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事業承継

M&A関係者によると、最近、個人の会社員から「安く買える会社はありませんか? 」という問い合わせが増えているそうです。 2018年4月出版の「サラリーマンは300万円で会社を買いなさい」(三戸 政和著、講談社)の影響で、ゼロイチから起業するより小さい会社を買い取って経営者となる選択肢を考える人が増えています。 (さらに…)
最近、事業承継という言葉を目にする機会が増えてきました。 どんなときに必要な話で、個人事業主の場合にはどんな手続や対策が考えられるのか、大まかなステップも踏まえて確認していきましょう。

事業承継とは「仕事を引き継ぐこと」

事業承継とは、読んで字のごとく事業(仕事)を承継(引き継ぐ)ことです。 誰かの仕事を、ほかの誰かが引き継ぐことを指します。 実はこの引き継ぎ、実際にやろうと思うと、さまざまなことを考えなければなりません。 その具体的な引継ぎ方法に関しては、後で1つずつ確認をします。 法人成りをしている場合には、その法人の自社株式が評価の対象となり、これこそが事業承継における最大の課題となっています。 ただ、個人事業の場合にはあくまでも”仕事に関係するさまざまな資産や負債”を個別に評価し、その価額に応じてさまざまな対策を練ることになります。

誰が引き継ぐのか?

事業承継を考えるに当たり、誰が後継者になるのか? が大きな問題となります。 以前であれば、親の仕事を子どもが引き継ぐ、というのが一般的な慣習でした。 しかし、最近では子どもが仕事を引き継がず、従業員や第三者を後継者に指名することも増えてきました。 事業承継は、単に手続きをすれば良いわけではありません。 後継者の正当性が関係者から認められなければ、手続きは上手くできたとしても、事業の継続は大変厳しくなります。 ・その人が後継者であることについて、周囲は納得しているのか? ・前任者(廃業する人)が周囲にきちんと「後継者をよろしく」といった引継ぎをしたか? 書類作成や税務の手続きばかりに気が行ってしまい、これらの点を放置した結果、事業承継が頓挫する例は数多くあります。 ですので、後継者の選定については念には念を入れて検討をする必要があります。

事業承継をするまでの流れ

後継者が確定した場合、実際にその後継者に仕事に関係する資産や負債を引き渡す手続きが必要となります。 この際、まず考えるべきは前任者の生存中にやるのか? 死亡後にやるのか?という点です。 どの時点で引き渡しをするのかにより、適用される税法が大きく異なります。

1.生前に事業を引き渡す場合

前任者が生存中に事業を引き渡す場合、譲渡と贈与の方法が考えられます。

(a)譲渡する場合

前任者から後継者に対して、仕事に関係する資産と負債を譲渡する方法です。 資産には事業上の債権(売掛金や貸付金など)、固定資産(設備や車など)、各種権利関係(不動産の礼金や保証金など)が、負債には事業上の債務(買掛金や未払金など)、借入金などが存在します。 それぞれに適正な評価を行い、後継者から前任者にその対価を支払って譲り受け、後継者はあらためて事業を始めることとなります。 実際の評価では、資産や負債の種類(金銭債権や債務、自動車や機械装置、不動産など)に応じて引き渡す方法を検討しますが、大ざっぱにまとめてしまうと 評価額 < 実際の譲渡価格 ⇒ 前任者は事業の譲渡で儲けたので所得税が課税 というような考え方をします。 繰り返しになりますが、実際には資産と負債の内容に応じて前任者、後継者ともに有利な税制も適用できるように検討をすることが必要です。 特に事業用不動産の移転については、かなり慎重に検討をすることが求められます。

(b)贈与する場合

前任者から後継者に対して、仕事に関する資産を贈与により移転させます(負債もある場合には負担付贈与)。 後継者は贈与により資産を取得するわけですから、贈与税を負担しなければなりません。 贈与税の大まかな特徴としては、税率が高いことがあげられます。 一気にすべての資産を贈与で移転させてしまうと、後継者は相当な贈与税を負担しなければなりません。 通常の贈与税では1年当たり110万円の基礎控除額がありますので、何年かにわけて贈与をすれば、それだけ贈与税の負担を低く押さえることができます。 ただし、もし贈与をしている途中で前任者と後継者にトラブルが起こったりすると、大問題に発展します。 そのため、贈与による事業の引き渡しでは”人間関係の円滑さ”が問われることとなるでしょう。 また、親族間であれば前任者の財産状況によっては相続時精算課税制度の適用も検討すべきです。

2.死後に事業を引き渡す場合

前任者の死亡後に事業を後継者に引き渡すとすると、それは相続の手続きになります。 相続の場合、段階を2つに分けて考える必要があります。

(a)遺産を誰にどのように渡すのか?

