スタイルのある生き方へシフトしたいビジネスパーソンのためのニュース・コラムサイト。
検索
独立ノウハウ・お役立ち

法人税の中間申告(中間納税)、申告書の提出期限と納付期限は?

法人税の中間申告(中間納税)、申告書の提出期限と納付期限は?

法人経営で税金を納税するタイミングと言えば決算のときだけとは限りません。場合によっては事業年度の途中で中間納税をしなければならないことがあります。
今回は中間納税(中間申告)について、どんなときに必要なのか確認をしていきましょう。

申告期限と納付期限について

まず大原則として、日本の税金は申告期限と納付期限は同じ日に設定されています。法人税についても、申告期限と納付期限は同日で決まっています。
個人所得税の振替納税を選択している場合などには例外的に申告期限から少ししてから税金が引き落とされますが、これはあくまでも例外的なものです。

法人税の中間申告と中間納税ですが、読んで字のごとく「中間」に行われます。
とりあえず納税しておく仮払いの意味合いが強く、最終的には確定申告の時点で清算をされます。
中間納税で200万円納税し、確定申告で一年分の税金が300万円だと計算されれば、確定申告時には100万円だけ納税すれば良いことになります。

もちろん、200万円の中間納税後、一年分の税金が150万円だと計算されれば、払いすぎた50万円は還付されることになります。

中小法人の場合、確定申告の期限は決算期末の2ヶ月後です。3月決算法人であれば、5月末日までに確定申告をして、法人税や住民税等を納税しなければなりません。
この中間で行うわけですから、事業年度の真ん中である9月末日の2ヶ月後、11月末日が中間申告と中間納税の期限となります。

実際には申告をしない?

ここで実務的なお話を。先程から中間申告と中間納税と繰り返し書いていますが、中小法人の実務で言うと、実は中間申告は省略していることが珍しくありません。
というのも、中間申告(納税)というのは、前年の実績を基にして自動的に計算される仕組みが用意されているからです。

例えば3月決算法人が前年度において法人税や住民税、事業税等を一年間で500万円負担していたとします。
この場合、もし企業が中間申告をしなかった場合には、前年実績の半分、250万円の税額で中間申告があったものとして取り扱われます。
つまり11月末日までに250万円の法人税や住民税、事業税等を納税すれば「中間申告と中間納税を期限内に済ませた」ことになるのです。

中間申告に関する資料は税務署や都道府県税事務所、市町村の役所から郵送されてきます。
郵送されてきた書類には、最初から「前年実績を基にして計算された中間納税額等」が印刷されていることも多く、そこに書かれている金額を納税して終わりにしている中小法人が少なくありません(電子申告利用時には郵送が省略されていることもあります)。

それとは別に、中間申告の対象期間を一事業年度と考えて、仮決算を組む方法もあります。前年において利益が大きかったが、当期はそれほどでもなさそうな場合には有効な手段といえます。

ただし、中間申告用の決算を組む必要があるため、相当程度の手間がかかります。決算作業はそれなりに大変ですので、年に2回もやりたいものではありません。
結果、中小法人では前年実績による中間申告(納税)を採用していることが多いのです。

消費税の中間納税

中小法人の実務でもう一つ重要なのは消費税です。消費税についても、前年の実績に応じて納税額が計算されます。

先に知っておきたいのは、消費税というのは国税と地方税に分けられるということです。2017年時点では消費税率が8%に設定されていますが、実はこの内6.3%が国税で、1.7%が地方税に該当します。

消費税の中間申告では、国税部分の金額に応じて回数が異なってきます。
回数の判断は国税部分だけでされますが、実際の納税額には地方税額も含まれますので、その点は注意が必要です。

・前年度の年間国税額が48万円以下の場合、中間申告(納税)はありません。

・前年度の年間国税額が48万円超400万円以下の場合
 半年に1回、中間申告(納税)があります。3月決算法人の場合、11月に前年実績の半額を納税しなければなりません。

・前年度の年間国税額が400万円超4,800万円以下の場合
 3ヶ月に1回、中間申告(納税)があります。3月決算法人の場合、7月、11月、2月に前年実績の1/4をそれぞれ納税しなければなりません。

・前年度の年間国税額が4,800万円超の場合
 毎月中間申告(納税)があります。前年実績の1/12を毎月納税しなければなりません。

消費税にも仮決算による中間申告制度は用意されていますが、実務的にはあまり利用されていません。

なお、消費税については意図的に申告期限を短縮することができます。海外に対する輸出事業を行っているような場合には、消費税の申告をすると還付を受けられることがあります。
企業としては、こまめに還付を受けられる方が嬉しいため、確定申告の期限そのものを短縮し、年に複数回の消費税に関する確定申告をすることができる制度が用意されています。
この制度を利用する場合、中間申告(納税)の制度は適用されません。

法人税等や消費税の中間申告(納税)は、どれも仮払いなので大局的にみれば損得は生じません。ただし、企業の資金繰りという観点からすると、非常に大きな影響を持ちます。特に前年において大きな納税があった場合には注意が必要です。
税額は前年実績から計算できますので、予め納税資金を用意しておくようにしましょう。

まとめ

法人税、住民税、事業税等の中間申告は事業年度の中間月末から2ヶ月後となっています。申告期限までに前年実績の半額を納税する必要がありますが、実務的には申告が省略されることも多いです。
消費税の中間申告は前年実績に応じて回数が異なり、前年の税額が多い場合には回数が増えます。また消費税の場合には確定申告期間を短縮する特例も用意されています。

PROFILE

税理士 高橋 昌也

2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。
その後、ファイナンシャルプランナー資格取得。
商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。

[保有資格等]
AFP、税理士、商工会議所認定ビジネス法務エキスパート

アントレ 独立、開業、起業をご検討のみなさまへ

アントレは、これから独立を目指している方に、フランチャイズや代理店の募集情報をはじめ、
さまざまな情報と機会を提供する日本最大級の独立・開業・起業・フランチャイズ・代理店募集情報サイトです。