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独立ノウハウ・お役立ち

昨日と同じように働けなくなった時、貴方ならどうしますか?

昨日と同じように働けなくなった時、貴方ならどうしますか?

アントレ会員の皆さん 、こんにちは。

渡邊亜紀子です。

本日は縁あって「アントレSTYLE MAGAZINE」読者の方に、独立についての執筆をすることとなりました。

私は2013年に脱サラし、現在は東京・自由が丘にてストレッチ&スウェディッシュマッサージサロン「Lycka till(リュッカティル)」を経営して5年目になります。

今回は、なぜ独立するに至ったのかをアントレ会員の皆さん にお話ししたいと思います。

私自身は病気をきっかけに起業を決意しました。

病気と聞くと、「むしろ安定した会社員の方がいいのでは?」と思った方も少なくないと思います。

ですが、本当にそうなのでしょうか?

現代は長く入院することが推奨されてはいません。

一定のめどがつけば、早期に退院となって自宅療養や通院治療となります。

復職もしやすい環境にあるでしょう。

しかし、それは私たちの身体にとって良い環境なのでしょうか?

見るべき点としては、「病気をした後、病気にかかる前と同じように働けるのか?」ということです。

病気後は、体力的なことや通院や検査に時間を取られて以前と同じように働けなくなることも少なくありません。

残業ができなくなったり、役職が変更になったりして、今の収入が確保できなくなる可能性もあります。

現在の収入は残業代が含まれたものなのか、役職手当が含まれたものなのかなど、一度確認してみることも大切です。

病気を理由に解雇されることはほとんどなくなってきましたが、今までと同じ収入を得られるのとは 全く別のことなのです。

私は10年ほど前、乳がんの可能性ありということで手術しました(細胞診でも判定は“微妙”でした)。

手術は日帰りで済み、次の日にまた受診しても傷跡など問題ないとの診断でした。

仕事についても、私が早期の復職を希望したこととデスクワークということにより、医師から3日後の復職の了承を得ることができました。

その後も検査で良性腫瘍ということも判明し、手術跡もキレイだということで全く問題なく、何度かの通院で完治したのですが、問題はそこではなかったのです。

復職後は以前と同じように満員電車で会社に通いました。傷口がまだ生々しい頃です。

そんな状態のある日、電車の中で、ふと「あ、ここで押されたら傷口開いちゃうかも」と思ったのです。

すると、急に動悸が激しくなりました。

苦しくはないのですが、痛みを感じるくらい激しい動悸 です。

それ以来、満員電車や混んでいる交差点など、何も考えていない時にも頻繁に動悸が起こるようになってしまいました。

仕事が一段落してから診察を受けて分かったのは、動悸の原因が「手術後の傷を守るための身体の防衛反応」だったということです。

つまり、身体を守るために交感神経がはたらき、常に臨戦態勢をとっていたのです。

結局、動悸は手術とは全く関係ない薬を服用することで治まりましたが、医師の口から“腫瘍における完治”という言葉が出たのは受診後1カ月以上経ってからです。

その間に休んでいれば、こんなことは起きなかったかもしれませんが、医師が完治と診断を下すまで会社を休むことはできるのでしょうか?

私はさらに、それから1年後、難病の疑いがあることを医師に告げられました。

ちょうど関わっていたプロジェクトの締め切りが終わった時期です。

前回の手術のことや検査などで時間が取られることなど色々と考えた結果、私の中に起業という選択肢が浮かびました。

「このまま新しいプロジェクトを引き受ければ、検査の度に休むことになるし、難病と診断され休み続けることは可能だろうか?」

私は、一緒に働く方に迷惑をかけてしまうという罪悪感を強く感じたのです。

期間が分かっていれば多少の融通はきくでしょう。

周りもきっと協力してくれると思います。

しかし、病気にはいつ治るか分からないものも多く、そうそう周りの協力を得られるとも限りませんし、「それならば最初から他の方に代わりをお願いすればよかった」なんて思われてしまうこともあり得ます。

意外と忘れられがちなのが、自分がいなくても仕事がまわってしまった時に感じる、“自分の存在意義に対する喪失感”です。
病後は自分が思っているより心身ともに疲れています。

病気以前のように動けないだけでかなりストレスを感じます。

精神的負担はかなり辛いものとなるでしょう。

私の場合はまだ、“難病の疑い”ということで、検査に時間がかかっていただけなので気力もあったと思います。

検査の結果は、「現在は小康状態なので、無理すればどこかの段階で発症し、どうなるかは分からないので無理しないでください」とのことでした。

結局、このままでは一緒に働く方達に迷惑をかけるだろうと予測できたので、会社を辞めて起業することを決心したのです。

ここで注意してほしいのですが、病気後にすぐに会社を辞めての起業はおすすめできません。

金銭的にはもちろん、身体的にも精神的にもかなり負担が重いので、その状態で0か100かの起業はリスクが大きすぎます。

ですので、病後に起業を悩んでいる場合は、“緩やかな起業”を検討してください。

安定した収入のあるうちに、まずは自分が何をしたいのか、何ができるのかを把握するのです。

冷静に考えてみると、現状のまま起業できる方は少ないのではないでしょうか?

自分の“やりたい事”と“できる事”が異なることもあります。

やろうと思ったことのリサーチや、新しく学ぶことも必要です。

このように、起業の準備には多少の投資や時間が必要です。

会社員時代に行っておくと、資金的にも精神的にも楽になるでしょう。

ゴールの見えない問題に直面することは誰にでも起こり得ます。

その問題は長引くことも多く、心身が疲弊していきます。

ご自身の現状を把握しておくだけでも、問題に直面した時の心構えが変わりますよ。

PROFILE

スポーツトレーナー 渡邊亜紀子

自身の闘病体験から、「QOL」を重視する忙しい大人のための継続しやすい簡単かつ効率的に行えるセルフケアを提案。のべ3000人以上の身体のお悩みを解決。自由が丘スウェディッシュマッサージ&セラピューティックストレッチサロン「Lycka till(リュッカ ティル)」主宰。

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