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労働時間を証明するのはタイムカードだけじゃない!

労働時間を証明するのはタイムカードだけじゃない!

タイムカードのない職場で働いていて、未払いの残業代が青天井という事態に陥っていませんか? タイムカードのない職場でも、労働時間の記録をきちんと残しておけば、未払いの残業代を受け取れる可能性があります。
今回は、労働時間の記録を残すために有効な方法・無効な方法を見ていきましょう。

雇用者には従業員の労働時間を把握する義務がある

労働基準法では、労働時間、休日、深夜残業などが明確に規定されているため、雇用者は従業員の勤務時間について把握する義務があると考えられます。平成13年4月(基発第339号)の通達でも、従業員の始業・就業時間を把握し、正確に記録するよう求めていました。

また、労働基準法第108条では、以下の通り、雇用者は賃金支払いの根拠となる賃金台帳を作成するよう定められています。

【労働基準法第108条】
使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

労働基準法施行規則第54条には以下のように定められています。

【労働基準法施行規則第54条】
1.使用者は、法第108条 の規定によつて、次に掲げる事項を労働者各人別に賃金台帳に記入しなければならない。

一  氏名
二  性別
三  賃金計算期間
四  労働日数
五  労働時間数
六  法第33条 若しくは法第36条第1項 の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数

・基本給、手当その他賃金の種類毎にその額

・法第24条第1項 の規定によって賃金の一部を控除した場合には、その額

2.前項第六号の労働時間数は当該事業場の就業規則において法の規定に異なる所定労働時間又は休日の定をした場合には、その就業規則に基いて算定する労働時間数を以てこれに代えることができる。

3.第1項第七号の賃金の種類中に通貨以外のもので支払われる賃金がある場合には、その評価総額を記入しなければならない。

4.日々雇い入れられる者(一箇月を超えて引続き使用される者を除く。)については、第1項第三号は記入を要しない。
(出典:電子政府の総合窓口イーガブ「第十二章 雑則:第百十五条」)

従業員の勤務時間を正確に把握していないということは、残業や深夜残業、休日出勤なども把握されていないため、正確な賃金台帳が作成できないということです。要するに、正確な給与が支払われていないということになります。
雇用者が賃金台帳を作成していない、もしくは虚偽の内容を記入している場合は、労働基準法第120条に基づき、30万円以下の罰金刑となります。また、賃金台帳や出勤簿、タイムカードなど労働時間の記録に関する書類は、3年間の保存が義務づけられています。

社内の「独自ルール」は通用しない

労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」を指します。たとえば、平成12年3月9日の三菱重工長崎造船所賃金カット事件の最高裁判決では、「労働時間」にあたるかどうかは客観的な資料をもとに判断すべきであり、労働契約、就業規則、労働協約などで決定されるべきものではないと述べられています。
そのため、社内に残業や勤務時間に関する独自ルールや慣習があったとしても、客観的な証拠を集めて出るところに出れば、未払い賃金などの訴えは認められると言えるでしょう。

証拠能力の高いものとそうでないもの

では、客観的な証拠とはどういったものを指すのでしょうか。
一般的には、タイムカードの打刻記録や出勤簿などを指しますが、これらが作成されていない職場や、雇用側が記録を握っていて、労働者側が手に入れられないこともあるでしょう。
平成29年1月20日に厚生労働省が定めた、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、客観的な労働時間の証拠を「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録」としています。PCのログイン時間が分かれば、それも勤務時間の証拠となるのです。
このほか、業務日誌、出退勤時間を記したメモ、通勤に使うパスネットの印字記録、会社から自宅または家族への電話の着信記録なども証拠となり得ます。
一方で、未払い賃金をめぐる裁判では、「手書きの勤務時間メモ」の信憑性が争われることもあります。手書きではなく、パソコンで作成した勤務時間メモも同様です。こうしたメモは自由に作成できるものなので、証拠能力が低いとみなされてしまいます。このようなメモだけでは、未払いの残業代を全額受け取れない可能性があります。
ただし、手書きのメモであっても、毎日の勤務時間を分単位で記録しているものや、具体的な業務内容と勤務時間を同時に記録しているものなどは、より証拠能力が高いと見なされます。また、手書きメモの時刻と通勤に使うパスネットの印字記録や、「今から帰る」といった私用のメッセージを同時に提出すると、整合性が高いとみなされるでしょう。
最近では、残業代の証拠を記録できるアプリも登場しています。アプリの記録は機械的に取得するものなので、裁判でも証拠として採用できます。時間だけでなく、スマホのGPS機能で位置情報を記録できるものもあり、会社近辺にいたことを証明できれば、証拠能力が高まります。

みなし労働時間制の場合

実際の労働時間にかかわらず、決められた労働時間分働いたものとしてみなす「みなし労働時間制」の場合は、その従業員がみなし勤務にあたるか、また労働時間の把握が可能な状況にあったかどうかなどが焦点になります。
みなし勤務であっても、法律で定められた労働時間を超える場合には、36(サブロク)協定を結ばなくてはなりませんし、深夜・休日労働、時間外労働については割増賃金を支払う義務があります。

自分の身を守るための証拠集めを

大手広告代理店での新入社員の過労自殺などを機に、長時間労働への世間の風当たりは強くなっています。しかし、いまだに勤怠管理の重要性を理解していない雇用者も少なくありません。
長時間労働は、心身の健康状態に深刻な影響を与えます。自らの身を守るためにも、タイムカードのない職場で長時間労働を強いられた場合は、客観的な証拠を保存しておくようにしましょう。

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元記事はこちら
https://keiei.freee.co.jp/2017/11/13/recording-working-hours/

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