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脱サラ起業(開業)に必要な資金の目安はいくら?

脱サラ起業(開業)に必要な資金の目安はいくら?

昔に比べると転職しやすい環境になったり、副業が促進されたりと、キャリアアップや働き方にさまざまな選択肢が増えてきています。起業もその中の1つです。起業という目標に向かって準備を進めている方、まだ検討中の方など様々でしょう。

起業にあたっていろいろと心配事はあると思いますが、中でも“起業に必要な資金はどのくらいなのか”を気にしている方は多いのではないでしょうか。

実際に事業を始めてから軌道に乗せるためには、ある程度の資金が必要となることが多いです。これは、事業を成功させるために必要な資金だけでなく、事業が軌道に乗るまでの間の生活に必要な資金も含めて考えていく必要があります。

人生には不測の事態もあるかもしれませんが、脱サラや起業に踏み切るといった大きな分岐点の前には、具体的にどのくらいの資金が必要かを算出しておくことがとても大切です。

今回はその金額について検討をしてみましょう。

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業種によって負担は大きく異なる

起業に必要な資金の目安は業種によって大きく異なります。資金の算出において最初に問題となるのは「どの業種で起業するか」です。その理由を日本政策金融公庫総合研究所の「2022年度新規開業実態調査」を参考に見ていきましょう。
脱サラ起業(開業)に必要な資金の目安はいくら?

資料の平均値・中央値の推移のグラフを見ると、2022年の開業費用の平均値は1,077万円。2022年を含まない過去3年間の開業費用の平均値も1,000万円前後の数字で推移しています。このことから、開業のために必要な資金の平均値は1,000万円前後ということが分かります。

この資料だけを参考にすると「開業費用は1,000万円も必要なのか」と感じる方もいるかもしれませんが、これはあくまで平均です。中央値は550万円で、開業費用の分布グラフでは、250万円未満が21.7%、250万~500万円未満が21.4%、つまり4割以上が500万円未満で開業しているということが分かります。

このような結果から「一部の企業が開業費用の平均値を引き上げている」ということが推測できます。つまり、開業費用が500万円未満であっても開業や起業ができる可能性は十分にあるということです。その金額を左右する理由の1つに「起業する業種が何であるか」が含まれているといえます。

例えば、小売業や卸売業であれば、最初に商品を揃える必要があります。そのため、開業時に支出が先行します。特定の商品に限定したような展開を目指すのであれば、必要な資金額はある程度絞れるかもしれません。しかし、やはり商売を回すという観点からすると、ある程度の在庫を持てなければ事業を発展させることは難しいでしょう。

製造業の場合には、必要資金はかなり大きくなることが多いです。工場や倉庫の確保、製造するための設備投資、在庫管理、人手の確保など、あらゆる業種の中でも相当な資金が必要となってくるでしょう。

しかし、最近ではものづくり全般に関して、ネット発注や3Dプリンターといった先端技術など小口製造に対応できるような手段も増えているので、そういった方法を検討してみてもいいかもしれません。何を製造するのかにもよりますが、製造手段を含めてどのくらいの資金が必要かを考えてみましょう。

建設業の場合は、実は設備投資などはそれほど必要でないことも多いです。ただし、何といっても必要なのが人手です。極端なことをいえば“人材さえ確保できれば売り上げは作れる”という状態も珍しくない業種なので、いかにして人材を集めるのかが最大のポイントとなります。

飲食や接客サービスの場合、初期投資をどのように賄うかがポイントです。“設備をすべて新品で揃えるのか”あるいは“中古品や居抜き物件で安く済ませるのか”など、何を重視してどこを妥協するのか、シビアに検討をしなければなりません。

IT関係の場合、“作業用のパソコンが1台あれば仕事ができる”ということも珍しくありません。起業してすぐは一人で業務にあたることも多く、わざわざオフィスを用意しなくても、自宅で事業を開始することも可能です。

初期投資も少なく、ランニングコストも不要となれば、必要な資金負担はあまりないことが分かります。

ただ、後述するように事業の規模を考えていくと、結局は人手が必要となることも珍しくありません。最近では無料で使用できる便利なサービスも増えているため、既存の事業形態に縛られず、資金負担の少ないシステムを構築することもできるでしょう。

そういったことも踏まえて、自分が始めようとする事業全体に必要な資金額について想定をしてみるようにしましょう。

「2022年度起業と起業意識に関する調査」(日本政策金融金庫総合研究所)

