2017/09/11 独立ノウハウ・お役立ち

最近よく聞く「キャッシュフロー」とは？

キャッシュフロー経営の重要度が関心を集めており、企業経営のあり方が変わってきています。キャッシュフロー経営は、現金の資金をベースとして企業経営を考える、実質的な経営ともいえるでしょう。しかし、キャッシュフローという言葉の意味を正しく理解していない人も多いため、正しく読み取り経営に生かせていないケースも多くみられます。また、キャッシュという現実的な見地から考える経営は、経営者に自社の本来の姿を示すため、場合によっては目を背けたいと感じることもあるかも知れません。

キャッシュフローとは

そもそも、キャッシュフローとはお金の流れのことを示す言葉であり、現金収支と訳すこともできます。企業の経営活動によっておきた資金の流れとその結果として現れた資金の増減のことをキャッシュフローと呼びます。

キャッシュフローには、一定期間に入ってきたお金であるキャッシュ・イン・フローと、反対に出て行ったお金を示すキャッシュ・アウト・フローがあります。この２つのお金の出入りによって会社の経営が行われているのです。キャッシュフローを考えるためには、キャッシュフロー計算書の「営業活動、投資活動および財務活動によるキャッシュフロー」という項目に注目することになります。営業、投資、財務活動によって出入りするお金がそれぞれに記されており、最終的にその時点で会社が自由に使うことができる現金がいくらあるかを読み取ることが可能です。

営業活動によるキャッシュフローは、営業によって稼いだお金を示します。また、投資活動によるキャッシュフローは設備投資や有価証券、企業買収などに使ったお金を示しています。財務活動とは、借入金や増資によって起こるお金の増減です。優良な企業のキャッシュフローは、営業でプラスとなり、投資活動でマイナスとなっていることが多くなります。これは本業の営業成績が良好であり、積極的な設備投資や運用を行っていることを示しています。また、財務活動としては借入金の返済によってマイナスとなっていることが望ましいと考えられます。

利益とキャッシュの違い

多くの人は、会社の経営を見る時に「利益が出ているかどうか」に注目しがちです。しかし、利益は時に恐ろしい勘違いを与えることがあります。利益は損益計算書上に売上から費用を引いて計上されるものですが、この計算では複雑な会計基準を使うため、損益計算書を作る人により変わることがあるのです。このため、利益が出ていることに満足して実際の資金不足に目をつぶってしまうことになりかねません。

これに対しキャッシュは現金の流れに焦点を当てるため、数値が変わることがありません。見た目だけの儲けのイメージを消し去り、現実的に使える現金だけを映し出します。資金繰りの現状を明らかにして、経営の実態だけを見ることができるものです。

キャッシュフロー経営のメリット

キャッシュフローを意識した経営では、会社が実際に使えるお金を増やすことを重視します。机上の利益を見てリスクから目を背けるのではなく、現金収支を意識して想定外のリスクを回避します。企業間の取引では、自社の経営がスムーズであっても、相手先の問題で不測の事態を引き起こすことがあります。信用取引を行うことがその主な原因といえるでしょう。

利益には売掛による売上も含まれてしまうため、実際にはまだ手に入っていないお金も計上されていることになります。企業間の取引では、売掛、買掛といった先々に支払う約束による売買が頻繁に行われています。これによって現在持っている現金以上の営業活動を行うことも可能となりますが、回収リスクなどを背負うことにもなるのです。また、売掛金回収の遅れによって手形の不渡りなどがあれば倒産につながる恐れがあります。利益ベースの考え方をしていると、現金有高とのズレが生じて黒字であっても健全な経営ではないという矛盾が生じる可能性があるのです。損益計算書では利益が出ていても、会社に現金がないと黒字なのに倒産することもあります。

こうした利益重視の経営で起こり得る矛盾をなくすためには、キャッシュを増やすことを意識しましょう。融資を求める際にもキャッシュフローの良好な決算書は有利に働きます。特に起業から間もない会社や中小規模の会社では、キャッシュフローの状況は財務情報の中でも信用を左右する大きなものとなるでしょう。

まとめ

会計上では利益が出ていても、実際に会社内に現金がないこともあります。開業したばかりの会社や中小企業では特に、資金繰りが大変であり、現金の不足はすぐに経営難を引き起こすリスクとなるので、キャッシュフローを意識することが大切です。

キャッシュフロー経営は、企業活動を現金から見ることができるため、非常にシビアな結果が出ることもあります。経営者としては目を背けたいことかもしれませんが経営の問題点を考える上で大変重要なことです。反対にキャッシュフローの改善を図ることで、経営状況を安定させることができるでしょう。それは信用にもつながるため、融資も有利になり、その後の経営活動を積極的に行うことが可能となります。