遺産分割協議や遺言書などに従って、各人の遺産の取り分を決めます。 後継者候補が仕事に関わる財産をしっかりと後継できるように話を進めてきましょう。 さらに注意が必要なのは、親族以外の従業員や第三者による承継です。 遺産分割協議には、親族しか参加することができません。 親族以外の人間を後継者にする場合には、前任者は死亡前に遺言書などを用意して「◯◯さんに事業上の財産を遺します」という遺志表明をしなければ、想定されていた後継者が事業を引き継ぐことができません。

(b)相続税の計算

”誰がどのように遺産をもらうのか”が確定したら相続税の計算をします。 相続税の特徴としては”遺産総額が大きければ大きいほど、税額が高くなる”ということがあります。 事業上の財産だけでなく、生活用資産や投資用不動産など、その人の財産全体の状況に応じて税負担額が大きく異なります。 また、課税のもととなるのは相続発生時点での時価になりますので、値上がり傾向にある不動産などがある場合には、それだけ相続税の課税額も大きくなる可能性があります。 特に、親族以外の承継では税金が高くなる傾向もあるので注意しましょう。 相続による事業承継では、あらかじめ相続税の試算をしておくことが必要不可欠です。

実際に事業承継を行う際の注意点

本来であれば、事業に関わる財産すべてを後継者に引き渡せるほうが好ましいでしょう。 しかし、親族間、あるいは親族以外も含めた人間関係やその税負担まで考慮して、例えば事業用の権利や動産は後継者に、不動産は後継者以外が引き継ぎ、後継者は賃借料を支払って利用していく、というような事例もあります。 また生前の親族間贈与では、動産等のみ贈与し、不動産は前任者が保有したまま使用貸借という形で後継者が利用するなど、さまざまな対策が考えられます。 上で紹介した譲渡、贈与、相続の方法をバランスよく活用し、円滑な事業承継をすることが必要です。

(a)必要な手続き

前任者、後継者ともに、さまざまな手続きが必要です。 ・前任者 税務上の届け出:個人事業の廃業届、青色申告の取り止め、給与支払事務所などの廃止届、消費税の事業廃止届など。 また、死亡による引き継ぎの場合には、その年の1月1日から死亡日までの所得についての準確定申告(死亡日から4カ月以内に申告)も必要です。 前任者の事業形態や引き継ぎのタイミングによっても出すべき書類が異なるので、注意しましょう。 また、従業員の数や勤務時間に応じて、社会保険や労働保険の手続きも必要です。 業種によっては、許認可に関わる手続きを要することもあります。 ・後継者 税務上の届け出:個人事業の開業届、青色申告の承認申請、給与支払事務所等の開設届、減価償却資産の償却方法の届け出など。 開業届と青色申告の承認申請は、開業後速やかに行う必要があります。 また、従業員の雇用があるなら給与支払事務所などの開設届も必要です。 減価償却資産の償却方法については、所得や固定資産の状況に応じて提出の有無を検討します。 さらに、事業の状況によっては消費税に関する届け出も検討が必要です。 仮に大規模な設備投資の必要が迫っているような場合には、あえて消費税の納税義務者を選ぶ「課税事業者選択届出書」の提出も有効となる可能性があります。 前任者の廃業時に、社会保険や労働保険、各許認可に関わる手続きを確認しておきましょう。

まとめ

事業承継とは”仕事を引き継ぐこと”です。 まず”誰が引き継ぐのか?”を入念に検討する必要があります。 事業の引き渡しには生前(譲渡と贈与)と死後(相続)の種類があり、それぞれの方法の利点や税負担を考慮して、最適な移転方法を選択することが求められます。 実際に承継をする際には、前任者、後継者ともに税務をはじめとしたさまざまな手続きが必要となります。
PROFILE