(P.9より)
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります

脱サラ開業時は私生活とのバランスも大切

開業時は、私生活とのバランスが大切です。起業直後はどうしても生活費を捻出することが難しいかもしれません。

特に、脱サラして起業するという方にとって、これまで当然のように受け取っていた給与がなくなるというのは大きな変化であり、今後の生活面での不安要素にもなる可能性もあります。

そういうときに“生活費の一部を事業の資金繰りに回す”といったことは一般的に行われることです。

ただ、生活を切り詰めるということは、場合によっては借金が増えてしまったり副収入を得るためにアルバイトしなければいけなくなったりということが予想されます。金銭面だけでなく精神的にも時間的にも余裕がなくなるかもしれません。

脱サラ・起業に踏み切る際の準備は“私生活において何を節約できるのか”といった、一見事業とは無関係と思えるようなことも検討しておくことが大切です。

特に家族がいる場合は、自分だけでなく家族全員の将来も含めてよく考えていかなければいけません。起業に向けた準備をしていると、自分一人でやることが多く、中には“自分だけが頑張っている”と感じる方もいます。しかし、家族がいる方の起業において、家族の協力や理解は必要不可欠です。そのことを決して忘れてはいけません。

起業資金とは別に、当面の生活費も含めた資金の準備を進められるといいでしょう。

脱サラして起業を目指すという人は、脱サラする前に、今現在の“給与”と“生活費が年間どれくらいかかっているのか”を参考にして必要な資金を算出するといいでしょう。

また、資金面だけでなく、規則正しい生活を心掛けることも必要でしょう。健康でなければお金を稼ぐことだけでなく、生きていくこと自体が困難になってしまいます。起業して数年は休日や睡眠時間を返上しても仕事に励む日々を過ごすことになるかもしれませんが、できる限り会社員時代と同じ生活を意識すると良いでしょう。せっかく会社員として頑張ってきた経験があるのですから、会社員時代に独立に向けて身に着けたスキルはすべて使っていきましょう。

資金が溜まったからといって必ずしも即脱サラすることだけが起業への道ではありません。将来的には脱サラを選択する日がくるかもしれませんが、副業として事業を始めることも可能な時代です。会社員として一定の給与を得ながら副業で起業するのであれば、もし事業で失敗しても収入減をすべて失うわけではないので、心理的負担は減るでしょう。事業が軌道に乗ってから脱サラ起業することも可能です。自分の生活を第一に考えて脱サラに最適なタイミングを見極めましょう。

さらに、専門家や起業をした知人などがいれば、起業後の生活について直接相談したり話を聞いたりしてみるのが一番です。今後起業家として活動していくのであれば味方は多い方がいいでしょう。一人で悩まずどんどん人脈を作っていきましょう。

事業をどこまで大きく育てたいのか検討する

起業前も起業後も継続して検討をしなければならないのは“事業規模”です。起業をするとして、その事業をどれくらいの規模まで育てたいか考えてみましょう。

あまり難しく考えず次の例のようなものをイメージしてみてください。

“飲食店を始めて、自分が生活できるだけの資金を得ながら、好きな料理の道で生きていきたい”

“飲食店を始めて、いずれは多店舗展開も目指して、ゆくゆくは別業態の飲食店も始める。最終的には上場もできるように事業をどんどんと大きく育てたい”

どちらも“飲食店を始める”という意味では同じですが、目指している将来は全く異なります。

大切なのは“自分に問い続けること”です。そして、そのための“手段を考えて答え(ゴール)を決める”ことが必要になります。“こういう方向性を目指さなければならない”という決まりがないのは、経営者の最大の特権です。自分らしい答えを見つけてみましょう。

規模の拡大だけが起業家の目標ではありません。もちろんどんどん事業拡大をしていく起業家もいいでしょう。しかし、自分の目標を見失うことこそ本末転倒ということを忘れてはいけません。

周りの意見を聞くことや相談することも大切ですが、そこで自分の感覚を無視して、無理に拡大路線を取ると上手くいかないことも多いものです。「人に乗せられて追加融資を受けて複数の店舗を出したが、結局手が回らなくなり気付いたら最初に立ち上げた店舗も上手くいかなくなってしまった…」といった話は残念ながら現実にあります。

