

今回はそういうお話です。

それでは解説します!

4月19日に発売する本ですが、タイトルは『令和を君はどう生きるか』にしました。一番のポイントは、新元号を入れてあることです。そう、ある工夫とは、新元号の発表ギリギリまで待って、書店に並ぶ新元号がタイトルに入った最初の本を狙うということでした。

出版社のアドバイスで、発表からすぐに文字を置換し印刷する流れで進めたので、サプライチェーン的にも一番早い工程をとってあるはずです。仮に同じようなことを考えている人が何人もいたとしても、かなり早い段階で書店に並べることが可能ではないかと思っています。

新元号が発表になってから、すでにいくつかの「新元号ビジネス」が取り上げられていますよね。ご覧になった方も多いかもしれませんが、発表後すぐに「令和」の文字を入れたぐい呑を売り出した会社がありました。まさに「今やらないでいつやる」的な、話題先行の賢いビジネスだと思います。

今後はやはり、この流れには乗るべきだと思います。

なぜなら、これまでとは違って今回は自粛モードではなく「お祝い色」を出せるからです。どこかお祭り感覚ででき、「やっていい雰囲気がある」わけです。

タレントのせんだみつお氏が、2000年になった時に「にせんだみつお」に改名したようなバカバカしさも、間違いなくアリだと思うのです。

「初」が目指せるかもしれない

新元号の一番のポイントは、選ばれる言葉がこれまであまり広く使われていないものだということ。商標も取られていないわけですから、裏を返せば「初」といえるものができる可能性がある点です。

それこそ「平成大学」のような感じで、自分のところで最初に使ってしまおうみたいな手はあるかもしれませんね。

「平成ノブシコブシ」「Hey!Say!JUMP」みたいに、「令和」を名前に入れる人はいろいろと出てくるでしょう。「令和ランチ」みたいに“ただ乗っかっちゃう”だけでも十分にいいと思います(すでにあるようですね)。

みんながみんな、どこかでそんなことを考えているわけで、普通に考えたらバカバカしいかもしれません。だけど、誰もがやるとわかっている中に突っ込んでいって楽しむということが、今回は重要ではないでしょうか。バカバカしいけど話題になる、ここがポイントです。

「他がやっているから、うちも」でOK!

アドバイス的にいうと、後から乗っかっちゃっていい気楽さを持つことが大事です。「自分が一番手じゃないから恥ずかしい」などと思わなくていい。

近所のお店やライバル店、同じ業界内でそれが始まったら、「じゃあうちもやろう」でいいと思います。ぜひ面白いアイデアを考えて、あなたのビジネスで存分に楽しんでみてくださいね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは、「書店に並ぶ新元号がタイトルに入った最初の本を狙う」でした。ちなみに、元号の話でいうと、昭和の「昭」という字は、元号として使われるまでほとんど知られていなかった漢字だといわれています。確かに「昭和」と、そこから取られた名前くらいでしか使われていませんよね。ちょっとした豆知識でした。


PROFILE
プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズ アタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『戦略思考トレーニング 最強経済クイズ[精選版]』(日本経済新聞出版社)、『「AI失業」前夜―これから5年、職場で起きること』(PHPビジネス新書)。

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