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フランチャイズ契約の注意点!よくあるトラブルや意外な落とし穴とは?

フランチャイズ契約の注意点!よくあるトラブルや意外な落とし穴とは?
【本記事でお伝えする契約における確認事項】
・フランチャイズの契約期間はなぜ確認が必要か
・契約期間の計算方法に潜む意外な落とし穴がある
・フランチャイズ契約にかかる費用には何があるのか
・違約金の金額と発生条件を確認しよう
・フランチャイズ契約のメリットと制約を理解する
・テリトリー権はどのようになっているのかを見る
・就業規則や商品の制約はあるのか
・フランチャイズ契約のトラブル

フランチャイズでの独立は自ら新規ビジネスや店舗を立ち上げて独立するよりも、成功する確率が高いといわれています。フランチャイズ本部の実績があるマニュアルやノウハウ、すでにネームバリューのあるブランドや商品サービスを開業時から活用できるからです。

しかし、フランチャイズ加盟契約時に注意すべき点を見逃してしまうと、ビジネスの失敗につながりかねません。フランチャイズ加盟時には必ず、「フランチャイズ契約書」によって加盟店とフランチャイズ本部の業務内容や条件を確認します。

フランチャイズ加盟後に後悔したいためにも、本記事では契約時に「ゼッタイに押さえるべき!」ポイントを分かりやすく解説していきます。

フランチャイズ加盟を検討している方は、ビジネスを成功させるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

フランチャイズ契約とは

(完全ガイド)フランチャイズ(FC)とはー4大メリデメ、失敗しない加盟先の選び方

フランチャイズのビジネスモデルは、本部であるフランチャイザーが加盟店であるフランチャイジーに対して、ブランド名、商標、ノウハウなどの使用権を提供し、加盟店はその対価として加盟金やロイヤリティなどの対価を支払う関係にあり、フランチャイズ本部と加盟店は、事業者対事業者の対等な関係です。

この契約をフランチャイズ契約といいます。

フランチャイズ契約とは「フランチャイズ本部がフランチャイズ加盟店に、ブランド名や商標の使用権、ノウハウなどを提供する代わりに、加盟店がフランチャイズ本部に加盟金やロイヤリティなどの金銭を支払う」という内容の契約のことを指します。

「契約期間」「加盟金」「保証金」「ロイヤリティ」「商標の使用権や条件」「商品の供給方法」「使用するシステムに関する規約」「秘密保持契約」「更新時の手続き方法」「中途解約」「解約時の違約金」など、ありとあらゆる情報が網羅されているのが契約書です。

加盟店が契約書をイチから作成する必要はありません。フランチャイズ本部側でひな形が用意されていることがほとんどです。

こちらもおススメ!
フランチャイズについてもっと知りたい方は、こちらの記事も読んでみてください。

「【完全図解】フランチャイズ(FC)の仕組みー4大メリデメと失敗しない加盟先の選び方」

フランチャイズの契約期間

フランチャイズを始める前に、加盟店として契約を締結したらいつまで店舗を運営する必要があるのか、心配になる方もいるかもしれません。

契約期間は、1年や2年、3年、5年、10年などフランチャイズ本部によって異なります。一般的には3年から5年程度の契約が多いといわれています。

では、なぜさまざまな契約期間があるのでしょうか。ここでは、契約期間の違いによるメリットやデメリットを解説していきます。

契約期間の長さはゼッタイに確認する!

フランチャイズを始めるにあたり、契約期間の長さをチェックすることは必須です。では、契約期間が長い場合と短い場合で、どのような違いが生じるのでしょうか。

契約期間が長い場合

一般的に5年以上の契約期間があるフランチャイズは契約期間が長いといえるでしょう。5年契約には飲食店が多く、10年契約にはコンビニエンスストアが多いといわれています。

メリットとしては「契約期間が長いフランチャイズの場合、長期的にフランチャイズ本部からサポートをしてもらうことが多い」ということが挙げられます。フランチャイズ本部が投資した額を回収するのに時間を要することが1つの要因です。

しかし、その場合は途中解約した際の違約金は高額であることが多いため、途中で辞めることが難しいというデメリットがあります。

契約期間が短い場合

一方で、契約期間が短い場合はどうなのでしょうか。一般的に、3年契約以下の契約期間の短いフランチャイズは、比較的小さな事業規模であることが多いといわれています。

メリットとしては「契約期間が短い場合、契約の見直しや変更、途中解約などが比較的行いやすい」ことが挙げられます。また長期契約と比較して、投資回収期間が短いことが多く、加盟店も投資回収期間が短くなる可能性があります。

