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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第57回・信じるも信じないもあなた次第

経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第57回・信じるも信じないもあなた次第

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

駅の券売機には中高生の間で流行している都市伝説があります。それは「ある機能がついている」という噂です。もちろん本当はそんなことはしていないのですが、今のハイテク技術ならそれをやろうと思えばやれるかもしれません。その都市伝説とはいったいどのような噂なのでしょう?

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

今では当たり前になったタッチパネル。駅の券売機はもちろん、スマートフォンやゲーム機、ATMやカーナビ、コピー機など、いろんな情報端末でも使われています。

これだけ普及したのは、画面上のアイコンやボタンなどに直接触れるため操作がわかりやすく、誰しもが直感的に使えるからでしょう。

ただ、直接指先で画面を触ることから、それにまつわる都市伝説があるのです。

それでは解説します!

その都市伝説とは、「指紋をチェックされている」というものでした。画面に触れるたびにセンサーが指紋を読み取って、例えば「指名手配犯ではないか?」などと確認している、そんな話が中高生を中心に噂になっていたのです。

もちろん実際にはそんなことはあり得ません。ただ、技術的にはそれは十分可能でしょう。実はそんな機能がついていても、まったく不思議ではありません。

そう断言できるほど、画像処理技術は進歩を続けています。最近もニュースになりましたが、何かしらの犯罪者が逃走しても、あらゆる場所で撮られた画像をもとに足取りをつかむことができます。新宿・歌舞伎町の防犯カメラがすごいことになっているのは特に有名ですが、実は私たちが思っている以上に、街中にはいろんな映像情報が溢れているのです。

これは都市伝説ではなく本当の話ですが、記念写真でサムアップ(親指を立てるポーズ)をするのは危険だと言われています。写真に写った親指の画像から指紋情報が盗まれてしまうからです。誰かに勝手にiPhoneのロックを解除されてしまう危険性だってあるわけですね。

非常に高いセキュリティーと言われる目の光彩情報についても、3Dで情報を複製する技術がさらに進めば、簡単に突破される可能性も高くなるでしょう。

中国の宅配業者にまつわるあの都市伝説、実は本当だった!?

こうした技術の進歩を追いかけていくと、新しいビジネスチャンスの発見につながる場合もあります。

例えば、体型を3Dで把握する技術も進んでいます。「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」で有名になったアレです。

アパレル側としては、これまで伝統的なパターンで洋服を作ってきましたが、3Dを活用することで新しい手法で洋服が作れるようになり、商品開発そのものが変わると言われています。

また、買う側としても「自分の体型に合うか」が判断しやすくなれば、通販時でもサイズ間違いが減り、返品率も下がるでしょう。もう一歩進めると、自分の体型に合わせて「このブランドの服は自分に合う(合わない)」といったことがわかるようになると、洋服の選び方も変わってくるかもしれません。

体を映すだけで計測してくれる「スマートミラー」の開発も進んでいたりするようで、これだけでもいろんな展開がありそうですよね。

画像情報だけでなく、位置情報の技術も進んでいます。都市伝説の1つで、どうやらこちらは本当ではないかと言われている話があるのですが、「中国の宅配業者は自宅にいる時にしか配達しに来ない」のだそうです。要は、何かしらの位置情報技術を使って、在宅か不在かを見極めているということらしいのです。中国は情報処理などの技術が進んでいて、なおかつ個人情報に関してはすごくオープンな国なので、十分にあり得る話ですよね。

実はAmazonにも似たような話があります。家の人とアマゾンだけが鍵を開けられる「スマートキー」を作ろうとしているという噂です。これが実現すれば、宅配サービスが劇的に便利になりそうです。

こうした話は、一方でプライバシーの問題を含んでいます。ただ、そこさえ無視してしまえば、世の中はかなり効率化できる、という話でもあるでしょう。

よくよく考えてみると、「Amazon Echo」が自宅にあれば、家主が自宅にいるかどうかはAmazon側には筒抜けかもしれません。私たちは普段からプライバシーには気をつけて生活しているはずですが、ある種の「神」のような存在に対しては、無防備に委ねてしまっている部分がある、ともいえます。Amazonを神だというつもりはありませんが、技術の進化にともなって人の意識も少しずつ変わっているのでしょう。

技術の進歩が社会や人を変えていく

今回取り上げた話の多くは、皆さんのビジネスですぐに使える話ではないかもしれません。ただ、技術が進歩することでできることが広がっているのは間違いなく、そこにビジネスチャンスはあるんだということです。

そして、それに伴って社会も徐々に変わりつつあります。「神」のような存在にはプライバシーを委ねてしまうように、人の意識も変わっているということを頭に入れておくと、世の中の見方が少し変わってくるかもしれませんね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「指紋をチェックされている」でした。ちなみに、皆さんも普段からたくさんのアプリを使っていると思いますが、あれもダウンロードする過程でチェックを入れることによって「全部を承諾」しているわけですよね。知らず知らずのうちにあらゆることを委ねてしまている、1つの身近な例かもしれません。


PROFILE
プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズ アタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『戦略思考トレーニング 最強経済クイズ[精選版]』(日本経済新聞出版社)、『「AI失業」前夜―これから5年、職場で起きること』(PHPビジネス新書)、『令和を君はどう生きるか』(悟空出版)。

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