一般的に“稼げる”イメージのある不動産業ですが、開業したい業種として挙げる方も多いものの、専門性の高い分野であるため、踏みとどまってしまう方も少なくありません。ハードルの高さを感じつつも不動産業で独立や開業を検討している方には、フランチャイズへの加盟がおすすめです。
フランチャイズを活用して不動産業で独立や開業をするのには、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。7つの不動産フランチャイズとともにご紹介していきます。
目次
- 不動産のフランチャイズでの独立・開業とは
- 不動産フランチャイズに加盟するメリット5選
- メリット1:ブランド力が利用できる
- メリット2:ほかの加盟店との繋がりができる
- メリット3:フランチャイズに加盟することで情報や知識が得られる
- メリット4:フランチャイズ本部が用意したシステムが利用できる
- メリット5:フランチャイズ本部が提携している企業のサービスが割安で利用できる
- 不動産のフランチャイズに加盟するデメリット4選
- デメリット1:フランチャイズ本部にロイヤリティを支払わなくてはいけない
- デメリット2:希望エリアでの出店を制限される可能性がある
- デメリット3:ブランド力に印象が左右される
- デメリット4:すべてを自由に運営できるわけではない
- 不動産のフランチャイズ7選
- 不動産のフランチャイズの今後
- 不動産のフランチャイズは未経験者でも開業できる
不動産のフランチャイズでの独立・開業とは
街を歩いていると一度は目にしたこともあるであろうフランチャイズの不動産会社ですが、不動産と一言でいっても、取引内容は不動産売買、賃貸、収益(投資)などさまざまです。不動産のフランチャイズでは主に、“賃貸仲介”と“売買仲介”があります。中でも“賃貸仲介”業務を行っている不動産会社は、フランチャイズとはいっても各店舗が独立した会社のような機能を果たしています。
不動産フランチャイズに加盟するメリット5選
不動産のフランチャイズに加盟すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。また、フランチャイズといっても不動産業界ならではの特徴的なメリットはあるのでしょうか。
不動産のフランチャイズに加盟すると、主に5つのメリットの恩恵が受けられます。
1.ブランド力が利用できる
2.ほかの加盟店と繋がりができる
3.フランチャイズに加盟することで情報や知識が得られる
4.フランチャイズ本部が用意したシステムが利用できる
5.フランチャイズ本部が提携している企業のサービスが割安で利用できる
以上5つのメリットについて、掘り下げて解説していきます。
メリット1:ブランド力が利用できる
フランチャイズに加盟する最大のメリットともいえるのが、フランチャイズ本部の看板であるブランド力を利用できる点です。特に不動産は大きな金額の取り引きを行うため、無名の不動産会社では信用力が足りないこともあります。しかし、フランチャイズであれば、実績やネームバリューもあるため、利用者・取引相手も安心してくれるでしょう。
メリット2:ほかの加盟店との繋がりができる
フランチャイズ加盟店は、それぞれの店舗が独立した会社のように機能するとはいえ、ほかの加盟店も自分たちの仲間です。一般的に孤独といわれている経営者ですが、不動産フランチャイズであればほかの加盟店と横のつながりを持てるため、情報共有などができる仲間が見つかりやすいといえるでしょう。
メリット3:フランチャイズに加盟することで情報や知識が得られる
不動産フランチャイズの多くでは、定期的に研修を行っています。研修では業界の最新情報のほか、運営ノウハウについても随時アップデートしてもらえます。短期間で学べる研修が多いので、時間が合うようであればなるべく参加するようにしましょう。有効な情報を手に入れられるかもしれません。有料の研修もありますが、フランチャイズによっては無料で研修を行っているケースもあります。信用がものをいうビジネスでは正確な情報が価値となります。フランチャイズ本部のサポートは有効活用することをおすすめします。
メリット4:フランチャイズ本部が用意したシステムが利用できる
フランチャイズ本部は、業務効率化などを目的にさまざまなシステムの導入をしています。フランチャイズ本部が用意しているシステムは加盟店も使用できることが多いので、同じように業務効率化を図れます。ただし、フランチャイズによっては利用料・導入料などがかかるケースもあります。事前に確認しておくとよいでしょう。
メリット5:フランチャイズ本部が提携している企業のサービスが割安で利用できる
フランチャイズに加盟していると、フランチャイズ本部が提携している企業のサービスを安価で利用できることがあります。どのような提携サービスがあるのかはフランチャイズ本部によって違います。加盟前にチェックしてみましょう。
不動産のフランチャイズに加盟するデメリット4選
メリットだけをみていると、不動産のフランチャイズに魅力を感じる方も多いでしょう。しかし、不動産のフランチャイズに加盟するのにはメリットだけではありません。デメリットを、具体的に4つ紹介していきます。
1.フランチャイズ本部にロイヤリティを支払わなくてはいけない
