スタイルのある生き方へシフトしたいビジネスパーソンのためのニュース・コラムサイト。
検索
独立ノウハウ・お役立ち

こちらのペースに引きずり込め!商談を成功させる「雑談と交渉」【独立に役立つ心理学・第7弾】

こちらのペースに引きずり込め!商談を成功させる「雑談と交渉」【独立に役立つ心理学・第7弾】

ビジネスパーソンの多くが経験する、商談。
商談では上手に雑談も交えつつ、本題となる交渉も上手く回していかなければいけません。
「これまではバックオフィスで業務を行っていた」という方でも、独立・起業を志すなら、商談は避けて通れない道です。
心理学者の内藤誼人先生に学ぶ、独立に役立つ心理学シリーズ。第7弾は、「商談を成功させる雑談と交渉」についてお聞きしました。
内藤先生は、雑談にせよ交渉にせよ、ポイントは話題の「最後」にあると解説します。
一体、なぜでしょうか?

人間の印象を決めるのは、最初か最後か? アナタの雑談力を変える「ピークエンドの法則」

雑談力を鍛える、というと日頃からマメにおもしろいネタをリストアップしたり、ニュースをチェックしたりと、引き出しを多く持っておくことが大切だと思われがちです。

そうした日頃の努力ももちろん大切ですが、雑談の「コツ」を知っているだけで、アナタの雑談は格段におもしろくなります。

今回はその「コツ」を、お教えしましょう。

ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)のダニエル・カーネマンが行った実験をご紹介します。

カーネマン先生は、2種類のレコードを用意して実験参加者に聞かせました。

1つは、最初の5分間はしっかりと聞き取れるが、後半15分はノイズが入っていて聞き取りづらい「レコードA」。

そしてもう1つは、最初の15分はノイズが入っていて聞き取りづらいが、最後の5分はしっかりと聞き取れる「レコードB」。

この2種類のレコードに対する満足度を調査したところ、後半5分が聞き取りやすい「レコードB」の方が満足度が高かったのです。

つまり人間は、最後に与えられる印象こそが、ものごとを判断する上で1番重要だということなんです。

これを「ピークエンドの法則」と言います。

1番盛り上がったと感じたら、すぐに会話を切り上げろ!

ではこの「ピークエンドの法則」を実際のビジネスシーンで活かすにはどうしたらいいのでしょうか?

カーネマン先生の実験からも分かる通り、日常からストックしてある話題のうち、とっておきのネタは必ず最後に持ってくることが肝心なのは、もうお分かりですよね?

そしてここで忘れてはならないポイントがもう1つあるのです。

それは会話が盛り上がったタイミングで「できるだけ早く会話を終わらせ、引き上げること」です。

よくやってしまいがちなのは、話が盛り上がった勢いでさらに話を続けてしまうこと。

たしかに盛り上がってくるともっと話したくなってしまいますが、これは心理学的には逆効果です。

なぜなら「ピークエンドの法則」にあるように、盛り上がった状態で終わることが、人の印象に大きな影響を与えるからなのです。

せっかく盛り上がっても、無理に会話を続けたせいで、会話を切り上げた頃には盛り上がりが冷めてしまう、なんてことも。

そして盛り上がりが冷めると同時に、アナタへの印象も冷めてしまう可能性が高いのです。

「勝者の呪縛」で、相手に“満足感”を与える交渉を展開する

「ピークエンドの法則」に則り、盛り上がりは最後に持ってくるようにデザインする。

これは、雑談から交渉へ話題が変わっても同じことが言えます。最後に、交渉を上手に乗り切る方法をお教えしましょう。

交渉心理学では「勝者の呪縛」という言葉が存在します。

「勝者の呪縛」とは、「交渉には勝っているはずなのに、なんだか満足できない」状態のことを指します。

どういうことでしょうか?

例えば、アナタが10万円のスーツを8万円に値切りたかったとしましょう。そこで店員に値切り交渉したところ、あっさり「わかりました、8万円で販売します」と値切りが成功してしまいました。

どうでしょうか? 個人的にはがんばって値切ろうと思っていたのにも関わらず、あっさり承諾されてしまうと、なんだか拍子抜けしてしまいます。

そしてそれと同時に「もっと値切れたんじゃないか?」という疑念が出てきますよね?

このように「交渉には勝っているはずなのに、なんだか満足できない」状態を、「勝者の呪縛」といいます。

では逆に、値切りを店員が断ってきたとしましょう。

それでも値切りたいアナタは、なんとかお願いできないかと頼んだ結果、そのお店の店長に直接相談することになりました。

そして店長と交渉を重ねた末「今回だけは特別に8万円で販売します」と交渉を成立させることができました。

もしこのように交渉が成立していたら、きっとアナタはとても喜ぶのではないでしょうか? 

しかし、ここで忘れてはいけないのは前者の交渉にせよ、後者の交渉にせよ「8万円でスーツを買った」という事実は変わりません。

以上の例から、人間は結果に対して満足をするのではなく、結果が出るまでの過程によって満足を得るのです。

そしてその過程が困難であるほど、結果に対する満足度が高くなるのです。

つまり交渉をする際は、問答を重ねた後、最後の最後で相手が喜ぶような条件を提示すると、相手の満足度を高めることができるのです。

そうなってしまえばもう交渉はこちらのもの。「勝者の呪縛」を上手に使って、交渉の主導権を握ってしまいましょう。

「ピークエンドの法則」、そして「勝者の呪縛」。

この2つのスキルを上手く使って、雑談、そして交渉を上手にデザインしてみてください。

【独立に役立つ心理学シリーズ:バックナンバーはコチラから!】
経営者はギャンブルが上手? 独立して稼げる人と稼げない人の違い【独立に役立つ心理学・第6弾】
https://entrenet.jp/magazine/12383/

MB66-001_Fotor

プロフィール:内藤誼人(ないとう よしひと)
心理学者。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。
大学院在学中より専門の心理学を活かした執筆活動を開始し、卒業後に有限会社アンギルドを設立。
ビジネス心理学を実践的に応用するアドバイスには定評がある。
新刊に、「リーダーのための『貞観政要』超入門」(水王舎)
「ヤバすぎる心理学」(廣済堂)など。
講演会・セミナーの依頼は、システムブレーンまで。

システムブレーン(講演・セミナー情報問い合わせ先)
http://www.sbrain.co.jp/

アントレ 独立、開業、起業をご検討のみなさまへ

アントレは、これから独立を目指している方に、フランチャイズや代理店の募集情報をはじめ、
さまざまな情報と機会を提供する日本最大級の独立・開業・起業・フランチャイズ・代理店募集情報サイトです。