契約期間が短い場合のデメリットは、契約の更新料がある場合にコストが高くなることです。また更新頻度が多いとその分、加盟店の事務作業が発生し手間になることも、デメリットであると考えられます。

【意外な落とし穴】契約期間の計算方法

契約期間が重要だということは上述しましたが、契約期間の算出方法もフランチャイズ本部によって異なるので、必ず確認しましょう。

契約開始時として多いのが、「契約締結日」や「オープン日」です。「契約締結日」を契約開始時点とする場合、出店準備期間も計画期間に含まれることになります。

契約を締結してすぐ、店舗がオープンできるわけではありません。店舗の取得や内外装工事・店舗設備の導入、さらにアルバイトを含む従業員の採用や研修にいたるまで、場合によっては数カ月間かかることもあります。

そうなると契約締結日が契約期間である場合、加盟後すぐにロイヤリティを支払うという事態も起こり得るため、契約開始日とロイヤリティの算出開始日をしっかりと把握しておきましょう。

フランチャイズの契約費用はロイヤリティだけじゃない

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フランチャイズを始めるにあたって、加盟店が支払うべき費用はロイヤリティだけではありません。例えば、ロイヤリティのほかにも以下のような費用が必要になる場合があります。

・加盟金
・保証金
・研修費
・宣伝広告費
・設備費
・更新費 など

フランチャイズ本部によっては、加盟金の中に開業準備のサポート費用が含まれていたり、研修費が含まれていたりすることもあります。フランチャイズ本部の方針によって異なりますので、それぞれの費用の内訳として何が含まれているかを確認しておきましょう。

また、契約が途中で解約になった場合の違約金に関しても、事前に必ず確認しておきましょう。

違約金の金額と発生条件を理解しよう

契約期間中に解約する場合、違約金が発生する可能性があります。フランチャイズ本部も加盟店の開業のために時間を割き、コストをかけてきているので、「すぐに辞めたい」と加盟店が希望しても円満解約にはならない可能性が高いです。

さらにフランチャイズ契約時に中途解約の定めがない場合、契約期間中に解約することすらできない場合もあります。

経営していく中で、健康上の都合で加盟店のオーナーとしての役割が果たせなくなってしまったり、社会情勢が変わって当初の見込みよりも大幅に売り上げが伸びなくなってしまったりする可能性もあります。

またフランチャイズ契約に記載されている役割を加盟店が行わなかったり、違反だと判断されたりした場合には「契約解除」という措置も取られます。

具体的には、フランチャイズ本部が共有する店舗営業方法を守らなかったり、フランチャイズ本部のブランドイメージを損ねるような行いをしてしまったりした場合などです。その場合は解約による違約金だけではなく、損害賠償も請求される可能性があります。

フランチャイズを経営していく中で、契約期間中に何が起こるかは誰にも分かりません。「違約金の有無と金額、算出方法」や「中途解約の定めがあるかどうか」「契約違反があった場合はどうなるのか」などを事前に必ず確認しておきましょう。

違約金の算出例としては「契約後〇年以内の解約の場合はロイヤリティの〇%」など、契約期間の長さによっても変わってきます。違約金や解約金に関するトラブルを避けるため、契約書の事前確認は、怠らないようにしましょう。

保証金の金額と返金について確認しよう

フランチャイズ契約において、金銭債務を担保するために、加盟店がフランチャイズ本部に預け入れる「保証金」というものがあります。フランチャイズ加盟時に必要となる加盟金とは別で発生し、保証金は債務などがなければ基本的には返還されるものです。

フランチャイズ契約時に、保証金、預託時期、返還方法などが定められるため、保証金の取り扱い方法についてもチェックが必要です。フランチャイズ本部は、加盟店の債務を保証金から充当することがあるため、どのようなケースで保証金からの充当が発生するのかも併せて確認しておきましょう。

フランチャイズ契約にはメリットと制約がある

独立する手段として人気のフランチャイズですが、その理由は加盟店もフランチャイズ本部も、双方にフランチャイズならではのメリットがあるからです。しかし、メリットの代わりにデメリットと考えられる契約書に明記される「制約」があることも忘れてはいけません。