税理士 高橋昌也

2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。 その後、ファイナンシャルプランナー資格取得し、商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。 [保有資格等] AFP、税理士、商工会議所認定ビジネス法務エキスパート
事業承継という言葉を知っていますか? 事業承継とは、会社の経営を後継者が引き継ぐこと。 実はこの事業承継がうまくいかずに会社を畳まざるを得ない、いわゆる「隠れ倒産」をする会社が年々増えているのです。 今回お話を伺ったのは、葬儀・仏事アドバイザーで、一般社団法人継活推進協会の代表理事である冨安達也さん。 冨安さんが代表を務める継活推進協会では、個人や会社の資産や事業、なにより「想い」を次世代に繋げる(継活)ために、様々な活動をされています。 今回はそんな冨安さんのキャリアを振り返ると共に、個人や会社が“継活”を進めることの重要性について伺いました。
<プロフィール> 冨安達也さん 葬儀・仏事アドバイザー・一般社団法人継活推進協会 代表理事 愛知県出身。 高校卒業後、東証一部の葬儀会社「燦ホールディングスグループ」(株)公益社に入社。以降3大都市圏の複数の葬儀社に勤務し、命の尊さや死生観を学ぶ。 22歳のときに、厚生労働省認定一級葬祭ディレクターを最年少で取得。 葬儀担当以外にも葬儀会館の店舗開発、他葬儀社の調査を行い、葬儀ビジネスの提案を行う。 10年間で1000件以上の葬儀を担当し、葬儀前後のサポートの必要性を実感。 2018年、一般社団法人継活推進協会(けいかつすいしんきょうかい)を発足。全国初の実務経験を経た葬儀アドバイザーとしても活躍中。

葬儀業界は完全分業制? 「人の死」における構造的な課題に、感じた違和感

―冨安さんの経歴から教えてください。
冨安さん この業界で働いていると、幼い頃に「死」というものに直面する出来事があったのですかと聞かれることがよくあるのですが、私の場合はそんなこともなく、いわゆる普通の学生時代を送っていました。 もちろん子どもの頃から、葬儀の仕事に興味があったわけでもありませんでした。
―そんな冨安さんが葬儀業界に入るきっかけはなんだったのでしょうか?
冨安さん 1つだけ、人と違ったことがあるとすれば、父の存在ですね。 葬儀会社の一管理職だった父が、私が小学生の頃に独立し、株式会社ティアという葬儀会社を立ち上げました。 創業から1代にして、葬儀社として2社目の東証一部上場を果たした父だったのですが、家では全くと言っていいほど自分の仕事について話をしませんでした。 仕事の楽しさはもちろん、仕事の不平不満や愚痴までも、とにかく仕事に関する話を家ですることはありませんでした。 高校を卒業する前、進路を決めるタイミングでそんな事に気づき、ふと父の仕事って一体どんな仕事なのだろう、と思うようになりました。 そこで地元愛知から離れ、大阪に本社がある(株)公益社に入社しました。
―きっかけは、お父さまの仕事への興味からだったのですね。実際に働かれてみて、いかがでしたか?
冨安さん 人の「死」と向き合う仕事です。悲しみに暮れているご家族と接することは並大抵のことではありません。 しかし、ご遺族より心から感謝の言葉を頂ける仕事であり、本当にやりがいのある仕事です。 公益社に入社後は、数度別の葬儀会社に転職をして、大阪、東京、そして地元名古屋とさまざまな場所・会社で「人の死」を見届けてきたのですが、次第に業界に関する、ある課題感が自分の中で芽生えてきました。
―どのような課題感だったのでしょう?
冨安さん 葬儀会社は、「人生最後の時」に関して「包括してサポートはできない」ということです。 当たり前のことなのですが、葬儀会社は基本的に、お通夜とお葬式・法事などにしか関わることがありません。しかし「人生最後の時」において、お通夜とお葬式だけが必要なわけではありません。 お通夜・お葬式はもちろん、生前なら介護、認知症の問題、相続問題、亡くなった後もお墓の設置や管理の問題など、課題は実に多様に存在します。 介護なら医者や介護士、相続なら税理士や司法書士などの士業の方、お葬式なら葬儀会社、お墓なら墓石会社やお寺など、現状ではそれぞれの専門家に依頼することになります。 そしていずれも決して安い金額で依頼できるものばかりではありません。
―「人生最後の時」において発生する問題が多すぎるが故に、事前準備をしておく必要がある、ということですね。
冨安さん はい。そこで「人生最後の時」を包括して支えることができないかと考え、立ち上げたのが「一般社団法人継活推進協会(けいかつすいしんきょうかい)」だったのです。

