独立開業して事業拡大していくためには、メンバーとのチーム作りが大きな鍵となります。
ただリーダーの中には、「メンバーが言った通りに動いてくれない」「どうして文句ばかりなんだ」といった思いをしている人も多いと聞きます。
ここでは、組織業績を向上させるチームを作るにはどうしたらよいか、ご紹介しましょう。
チームとは、協同で相乗効果を生み出す集合体
チームの作り方をご紹介する前に、「チームとは何か」を確認しておきたいと思います。
チームとは、一言でいえば「仲間が思いを一つにして、一つのゴールに向かって進んでいける組織」です。組織行動研究者のジョン・カッツェンバックは、「チームとは、ある特定の目的のために多様な人材が集まり、協同を通じて、相乗効果を生み出す少人数の集合体」と定義しています。
「少人数の集合体」という点では、チーム以外にグループがあります。グループとは人が単に集まった状態を指し、その成果はひとり一人の貢献を足し上げたものです。「組織行動のマネジメント」の著者であるスティーブン・ロビンスは、チームとグループは次の4点で違いがあると説明しています。
① 目標
グループでは、目標そのものが存在しない、あるいは目標を設定しても成果を強く意識することはしませんが、チームでは目標を掲げるだけでなく、メンバー同士で協力し合い、目標の達成を第一に考えます。
② 相互影響
グループでは各メンバーが個々の目標達成に向けて行動しますが、チームではそれぞれのチームメンバーには協力が求められ、相互に関わることで互いの欠点を補い合い、互いの長所を活かしながら目標の達成を目指します。
③ 説明責任
グループでは各メンバー個々が説明責任を負うのに対し、チームではメンバー全員で説明責任を負います。「ひとり一人ができるか」ではなく、「全員でできるか」がチームとして重要な観点なのです。
④ メンバーの能力
グループでは個々のメンバーの能力はバラバラですが、チームでは補完的な能力を持ったメンバーを集めます。個々のメンバーが互いに協力し合い、能力を補完し合いながら活動することで、よりチームとしての力を発揮できるのです。
メンバーとの「関係性」が鍵を握る
では、組織業績を向上させる「理想的なチーム」とはどのような状態を指すのでしょうか?
・オープンなコミュニケーションができる
・立場や意見の違いを超えて、協力し合える
・互いに尊重し、それぞれの強みを活かせる
・一体感がある
・前向きで活気がある
などが挙げられると思いますが、ここで注意しなければならないのは、理想のチームとは決して「仲良しクラブ」ではないことです。時にはメンバー同士、本音でぶつかり合いながら、共通の目的・ゴールに向かって、一体感をもって前に進んでいく必要があります。組織行動学でも、「全員が等しく声を出し」「対立を乗り越えることができ」「肯定性が高く」「まとまりがある」チームが高いパフォーマンスを出すことができると言われています。
しかし、上記のような理想のチームを構築するのは簡単ではありません。なぜなら、人はロボットではなく“感情”を持っているからです。
上手くいかないリーダーに限って、メンバーをロボットのように「指示すれば動いてくれる」と思っている人も多いようですが、メンバーに「このリーダーの言うことは聞きたくない」「この人のためには行動したくない」と思われてしまうと、チームとして機能しなくなってしまいます。
理想的なチームになるためには、“いかにしてチームのメンバーとの関係性を高めるか”が重要になるのです。
メンバーとの関係性を高める2つの姿勢
メンバーとの関係性を高めるためには、2つの姿勢が必要です。
ひとつは「感謝」の姿勢です。
メンバーの言動に対して、小さなことでもよいので「いつも助かっているよ。ありがとう」「本当に頑張ってくれているね」といった労いや思いやる言葉を、ひとり一人のメンバーにきちんと伝えましょう。また言葉もそうですが、行動などで「感謝の気持ち」を示すことも重要です。
もうひとつは「謝罪」の姿勢です。
リーダーでも、メンバーに指示を出したり仕事の依頼をしたりする中で、時には間違えることもあると思います。その際に、リーダーだから威張っていればいいという姿勢では、メンバーは誰もついてきてくれません。
「先日の打ち合わせで、言い過ぎてしまい申し訳ない」
「事前の説明が不足していて、済まなかった」
などと非を認め、きちんと謝罪する姿勢が大切です。するとメンバーも「私も気持ちを入れなおして頑張ります」という感情に変化し、関係性が高まると思います。
日頃から「感謝」と「謝罪」を伝え、メンバーとの関係性を高めよう
ここまで、組織業績を向上させるチーム作りについてご説明してきました。
人は感情の生き物です。メンバーをロボットのように扱っていては、誰も言うことを聞いてくれなくなりますし、誰もついてきてくれなくなります。
常日頃からメンバーとのコミュニケーションの中で「感謝」の姿勢を伝え、時には「謝罪」の姿勢も伝えることで、「このリーダーについていこう!」と思ってもらえるようになることが重要です。
メンバーとの関係性を高めることでチームを活性化し、組織業績を向上させるチームにしていきましょう。
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