ここでは加盟店の立場として、フランチャイズ契約のメリットと制約について解説していきます。

提供されるノウハウやマニュアルについて

加盟店は、ロイヤリティを支払う代わりにフランチャイズ本部から店舗運営に関するノウハウやマニュアルの共有を受けることができます。では、どのようなノウハウを提供してもらえるのでしょうか。例えば、以下のようなものが提供されます。

・店舗運営のマニュアル
・従業員の教育指導、研修
・経営、店舗運営指導
・売り上げや経費の数値予測 など

店舗運営のマニュアルは、フランチャイズ本部が作成して加盟店に共有されることが多いです。マニュアルの作成は店舗経営の中でも非常に工数のかかる作業のため、加盟店としては大幅な作業軽減につながります。

また従業員への研修も、フランチャイズ本部が請け負ってくれるケースがあります。従業員がフランチャイズ本部によるしっかりとした研修を受けることにより、接客技術などの向上が期待できます。また経営が初めての場合でも、フランチャイズ本部からのサポートがあるため、安心して経営できるのは大きなメリットといえます。

売り上げや経費の数値予測についても、フランチャイズ本部が持つこれまでの実績やほかの加盟店の実績からより精度が高いデータが得られるはずです。季節やイベントなどによってどんな需要のバランスがあるのかというデータも、フランチャイズの場合は把握しやすくなります。

テリトリー権について

フランチャイズ契約の際は、テリトリー権に関しても確認しておきましょう。テリトリー権とは、特定の地域における同一フランチャイズの出店制限のことを指し、以下の種類があります。

1.クローズド・テリトリー
2.オープン・テリトリー
3.期間限定テリトリー
4.優先的テリトリー

1.クローズド・テリトリー

クローズド・テリトリーとは、フランチャイズ本部が加盟店ごとに特定の販売領域を設け、そのエリアでの独占的な販売権を保証する制度のことをいいます。この合意により、出店エリア内に同じフランチャイズのほかの店舗は出店されなくなります。

加盟店にとっては、同ブランドでの競合が少なくなる分、顧客を囲い込めるためメリットは大きくなるといえるでしょう。

逆にこのクローズド・テリトリー制がなければ、近隣にいくつも同じフランチャイズの店舗が出店した場合、顧客にとってはどこの店舗も商品やサービスの質が同じため、顧客の囲い込みができず売り上げや利益はエリア内の店舗に分散されてしまうでしょう。

2.オープン・テリトリー

オープン・テリトリーとは、特定の販売領域に出店する店舗数を制限し、上限を超えてテリトリー内に他のフランチャイズ店の出店をさせない制度のことをいいます。店舗数はある程度は制限されるものの、一般的には、フランチャイズの加盟店同士で競争が発生するといわれています。

コンビニエンスストアなどはある程度近いエリアに複数店舗を構えることで、配送や人員のシフト管理を共有し、効率化させるなどのメリットがあります。

3.期間限定テリトリー

期間限定テリトリーとは、開店後一定期間に限って出店数を制限するという制度を指します。開業時は他の加盟店に顧客を奪われないように、フランチャイズ本部が主導となって新規加盟店の出店を制限します。

しかし、その制限期間が過ぎたら、他の加盟店による新規出店の可能性は大いに考えられます。

4.優先的テリトリー

優先的テリトリーとは、特定の販売領域の中に出店を検討する場合、フランチャイズ本部がその領域内の加盟店オーナーに「追加で出店しないか」と優先的に声をかける制度を指します。

フランチャイズ本部としても新規の加盟店を募集するよりも、既存の近隣加盟店に声をかけることで基本的な研修を省いたり、開業準備までスムーズにこぎつけられたりするメリットがあるためです。

ここまで紹介したどのテリトリー権においても、フランチャイズ本部と加盟店による合意の上、フランチャイズ契約に明記されることになります。

テリトリー権の範囲の指定方法は「店舗から半径〇km」といった距離で指定する場合や市区町村、行政区画、店舗の最寄り駅などで指定する場合があります。

もし、契約時に聞いていなかったテリトリー権についてフランチャイズ本部の担当者などから打診があった際には、契約書を更新するなどしてのちにトラブルになってしまわないように気をつけましょう。

就業規則や商品の制約

フランチャイズ契約の中には、競業避止義務や、商品や備品をフランチャイズ本部が指定したものに限定することなども含まれることがあります。

競業避止義務とは「フランチャイズ契約期間中、もしくは契約終了後の一定期間内は自営も含め、同一商業地域で同一の営業を行ってはいけない」というものです。これは、フランチャイズ本部が提供したノウハウやマニュアルが、ロイヤリティなしに利用されることを防ぐためです。

