こんにちは。創業融資の獲得を前提とした事業計画書の書き方のお話を続けます。
前回「人が応援したくなるようなビジョンを持とう」では、
「起業の動機」「 理念や将来ビジョン」は、人に応援してもらえるように。
「事業コンセプト」は、とにかくシンプルでわかりやすいことが重要、とお話ししました。
それでは、「事業コンセプト」は具体的にどのように決めていくのでしょうか。
今回はその話をもう少し掘り下げていきます。
事業コンセプトを決めるには、思いついたアイデアについて
誰が・誰に・どこに・何を・何のために・いつ・どこで・どのように・どれだけ・・・
というような要素を一つひとつ検証して整理していくことが必要です。
では、これらを順に見ていきましょう。
(1)「誰が」とは、会社名(屋号)、役員、出資者、法人か個人か?
(2)「誰に」とは、ターゲット客層はどんな人々(会社)か?
(3)「どこに」とは、対象となる市場、参入する業種、分野は何か?
(4)「何を」とは、提供する商品・サービスは何か?
(5)「何のために」とは、事業を起こす理由は?(市場や商品環境を含む)
(6)「いつ」とは、起業時期はいつか?
(7)「どこで」とは、店舗などの立地は?本店所在地は?
(8)「どのように」とは、他社との差別化は?付加価値は何か?
(9)「どれだけ」とは、どれだけの資金でどれだけの売上を見込むのか?
どうでしょうか?
これって、事業計画書の内容そのものですよね。
検証と見直しを繰り返そう
そうなんです、事業コンセプトを固めるには、事業計画書に書くほとんどの項目の検討が済んでいなければなりません。
- まずは仮説を立てて検証する。
- そして検証をする中で見直し、修正したら仮説を立て、また検証する。
- それを繰り返しながら事業計画書を何度も書き直す。
そんな作業です。
産みの苦しみではありますが、この過程をどれだけ経ているかで、事業そのものも、融資の可否も決まってくるのです。
思いつきのまま、じゃんじゃん進めるというのが、起業の失敗事例に多い“失敗パターン”です。そうならないようにご注意を。
先ほど事業コンセプトは9つの要素から成り立っているというお話をしましたが、各要素を順に見ていきましょう。
(1)「誰が」その商品・サービスを提供するのか
「誰が」の中には、役員や出資者が誰で、法人にするのか個人事業かということも含みます。
この辺りは起業するうえでは非常に重要ですが、事業コンセプトという意味ではズレてきますので、詳細は割愛しますね。
事業コンセプトを考えるうえでの「誰が」には、どんな社名・屋号で、自分がどんな立場で関わるかを考えることも重要です。
例えば、
「社名とサービス名は変えるのか」「ターゲット客層から見て響く社名・サービス名はどんなものか」、「ドメインは取得可能か」、「ありきたりでないか」、「聞き取りにくくないか」、「覚えやすいか」、「イメージが軽すぎたり重すぎたりしないか」、「SEO上有利なものか」、「既に商標登録されていないか」などです。
自分が社長として前面に出るかどうかも考えておく必要があります。
「キャラ立ち起業」と呼んでいますが、社長自らが「○○コンサルタント」などと名乗り、積極的にPR展開することも流行っています。ブログやSNSで個人が容易に情報発信できるようになったことの産物でしょうね。
こういったことを事前に意識するかしないかで、起業後に大きく差がつきます。「何でもありきたり」というのが一番ダメです。起業すればまずは無名の存在からのスタート。インパクトを持たせて、わかりやすく発信して、ターゲット客層に覚えてもらってナンボなのです。肝に銘じましょう!
【まとめ】
・「事業コンセプト」を固めるためには、9つの要素を漏れなく検討し、繰り返し検証しよう。
・「誰が」では、どんな社名・屋号で、自分がどんな立場で関わるかを考えよう。