独立開業して事業が順調に拡大していくにつれて、関わるメンバーが増えていきます。ただ多種多様な人材が集まると、メンバーそれぞれに生産性の違いが見られるようになります。
そのため、チームの生産性を最大限に発揮するための「チームマネジメント」が欠かせません。
チームリーダーが理解しておきたい、チームマネジメントの手法と求められる能力について、以下ご紹介していきましょう。
業務効率化を実現する「チームマネジメント」
チームマネジメントとは、チームメンバーが持つ知識や能力を最大限に発揮させるためのマネジメント手法で、チームを率いるリーダーにとって重要な職務の一つです。
企業は、業務効率化を行いながら今まで以上に売上を拡大することで、事業を成長させようとします。しかし、以前のような「良いものを大量に作れば売れる」という時代はすでに終わり、カスタマーのニーズが多様化する中、新しいサービスの開発やイノベーションの創出が求められています。
一方、企業は人口高齢化による生産年齢人口の減少により働き手となる人材の確保が難しくなってきています。また昨今では長時間労働の規制も厳しくなっているため、今までよりも少人数かつ短期間で、今までよりも同様かそれ以上の成果を挙げることも求められています。
このように新たな価値の創出だけでなく、業務の効率化やスピード化も求められる中、「チームマネジメント」が有効であると注目を集めています。
特に大切なのは「目標設定」と「場の雰囲気づくり」
チームマネジメントの目的である「チーム生産性を最大限の向上」を実現するために、ネット上をはじめ世の中にはいろいろな手法が紹介されていますが、今回はその中でも特に大切な「適切な目標設定」と、「建設的な雰囲気をつくる」の2点についてご紹介します。
適切な目標を設定する
チームが一丸となって達成を目指すためには、まず適切な目標を設定する必要があります。目標が実現不可能なものであったり曖昧であったりすると、チームの存在意義が失われかねません。
設定する目標は、簡単に達成できてしまうレベルだとメンバーが頑張らなくなりますし、逆に高すぎるとメンバーが最初からあきらめてしまい、目標が形骸化してしまいます。個々のメンバーに「頑張ったら達成できる」くらいのレベルを見極めて、具体的な数値等で明確に目標を設定するようにします。
チームには多種多様の考えを持ったメンバーが在籍しています。そのため、リーダーは個々のメンバーの多様性を重視しつつ、メンバーひとり一人としっかりと情報共有を行い、メンバーが「その目標を達成したいと思えるか」「目標達成のイメージが描けるか」といったことを確認しながら設定していきます。
またゴールに向けて予定通りに進行しているかどうかを随時チェックすることも重要です。
建設的な雰囲気をつくる
メンバーを統率し、一つの目標に向かってチーム力を発揮するためには、チームの雰囲気作りが欠かせません。
時にはチーム内に批判や衝突が起きることもあると思います。それを皆で受け入れ、建設的な議論になるよう、メンバー間の信頼関係を構築することが重要です。
個々のメンバーの多様性を認め、ひとり一人が必ず発言できる機会を与え、コミュニケーションを活性化させます。誰もが自分の考えを発言し、意見を言い合える「場の空気」をつくりましょう。
成功するチームは、メンバーが批判や争いを恐れず、互いの脆弱性を認め「全員がチームに対する責任と権利」を持っています。その状態が実現できれば、メンバーがそれぞれのリーダーシップを発揮して、互いの弱みをカバーし、強みを活かすことを自然に求めるようになるでしょう。メンバーがモチベーションを維持し、目的と自主性を持って仕事に向かうからこそ生産性は高まるのです。
チームマネジメントに求められる4能力
チームマネジメントを行うリーダーに求められる能力は、大きく以下の①~④になります。
① 目標設定能力
リーダーに求められる能力の一つが、目標設定能力です。チームマネジメントにおける目標設定は、チームメンバー全員が納得できるものでなければなりません。ひとりでも目標に納得できないメンバーがいた場合、その時点で目標達成が困難なものとなります。
そのため、リーダーは設定した目標について、その目的や理由、理念も含めてメンバーに共有し、メンバーの目標に対する納得感を醸成することが求められます。
また達成難易度をギリギリ達成できるレベルに設定することで、チームメンバーのモチベーションや士気を高めます。
さらに中間目標を設定することで、チームやメンバーの進捗管理をしやすくなり、達成確率も高まります。
② コーチング能力
コーチング能力とは、メンバーの強みや長所というポジティブな面を見つけ出し、部下の成長を促し、達成感を与える能力です。
チームで目標を達成するには、各メンバーが自己の能力を最大限に向上させ、発揮することでチームに貢献してもらうことが重要です。そのため、チームリーダーにはメンバーの長所や強みを見つけ出し、それを活かすためのコーチングが求められるのです。
③ コミュニケーション能力
チームリーダーは、チームの目標や業務の目的を設定する段階で、メンバー全員が納得できる説明を行なわなければいけません。また、チームとして目標を達成するために、メンバーに的確な指示やアドバイスを伝える必要があります。
そのためには、リーダーにはメンバー間のコミュニケーションを密に行い距離感を近づけていくコミュニケーション能力が必要です。
コミュニケーション能力を発揮できると、メンバーに言われなくても察知できるほどにメンバーのことをよく知っておくことや、自分の判断が間違っていないと自信をもって言える「信頼関係の構築」も可能になります。
④ 業務遂行能力(スケジュール管理・課題解決能力)
チーム目標を達成するためには、適切にスケジュールを管理し、チームメンバーが予定通り業務遂行できるように補佐し、メンバーそれぞれに的確な指示やアドバイスを行なう必要があります。
チームが直面する課題や問題の中には、チームメンバーはもちろん、リーダーひとりだけでは解決できないものもあります。そのため、チームマネジメントで求められる課題解決能力は、チームメンバーを巻き込んで、適切に解決を促すファシリテーター(組織において、中立的な立場からチーム活動を支援する役割を持つ人材)能力に似たものとなります。
個々の能力をうまく引き出し、生産性向上を実現しよう
今後さらなる事業成長やイノベーション創出が求められる中、チームマネジメントはますますその必要性を増していきます。
しかし、チームマネジメントは合理的にメンバーや業務を管理していくだけでは生産性を向上させることは難しく、ひとり一人と納得した目標設定を行い、彼らの強みや長所を伸ばし、メンバーが一丸となって取り組むような雰囲気を醸成して目標達成していくことが求められます。リーダーはチームマネジメントに必要な能力や習得方法を適切に理解して最適なチームマネジメントを行うことで、チームの生産性向上を実現していきましょう。
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