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合併と買収の違いを解説! M&Aの種類についてもわかりやすくご紹介!

合併と買収の違いを解説! M&Aの種類についてもわかりやすくご紹介!

M&Aと聞くと大企業が行うものと思うかもしれませんが、最近は中小企業が行うM&Aが増えています。後継者不在で廃業を考えている中小企業に対し、新規事業の立ち上げや事業拡大を計画している大企業やベンチャー企業がM&Aを提案することもあります。

今回は、M&Aの代表的な方法である合併と買収について説明します。

合併と買収について

M&Aとは、英語のMergers(合併)&Acquisitions(買収)の略称で、企業の合併や買収を総称して表す言葉です。
“合併”は複数の会社が一つになること、“買収”は一つの会社が他方の会社や事業を買い取ることを指します。

・合併
合併には、2種類あります。
A社がB社を合併し、B社が消滅するのが“吸収合併”です。
A社、B社を統合して、新たにC社を設立するのが“新設合併”です。この場合、C社がA、B社の人材、資産、株式の全てを引き継ぎます。

・買収
買収では、A社もB社も存続させつつ、両方の会社を統合させます。
例えば、A社がB社の株式を買い占めてオーナー会社になり、独立企業のB社がA社の傘下に入る場合です。

出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 「成長に向けた企業連携に関する調査」(2017年11月)をもとに筆者作成

買収とM&Aの違い

買収はM&Aの一種ですが、基本的には経営権も一緒に移る形態を指します。ただし、広義のM&Aでは、経営権は残したままで事業再編を行う資本提携やジョイントベンチャーも含みます。
買収の中で、全ての事業を買収する方法を“株式買収”と呼びます。一部の事業のみ買収する方法は“事業買収”です。
事業買収では、買収されたB社の持つA社の経営権が買い占められた株式の割合によって決まります。
買収の中には、持株会社を作るために自社の株式を新設会社に取得させる“株式移転”もあります。
M&Aでは、“事業買収”と“事業譲渡”、“株式買収”と“株式譲渡”という2種類の言葉を使いますが、これは立場の違いで使い分けているだけで同じ取引です。譲り受ける側から言うと“事業買収”・“株式買収”、譲り渡す側の立場では“事業譲渡”・“株式譲渡”と使い分けます。ここでは、譲り受ける企業の立場で“買収”という言葉を使います。

M&Aを行うメリット

M&Aのメリットはいくつかあります。
買収する側からの視点で整理してみましょう。

①既存事業との相乗効果
買収時には、被買収事業のヒト、モノ、カネ、情報、ネットワークなどの経営資源を精査します。自社に不足している資源の補完や強みの強化、川上・川下の事業統合の効果など、自社が買い取ることで買収価格以上の相乗効果が期待できる事業を選びます。

②既存事業の拡大による“規模の経済”効果
同業種を買い取ることで、自社の事業規模を拡大できます。仕入価格の交渉力、生産コストの削減、効率的な流通網の整備や販促、教育の統合など、事業規模が拡大することで、全社的な生産性向上が期待できます。

③新規事業、多角化によるリスク軽減
事業買収によって、事業のノウハウを持つ従業員と販売先と仕入れ先などの取引先をまとめて入手できます。新規事業を立ち上げる場合に比べて、人材教育や設備投資、市場調査、テストマーケティングなどの準備が必要なくなります。その結果、M&Aを行うことで、短期間にリスクなく事業を始めることができます。

以上は、買収側のメリットですが、譲渡側にもメリットがあります。後継者のいない経営者でも廃業せずに譲渡先に販路や従業員を引き継ぎ、事業を継続できます。廃業となると、従業員は失業し、仕入れ先は販売先を失い、販売先は仕入れルートを失ってしまいます。止むを得ない廃業であっても、取引先や地域経済にも大きな影響を及ぼし、場合によっては取引先の廃業や倒産を招いてしまうこともあります。
M&Aを行うことで、事業を継続できるだけでなく、経営者個人も金融機関への個人保証を解除し、事業譲渡の利益を引退後の資金とすることができます。

M&Aの具体的な方法

合併や買収にはさまざまな形態があります。
具体的な方法を考える前に、何のためにM&Aをするのかをじっくり検討します。買収側としては、買収事業そのものの事業性はもちろん重要ですが、それ以上に自社の事業計画との整合性や相乗効果をさまざまにシミュレーションするのです。場合によっては、事業買収すると同時に既存事業の一部を譲渡する場合もあります。

具体的な方法としては、下記の手順で進めます。

①事業計画をもとに将来のビジョンを描き、M&Aの目的を明確化
②買収先事業の条件と優先順位付け
③対象企業の情報収集とM&A方法の検討
④対象先との交渉、条件交渉
⑤基本合意書の提携
⑥事業・財務デューデリジェンスの実施
⑦最終契約書の締結
⑧従業員、ステークホルダーへの公表、買収後の事業計画の発表
⑨買収の実施

まとめ

2018年の中小企業白書によると、2017年度の中小企業のM&A成約件数は、5年前と比べ、3倍以上に増えています。後継者不在の中小企業が、M&Aを使うことで廃業することなく、自社の経営資源を次の世代へ引き継いでいくことができます。

PROFILE

経営コンサルタント 奥野美代子

外資系の高級消費財ブランドで、日本進出の子会社立ち上げから26年間、マーケティングマネジャーとして、ブランドPR、販売促進、店舗開発、リテール支援を行うなど幅広い経験を持ちます。
独立後は、中小企業診断士とFPのノウハウを生かし、経営者の法人と個人の財務コンサルティングやリスクマネジメント、事業計画策定、マーケティング支援など幅広い支援を行っています。

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その手続き方法はほかの手法に比べて簡易(ただし上場企業は除く)です。

1.双方が合意した内容の株式譲渡契約書を締結する
2.株式の対価の支払いを行う
3.支払い終了後、株主名簿の書き換えを行う

ことで終了となります。そのため中小企業が行うM&Aでは最も多く行われています。

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2020年7月3日

PROFILE

近藤 卓さん(45歳)

(同)ターンムファーム/大阪市都島区
都内でバー経営などを経験。2004年から丹波篠山でハバネロ栽培とホットソース「メローハバネロ」の生産を開始、国内外で評判に。18年の関西豪雨により記録的な不作に見舞われたのを機に、拠点を大阪に移転。「メローハバネロ」の生産は8月から再開予定。 (さらに…)

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