2.希望エリアでの出店を制限される可能性がある
3.ブランド力に左右される
4.すべてを自由に運営できるわけではない
それぞれのデメリットについて、もう少し詳しく解説していきます。
デメリット1:フランチャイズ本部にロイヤリティを支払わなくてはいけない
不動産に限ったものではありませんが、フランチャイズに加盟すると、毎月“看板使用料”ともいうようなロイヤリティの支払いが発生します。ロイヤリティはフランチャイズに加盟している以上、フランチャイズ本部に払い続けなくてはいけないものなので、固定費として念頭に置いておく必要があります。
ロイヤリティの金額は毎月いくらと決まっているような固定の場合と、売り上げの〇パーセントというものが主流です。中にはロイヤリティが不要なフランチャイズもありますが、その場合システムの利用料が高いなどといったようなことも多いです。不動産のフランチャイズは取り扱う金額が大きいため、ロイヤリティの額も大きくなってしまうといった性質があります。毎月100万円から300万円ほどロイヤリティだけでかかるケースもあるようです。売り上げが低いと赤字になってしまう恐れもある額なので、注意が必要です。しかしながら、ロイヤリティはフランチャイズのブランド利用やフランチャイズ本部から受けるサポートの対価です。不動産フランチャイズの場合は、ブランド力を活用できることで信用度が高まるため、自分が何に価値を置くかをきちんと見極めて加盟先を検討することをおすすめします。
不動産のフランチャイズ以外にも、業務委託や代理店契約のものもあります。いくつものフランチャイズを比較検討して検討するとよいでしょう。
デメリット2:希望エリアでの出店を制限される可能性がある
フランチャイズは、加盟店同士の競合を避けるため、すでに加盟店が同じエリアに出店している場合、その加盟店の半径◯km以内には出店できないなどと定められています。そのため、希望のエリアでの出店ができない場合もあることを覚悟しておいたほうがよいでしょう。出店エリアについても加盟前に希望エリアでの出店が可能かどうかフランチャイズ本部に確認しましょう。
デメリット3:ブランド力に印象が左右される
フランチャイズ加盟店はブランド力を使って集客できる反面、ほかの店舗でトラブルや不祥事があると全国どの加盟店もマイナスのイメージを受けてしまいます。もちろん、教育やオペレーションがしっかりしているフランチャイズなので、ブランド力が影響を受けることは少ないですが、SNSなどを通してトラブルに巻き込まれるケースもまれにあります。これは不動産フランチャイズに限ったことではないものの、自分ではどうすることもできない状態になってしまいます。他店舗でのトラブルであってもフランチャイズ全体のイメージダウンとなることも念頭に置いておきましょう。個人経営の場合は、トラブルが死活問題ともなりますが、フランチャイズの場合、フランチャイズ本部やほかの加盟店と協力しながら信用回復に尽力できることは心強いともいえます。
ブランド力がゆえのマイナス面もあることを知っているかいないかでも、いざというときの対応が異なります。頭の片隅に置いておくようにしましょう。
デメリット4:すべてを自由に運営できるわけではない
フランチャイズに加盟すると、フランチャイズ本部が定めたマニュアルやルールを守る必要があります。“自分にしかできないオリジナルの方法で仕事がしたい”という方にしてみたら、窮屈さを感じることになるかもしれません。しかし、フランチャイズ本部が定めているマニュアルは、これまでの成功パターンに基づいて作成されているので、秘伝の成功マニュアルです。例えば、接客対応、営業トーク、トラブル対応、スタッフ育成など独自の成功の秘訣が詰まったものです。これらを有用だと感じるかどうかで判断が変わってくるでしょう。
ルールや方針はフランチャイズに加盟する前にじっくりと検討し、共感できるかを確認しておくことをおすすめします。
不動産のフランチャイズ7選
不動産のフランチャイズといっても、賃貸・売買・リース、アパート・マンション・戸建てなど、得意とする分野はさまざまです。また、都心部での事業に強いフランチャイズもあれば、地方・地域での事業を得意とするフランチャイズもあります。不動産のフランチャイズに加盟するといっても事業内容が多岐にわたるため、それぞれの不動産会社の強みや特徴を把握しておくことは事業成功のためにも重要なポイントです。
ここからは、7社の不動産のフランチャイズを紹介します。気になるものがないか、ぜひチェックしてみてください。
アパマンショップ
今年で創立20数年と、不動産業界における創立からの年数は短いにも関わらず一躍知名度を上げ、今では聞いたことがない方は少ないであろう不動産のフランチャイズです。日本全国都市部から地域まで偏りなく1000以上の加盟店を展開しています。その加盟店舗数がゆえに物件の取扱数が豊富なのはもちろんのこと、地域の特色や物件の特徴など、ここの不動産業者に確認すれば詳細な情報まで教えてもらえると定評があります。
また、プロモーションを得意としており、芸能人を起用したCMやさまざまなキャンペーンなどを打ち出してくれるため、加盟店としても広告宣伝で困ることはないでしょう。
エイブル
賃貸仲介業をメインに展開する不動産のフランチャイズです。元々は大阪で建設会社を営んでいたこともあり、特に大阪とその周辺、そのほかにも人口が多く収益を上げやすい東京大都市圏に店舗が多いことが特徴です。
