独立開業し事業が軌道に乗り始めると、さらなる拡大を目指して新たなメンバーの採用を考えると思います。
ただ、昨今では採用環境が厳しくなっているうえ、たとえ採用できたとしても「思っていた仕事と違った」とすぐに離職されてしまうリスクもあります。将来の事業拡大を目指してお金と時間をかけて採用するのですから、すぐ辞められることがないよう、長く活躍してくれる人材を採用したいですよね。
ここでは、起業後にはじめて採用活動する際、何に注意したらよいのかご紹介します。
現在の条件よりも将来のビジョンで訴求する
2020年に入り、新型コロナウイルスの影響で採用活動を一時休止する企業も出ていますが、ここ数年は少子高齢化で労働人口が減少する一方で各企業の採用意欲は旺盛なため、有効求人倍率が上昇し採用難易度が上がっています。給与等の条件も以前に比べて水準が上がっており、転職希望者は自分自身が培った知識・経験をより高い条件で認めてくれる企業に転職したいと考える人が増えています。
ただ、起業後にはじめて採用活動する場合は、事業規模もまだ小さいということもあり、給与面で高い条件は出しづらい状況だと思います。そのため、いわゆる「お金軸」で転職活動している人よりも「将来、何を目指しているのか?」という会社や事業のビジョンに対して共感し、一緒に実現していきたい、と強く思ってくれる人を採用した方がよいでしょう。
採用活動をする際に伝えたい、3つのポイント
採用活動をする際に、転職希望者に必ず伝えたいポイントは、次の3つになります。
① 会社や事業の明確な「ビジョン」
先ほどお伝えしたように、あなたが掲げる会社のビジョンに共感してくれる人を採用するのですから、最も大切なのは創業者であるあなた自身が、会社のビジョンを明確に描けていることです。あらかじめ会社や事業のビジョンをわかりやすく伝えられるように、整理し明示化しておきましょう。
そして採用面接の際に、あなたが転職希望者に直接「これから一緒に創り上げていってほしい」という思いを伝えましょう。あなたの話を聞いたときに、転職希望者がワクワクしたり、体が熱くなったりして強く共感してもらえるように伝えることが大切です。
転職希望者のスキルももちろん大切ですが、あなたの「会社や事業を成長させることで実現したいこと」に強く共感してくれる人を採用するようにしましょう。
② 幅広い仕事に携われること
起業した直後や事業規模が小さいときに採用する場合、大手企業のように仕事内容の範囲を明確に決めて採用するのは難しい状況だと思います。
それよりも、たとえば「マーケティングの仕事をメインでお願いしたいが、状況によっては総務的な仕事もお願いしていきたい」といろいろな仕事に幅広く携わってもらうことを、あらかじめ明確に伝えましょう。この時点での期待値がずれていると、入社してから「そんな仕事をするとは、聞いてなかった」「こんなはずじゃなかった」となり、すぐに離職されてしまうので注意が必要です。
特定の仕事の専門性にこだわる人よりも、幅広い仕事に携わることに魅力を感じる人、特定の仕事にとらわれずいろいろ幅広く関わることができる人の採用を目指すと良いでしょう。
③ 「経営に近い」ところで働けること
たとえば従業員が10,000人を超えるような大きな会社では、社長をはじめとする会社の経営陣と直接話す機会は数少ないでしょう。しかし起業したばかりの企業であれば、毎日のように経営陣と顔を合わせることになり、経営判断に触れる機会も多くなります。マーケティングや人事、財務などの動きも近くで感じることができ、将来、起業を目指す人にとっては日々経営を意識しながら仕事をすることができる環境といえます。
また事業規模が小さくメンバー数も少ないので、ひとり一人が会社や事業に与える影響が大きくなります。個々の頑張りや行動が仕事の成果に直接結びつくことが多くなり、仕事にやりがいを感じることも多いと思います。経営に近く、ひとり一人が会社に与える影響度が大きいことは、転職希望者にとって大きな魅力になると思います。採用面接の際に、魅力の一つとして伝えてみましょう。
あなたが描く「会社の将来像」を熱く伝え、共感してくれる人材を採用しよう
ここまで、起業後にメンバーを採用するためのポイントについてお伝えしてきました。
起業後にはじめて採用するときは、既存の大手企業のように仕事内容を明確に限定し、より高い条件を提示して採用することは難しいと思います。ただ、会社の創業期に携わり、一緒に会社や事業を成長させられるのは、既存の大手企業ではなかなかできないことです。
転職希望者の中には、ひとつの仕事に限定されずに幅広く活躍したい人や、より経営陣に近いところで仕事したい人もいます。
あなたが会社や事業でこれから実現していきたい「思い」を熱く伝え共感してもらうことで、一緒に会社を大きくしてくれる人材を採用していきましょう。
HIDE