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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第42回・クイズ番組の裏側

経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第42回・クイズ番組の裏側

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

昔は「クイズ番組」といえば手軽に作れる制作費がかからない番組だと言われていました。しかし、どうやら最近はそうではないようで、むしろ制作費がかかるジャンルだと言われています。さて、いったい何に制作費がかかっているのでしょうか?

皆さんがよく見るクイズ番組をいくつか思い浮かべてみましょう。そこでどんなところにお金がかかっていそうなのか、あれこれと想像してみてくださいね。

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

日本人はクイズが好きな国民だと言われているようです。テレビをつけると、どの局でもいろいろなクイズ番組がやっていますよね。最近は番組改編のたびに新しいクイズ番組が生まれるので、「ついつい見てしまう」という人も多いのではないでしょうか。

私も昔からクイズが大好きで、最近ではクイズ番組に出させていただくことも増えてきました。番組の制作会社の人と話をしたり、企画会議に呼ばれたりすることもあるのですが、実は最近のクイズ番組、作るのにお金がかかっているんだそうです。

面白い企画が浮かんでも、「予算的に厳しいなあ」とボツになることも多いのだとか。逆に言えば、それをどう工夫するかが、制作スタッフの腕の見せ所だったりするわけですね。

それでは解説します!

今回のクイズの答えとして「出演者のギャラ」を思い浮かべた人は多いのではないでしょうか。たしかにクイズ番組を見るとたくさんの人が出ていることが多いので、そこに制作費がかかっていそうですよね。

しかし、以前と比べると最近のクイズ番組はMC以外は素人が出演しているケースが多く、実はそこに制作費はあまりかかっていないのです。「クイズ番組はお金がかからずに作れる」と今以上に言われていた10年前と比べても、むしろ芸能人のギャラにかかる費用は減っているんですね。

では何にお金がかかっているのか。それは、番組の中で見せる「画像や映像の許諾費用」なのだそうです。

例えば、ヨーロッパの世界遺産を見せながらクイズを答えさせる場合の、その世界遺産の画像を使うための許諾を取るのに、意外とお金がかかるのだとか。

たしかに、最近はどの業界でも権利問題は非常にシビアですよね。勝手に外部から画像や映像を持ってきて使うことは許されません。だからといって、そうした演出がなければ番組も盛り上がりませんよね。特にゴールデンタイムに放送される番組は、視聴率を取るために必死です。クイズの答えを発表した後にその画像や映像を見せて、出演者たちが「そうなんだ!」などとビックリするシーンが必要なのです。

1つや2つならいいでしょうが、それがクイズの数だけ必要になれば、当然制作費を圧迫するわけです。制作スタッフが頭を悩ませるのにも納得です。

今回の学びのポイントは、「どんなビジネスも、やってみると意外なところにコストがかかる」ということ。そして、それをどう回避していくかが、利益を上げるためのコツだというわけですね。

人件費、広告宣伝費、設備費…削減方法はいろいろ

コストを見直すことで、そのビジネスが飛躍的に伸びるというケースは、実はよくあることです。

たとえば、つぶれかけた焼き肉店が再生したという話があります。その焼き肉店は儲からないために従業員を2人に減らし、2人の従業員でも回る仕組みを考えたというのです。それが、「ワンメニューのお店に生まれ変わる」ということでした。

要は、人件費を減らした分で仕入れる肉の質を上げ、「店長のオススメ」という1つのメニューのみ提供することにしたわけです。メニューを取りにいく必要がなくなり、2人でも十分にオペレーションできるようになりました。しかもそれによって他店との差別化ができ、見事に売り上げがV字回復したんだとか。経営を圧迫していた人件費を見直したところから、新たなビジネスが生まれた例ですね。

人気店「俺のフレンチ」では、他店だと3000円から4000円はくだらないメニューを、たった1200円で提供することで、広告宣伝費をゼロにできたといいます。「破格の値段で食べられる」というお得さが口コミで広がることで集客につながったのです。

大きな飲食店だと月に数十万円の広告宣伝費を使っていると言われていますから、メニューだけで見ると原価割れでも、トータルで見れば大きな効果が生まれたというわけですね。

女性に人気の健康体操教室「カーブス」も、室内の鏡やシャワールームをなくし、女性専用の業態にしたことが成長の要因だと言われています。男性がいたり鏡があると周囲が気になるため排除し、そのかわりウェアは各自持参、シャワーも自宅に帰ってから浴びてね、としたわけです。通常のジムの経営でお金がかかる要素をあえて外すことで、低価格のサービスを実現させたのです。

まずは「どこにコストがかかっているのか」を把握すること!

クイズ番組を作るのにお金がかかるといっても、例えば「パネルクイズ アタック25」や、特番で放送される「クイズショック」などの人気番組は、答えを読み上げるだけの問題が多く、お金がかかりそうな演出も少ないため、制作費は比較的安く済んでいると想像します。やはり、やりようはいくらでもあるのです。

ビジネスをするうえで大事なことは、コストが一番かかっているのはどこなのかをちゃんと把握すること。そこをどう崩すか考えていくところから、新たなイノベーションが起こるんだ、というわけですね。

ビジネスを軌道に乗せる時に非常に重要となるポイントですから、ぜひ頭に入れておいて下さい。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「版権などの許諾費用」でした。ちなみに、最近はクイズ番組のオーディションに行くと、いろいろな人がいる中で、特に外国人の姿が目立っているように感じます。日本語が堪能で知的な彼らはテレビ的にもインパクトがあるでしょうから、残念ながらとてもかなう気がしません。コストをかけずにいかに人材発掘するかも、制作会社の重要な仕事の1つなんだなあとつくづく感じます。


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プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズアタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『「AI失業」前夜―これから5年、職場で起きること』(PHPビジネス新書)。

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