エイブルは異業種から参入する加盟者も多く、研修が豊富に用意されているので、未経験者でも安心して開業できるでしょう。また、エイブルとは別ブランドのCHINTAIも確立しています。
センチュリー21
強みは「世界最大級の不動産流通ネットワーク」です。アメリカで誕生して以来、現在では世界86の国と地域に進出し成長を続けている世界最大の不動産仲介ネットワークです。日本国内でも1.000店舗以上の加盟店を展開し、6,500人以上の営業スタッフが働いています。
さまざまな研修メニューが用意されているため未経験者はもちろん、不動産業界内で自身の知名度を獲得して経営安泰を目的としている方や、独立に向けた下準備期間として選んだ方など、すでに不動産業界を経験したことがある方からの人気も根強いようです。研修はオーナーに限らず、店舗で働く従業員に対してもしっかりと行ってもらえるのも特徴です。良い人材育成をしてくれるのも人気の理由といえるでしょう。
ピタットハウス
運営している親会社が建築・不動産・出版・レジャーなどを手掛けるスターツピタットハウスの不動産フランチャイズです。不動産市場での知名度はやや賃貸の印象が強い会社ですが、本来は賃貸も売買も取り扱う総合不動産業者です。
⻑年の営業現場で培った⼈材育成ノウハウを体系化した研修メニューと教育マニュアルが用意されています。ロールプレイを中心とした実践型の研修やオンラインなどのほかにも、各店のニーズにあわせて企画するオーダー研修もあるので、未経験でも心強いでしょう。
ハウスドゥ
東証プライム上場企業であるハウス・ドゥは売買仲介を専門とした不動産フランチャイズではあるものの、売買事業だけでなく賃貸、リフォームなど不動産業におけるさまざまな分野で事業を行っている総合不動産であることが特徴です。直営店を研究所と位置づけ、蓄積したノウハウを共有してくれます。
“ハウス・リースバック”という自宅を売却後もリース契約をして住み続けられる新しいサービスをヒットさせるなど、新規事業に積極的に取り組んでいるのも特徴です。
ホームメイトFC
運営している親会社では、個人の地主のアパートやマンションを建設する際、建設後の賃料保証も建設費とセットにする仕組みを提案しています。この賃貸物件の賃貸仲介が派生し、事業として拡大されたのがホームメイトFCです。
ホームメイトFCには4つの運営形態があります。「直営店」「フランチャイズ加盟店」「ホームメイト倶楽部(ネット会員)」「リースル会員」の4つです。すべての運営形態を合わせると9,000以上の店舗があります。
さらに、ホームメイトFCを運営する親会社が力のある建設会社ということもあり、個人の大地主とのつながりが深いということで、不動産売却の仲介には定評があります。
ミニミニ
賃貸を中心とした不動産フランチャイズです。賃貸中心の直営店を1985年に設立後、1993年にフランチャイズの展開を開始しました。現在では運営している本部が社宅代行の事業なども運営しています。フランチャイズに加盟すると本部が独自で持っている物件情報サイトや全国的に網羅されているネットワークの活用が可能です。
イメージカラーやイメージキャラクターが直営店と加盟店で使い分けられており、ロゴを見ただけでミニミニとわかるようなプロモーションもなされています。
不動産のフランチャイズの今後
不動産は価値が急落することがあまりなかったり、常に取り引きがなされていたりすることから、不動産のフランチャイズは比較的、安定しているといわれています。ただし、取り引きの金額が大きいため、常に気を張っていなくてはいけないのも事実です。
不動産のフランチャイズで成功するためには、どのエリアで店舗を構えるのかも重要なポイントになります。なるべく高立地な場所で起業できるような加盟先を選ぶとよいかもしれません。
不動産のフランチャイズは未経験者でも開業できる
一般的に、不動産と聞くと宅建の取得が必要に感じられます。確かに、事務所に1人、2人ほどは人数に応じて宅建保持者が必要です。しかし、知識を補えるほどフランチャイズ本部の運営サポートが充実しているケースが多く、その場合は、未経験者でも不動産フランチャイズで開業できます。
フランチャイズについて気になるという方は是非アントレを覗いてのぞいてみてください。
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村上 年範さん/クレディ・テック株式会社 代表取締役
金融商品や不動産を活用した経営コンサルティングを得意とし、前職のプルデンシャル生命保険株式会社在籍時より担当したクライアント数は年間200社にのぼる。2013年クレディテック株式会社設立。金融と不動産を軸とし、税務・法務の観点から知識提供を行う、資産形成および財務のコンサルティングサービスを展開。海外不動産についても強いコネクションと発信力を持ち、これまでの取扱高は150MM以上。現在、「幻冬舎GOLD ONLINE」にて、幅広い資産形成ノウハウを連載中。
【村上年範 運営】金融・不動産にまつわるYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCDq3bojqCvTnRXKu7Aur_Kg
ちはる