「隠れ倒産」の原因は、事業承継ができていないから。会社の事業も“継活”すべき理由

―「人の死」を包括してサポートする目的で立ち上げた、一般社団法人継活推進協会ですが、具体的にどのようなことをされているのでしょう?
冨安さん 私たちは個人・法人問わず、次世代への継承活動“継活”のお手伝いをさせていただいております。 ここ数年で“終活”という言葉が市民権を得るようになりましたが「終わる」のではなく、「継ぐ(つぐ・つなげる)」ことが大切だという思いを込め、「次の世代に想いや事業をつなげる」ために、継活推進協会(けいかつすいしんきょうかい)という名前で立ち上げました。 具体的には「まだ元気だけど、自分に何かあった時の準備をしたい」という方や、両親・高齢の家族のことを考えたいという子ども世代の方から相続や葬儀、お墓などについての相談を受け、目的や要望、予算に応じて最適なものをご紹介しています。 また、事業の後継ぎがいない中小企業の経営者を対象に、事業承継のサポートや相談・コンサルティングも実施しています。 そのほか老人ホーム・行政・お寺さまなどからのご依頼で、入居者さまやご家族の方へ、葬儀や相続についての講演をしたり、行政や寺院と提携してお墓に関するお悩みに答えるセミナーを開くといった活動もしております。
―“終活”もしくは“継活”とは、個人を対象にするものというイメージがあったのですが、「法人」も対象なのは意外です。
冨安さん 法人は「隠れ倒産」(資産が負債を上回る資産超過の状態で、経営の余力を残しているにも関わらず、自主的に会社を休業・廃業したり、解散したりすること)の多くは、人材不足と後継者不足が原因だと言われています。 経営状態は決して悪いわけではないにも関わらず、自主的に会社を畳んでしまうのはとてももったいないですよね。 とはいえ後継者がいなければ事業を存続することもできない、といった悩みを抱えている経営者の方は実はたくさんいらっしゃいます。

自分の財産や事業、そして想いを、次の世代にスムーズにバトンタッチするために

―個人の財産はもちろん、会社の事業も“継活”する必要があるのですね。
冨安さん これは法人にも個人にも言えることですが、次の世代にスムーズにバトンタッチするには、それなりの時間と準備が必要です。 個人の話で言えば、日本は特に相続税が高い国として知られています。 相続税がかかる財産とは、本人が持っている現金(貯金)だけではありません。不動産(建物や土地)、株、動産(車や宝石など)も全て財産として含まれます。 そして注意しなければならないのは、相続税は原則「現金」で支払わなければなりません。 つまり不動産を始めとする現金以外の財産も現金換算し、その分の税金を国に支払わなければならないのです。
―とはいえ、建物や土地はすぐに売るわけにもいかないケースもありますよね?
冨安さん はい。相続によって財産を受け取るはずが、相続税を現金で支払えず返済に困ってしまう、という事例は数多く存在します。 さらに言うと、不動産は相続放棄(相続を放棄してしまうこと)することもできますが、相続を放棄したとしても、建物と土地の管理義務は発生するので、何かとお金がかかってしまいます。 いずれにせよ、不動産を簡単に手放すことはできないのです。 そうした状況になるのを防ぐために、まずは自分が引き継ぐ、ないしは引き継がせる予定の財産について、被相続人と相続人との間で綿密に話し合っておくことが重要です。
―葬儀やお墓と同様に、相続に関しても「亡くなってから」では遅いということですね。
冨安さん はい、私はそう考えて活動を行っております。家族の方が慌ただしく準備をする様子や、伝えたいことを伝えられずに後悔してしまう方、相続時に資産を無くした方にも出会って参りました。 起こってから動くでは遅いのが「相続問題やお葬式」であると考えています。 相続や亡くなる前に自分の葬式のことやお墓のこと、「自分の想い」をエンディングノートなどに記しておかないと、遺族に自分の意志を伝えることができなくなってしまいます。 また相続や葬儀、お墓などに何か懸念点がある場合でも、事前に現状を確認し、準備ができれば必ず何らかの対策を打つことができます。
―冨安さんの今後の目標を教えてください。
冨安さん 高齢者の方はもちろん、若い人に対しても“継活”の重要性を広めていきたいです。 「死」は人生において、最後にして最大の出来事と言っても過言ではありません。その日を迎えた時に、心残りがあると本人も家族の方も苦しいでしょう。 若ければ若いほど、普段「死」について考える機会はまずございません。 しかし、自分や自分の身近な人にもいつか必ず訪れる「最後の時」を意識することができれば、きっと色々な人たちとの「時間を大切にしよう」と思えます。 死を常に意識してほしいというのではなく、大切な人との「時間」を大事にしてほしいというのが私の伝えたいことです。そのための「予防策」を私たち継活推進協会は提案しています。 自分の財産や事業、そして想いを次の世代にスムーズに繋げる。“継活”の考え方がもっと世の中に広まるように、今後も啓蒙していきたいと思います。

2018年11月13日

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