規模を大きくするということは、それだけ大きな資金を取り扱うということです。場合によっては数千万円、数億円、数十億円の借金を抱えることになるかもしれません。

また、どのような業種においても成長を目指すためには人手が必要です。どれだけ効率化を図ろうとも、一人の人間にできる仕事の量は限られます。

“人を雇う”ということは、それだけ多くの人の生活を支える立場に回るということです。

さらに、一度雇用した人を簡単に解雇することはできません。場合によっては数十年に亘り、その人と一緒に仕事をしていくことになります。

起業や事業拡大のために“借金を抱える”“人を雇う”。これらの大きな責務を背負うことを考えると、自分の感覚を信じることが大切ではないでしょうか。

起業や事業拡大については、補助金制度や助成金制度もあります。

例えば、起業・開業したい人向けの「小規模事業者持続化補助金」や事業拡大にあたり設備を導入したい人向けの「ものづくり補助金」、東京都独自の助成金で、東京で起業したい人向けになりますが「創業助成金」などがあります(2023年10月11日に、第2回の申請が終わっております)。助成金は使い道が決まっていますが、基本的に返済の義務がないので、自治体などよくチェックし、自分が使えそうなものがないか調べてみるといいでしょう。

こちらもおススメ!
こちらの記事では、補助金について詳しくご紹介しています。

「新年度から始まる注目の経済支援策は? 令和5年度最新の補助金情報を税理士が解説!」」

「小規模事業者持続化補助金(一般型)」(商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局)

「ものづくり補助金」(全国中小企業団体中央会)

「令和5年度第2回 創業助成事業募集のお知らせ」(東京都)

まとめ

事業を軌道に乗せるために必要な資金額は大きく異なります。無料で使用できるシステムも活用しながら、効率の良い仕組みを目指すといいのではないでしょうか。

起業後は私生活とのバランスも重要となります。そして、どれくらいの規模まで事業を育てたいかによって、資金繰りは大きく異なるので、自分自身に問い続けることが必要といえます。

また、法人を設立したいという場合には別途費用が必要になってきます。それぞれの目標によって必要な資金は変わってくるので、自分自身でも調べたり専門家や知人に相談したりするようにしてください。

「業種によって負担は大きく異なる」の章で参考にした日本政策金融金庫総合研究所が公開している資料には「2022年度起業と起業意識に関する調査」という資料もあります。
脱サラ起業(開業)に必要な資金の目安はいくら?

資料にある「起業家の実態」では、起業費用に関するアンケートが実施されています。結果を見ると、起業費用は、50万円未満が32.4%で最も多く、次いで費用がかからなかったが28.5%と、起業にかかる資金が50万円未満という人の割合が過半数です。

“本記事で見た開業資金の数字は何だったんだ”と思う方もいるかもしれませんが、それだけ起業に必要な資金は、業種ややり方によって変わってきます。先の資料を見て「500万円や1,000万円の開業資金が必要だなんて、独立・開業はとても無理だ…」と感じた方も、諦めないでください。

起業のために必要な最低金額を出すには、なるべく正確な資金計画を立てる必要があります。日本政策金融金庫では、これから起業する人へ向けた「創業の手引・創業のポイント集」という資料を無料で公開しています。これから起業をする方、将来的に起業したい方は、脱サラをする前にこのような資料や起業家の先輩の話などを参考にし、なるべく具体的な資金の金額を確認してみましょう。

人それぞれ置かれている立場や条件が違います。まずは事業成功のために日々の生活を守ることを考えたうえで“起業するために自分にはどのくらいの資金が必要で、どうやってその資金を用意したらいいか”を検討して起業を成功させましょう。

「2022年度起業と起業意識に関する調査」(日本政策金融金庫総合研究所)

(P.11より)
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります

「創業の手引、創業のポイント集」(日本政策金融公庫)

<監修>
村上 年範さん/クレディ・テック株式会社 代表取締役
金融商品や不動産を活用した経営コンサルティングを得意とし、前職のプルデンシャル生命保険株式会社在籍時より担当したクライアント数は年間200社にのぼる。2013年クレディテック株式会社設立。金融と不動産を軸とし、税務・法務の観点から知識提供を行う、資産形成および財務のコンサルティングサービスを展開。海外不動産についても強いコネクションと発信力を持ち、これまでの取扱高は150MM以上。現在、「幻冬舎GOLD ONLINE」にて、幅広い資産形成ノウハウを連載中。

【村上年範 運営】金融・不動産にまつわるYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCDq3bojqCvTnRXKu7Aur_Kg

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PROFILE

西川ちづる

新潟市在住のフリーライター。元ダンサー。 子育てや美容系などtoCから、IT・ビジネス系などtoBまで幅広いカテゴリの記事を執筆。

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