また商品や備品に関しても、フランチャイズ本部が指定するものを使用する必要がある契約の場合もあります。他の仕入れ先の方が安くなる場合であっても、フランチャイズ本部の求める品質を保つ必要があるためです。加盟店が独自で判断できる範囲については注意が必要です。

考えられるフランチャイズ契約のトラブル

中小企業庁もフランチャイズ契約時の注意点として、以下のような過去のトラブル事例を紹介しています。

・フランチャイズに加盟契約をして経営を始めたが当初の売上予測の半分に満たない
・開店できなかったのに加盟金が返還されない
・思ったよりも実際のロイヤリティが高かった
・売り上げが落ちて赤字になった月にフランチャイズ本部から知らないうちに貸し付けをされていた
・自店の商圏内に同じフランチャイズの店舗が開店した
・経営がうまくいかないので解約を申し出たら、解約違約金を請求された など

契約時に十分な説明がなされない、加盟者も契約内容をきちんと理解できていないまま契約締結を進めてしまうケースもあります。そのような場合は、トラブルの原因となりますので、加盟前に納得がいくまで確認し、説明を求めるようにしましょう。

「フランチャイズ事業を始めるにあたって」(中小企業庁)
※リンクの遷移先はPDFです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります

情報開示書面も参考にしてみる

フランチャイズ展開をして間もない企業などは、フランチャイズのシステムが十分にパッケージ化されていない場合もあります。そのような場合、まだ加盟店が少ないため、フランチャイズ本部のサポートが手厚くなったり、加盟店としての意見が通ることがあったりする可能性も十分あります。

逆にフランチャイズシステムがパッケージ化され、実績のあるフランチャイズの場合は安心感を得られるでしょう。自身の求める条件に合う加盟先を検討してみてください。

日本フランチャイズチェーン協会の公式サイトには、情報開示書面公開企業がまとめてあります。小売業・外食業・サービス業の有名フランチャイズチェーンの「フランチャイズ契約の要点と概説」がそれぞれ閲覧できるようになっています。

フランチャイズに変更するか迷った際には、フランチャイズシステムの体制が盤石で担当者と円滑にコミュニケーションが可能かどうか、開業実績のある企業かどうかを1つの判断基準とすることもおすすめします。

FC加盟・独立をお考えの方へ「情報開示書面」(日本フランチャイズチェーン協会)

こちらもおススメ!
加盟店側に課せられる義務について、こちらの記事に詳しくまとめられています。

「加盟契約 ~失敗しないための【FC加盟】基礎知識~ 第6回」

フランチャイズ契約をする前にしっかり確認を!

フランチャイズの加盟店となり独立するということは、加盟店にとっても大きなメリットがあるため非常に人気の独立方法です。しかし、いざフランチャイズ加盟の手続きを始めると、契約期間や競業避止義務などにより、しばらくの間は経営が順調か否かに関わらず制限がかかります。

また契約内容によっては、加盟店の売り上げや手元に残る利益に大きく影響を及ぼす可能性もあるでしょう。そのため、契約時には契約書をしっかりと読み込み、契約内容を確認することが非常に重要になってきます。契約書に関する不明点は、本部にしっかりと説明を求めましょう。

特に契約期間やロイヤリティなどの加盟店が支払う費用、フランチャイズ契約に伴う制約などは、必ず確認すべき項目です。契約書にサインしてしまってからでは遅いという危機感を持ち、自分に合った契約内容になるよう交渉しましょう。

中小企業庁にもフランチャイズ契約の際の留意点がまとめられ、日本フランチャイズチェーン協会には代表的なフランチャイズの契約内容が開示されています。

フランチャイズ本部とフランチャイズ加盟店は、あくまでも独立したビジネスパートナーとして対等な関係です。ビジネスパートナーとして一緒に事業を大きくしていきたいと思えるフランチャイズ本部を選択することが、後悔の少ない決断につながるといえるでしょう。 

独立開業・フランチャイズ・代理店ならアントレ<毎週金曜更新>

PROFILE

北川美智子

化学品メーカーやIT企業でコンテンツマーケティングを担当したのち、WEBライターとして独立。得意分野は金融、転職、健康ネタなど。

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