コストカットは企業経営の根幹!必要なポイントや実施手順などを解説

コストカットは企業経営の根幹!必要なポイントや実施手順などを解説

会社を成長させていくために、真っ先に思い浮かべるのは売上を伸ばすこと。そう考える方も多いと思います。しかし本来、会社の継続・発展は、事業運営に必要な経費(コスト)も同じように大切。経営を続けていく以上、限りあるのお金・資源をどう振り分けていくかを常に頭に入れておかないといけません。そして、会社として収益を生むためには、「コストカット」が避けては通れないこともやはりあります。

ただ、コストカットはネガティブなイメージも強く、適切なやり方でないと効果は出ませんし、従業員の士気・生産性の低下につながることもあります。

今回は、コストカットの本来のゴール・考え方、そして具体的なやり方の例をお伝えします。

コストカットとはそもそも何か?

経営はたゆまぬコストカットをすることで、会社・事業の収益を増やすことができます。まずは、コストカットの本来の概念とゴールをまとめます。

コストカットの意味・目的

そもそもコストとは、事業活動を進めるために必要な費用(経費)を指します。人件費、家賃、通信費、水道光熱費、仕入れ等、目に見えるお金もありますし、時間・工数・コミュニケーション等、目に見えないコストも存在します。

会社の成功とはなにか?と言われれば、その答えは会社によってまちまちです。しかし、「収益=売上−コスト」という方程式などこでも同じ。一番大事なのは収益ですから、それをまず念頭に考える必要があります。

つまりコストカットの目的はもちろん、企業・事業の収益を残すこと・増やすこと。だからこそ、「必要なコスト」、つまり売上を上げるために必要な投資はむしろ削ってはいけないのです。削るのであれば、売上につながらず無駄にかかっているコストが何かを見定めて削減する必要があります。

コストカットの効果

正しいコストカットをすることによって、会社にとっては色々なメリットがございます。

・生産性に結びつかないコストを無くすことで、実は業務が効率化される。
・収益が出ることによって、企業価値が上がる。
・収益が出ることは、実は社員の今後のリターンにもつながるので、士気向上につながる。

などでしょうか。
通念的には、コストカットは社員から見たら悪い印象を持たれることが多いですが、実際はその逆です。不要な仕事・余分なコストを見直すことによって、仕事の効率化につながったり、生産性を高めることもできるのです。

ただ、コストカットの本来の目的を決めない状態で進めてしまうと、ただ縛りが強くなるだけで、士気の低下につながりかねません。この後書くコストカットの具体的な方法なども参考にして、より効果的に進めていきましょう。

企業経営にかかわる4大コストとは?

コストカットの対象は色々ありますが、ここでは代表的なものを4つ紹介しましょう。

◆人件費

企業の財務諸表などを見ても、人件費はコストの中でも大きな割合を占めていることが多いです。毎月決まっている基本給の以外にも、深夜勤務手当・残業代・通勤交通費・出張代もこの人件費に含まれます。

近年は、何もお給料を下げなくても人件費を下げられるツールも普及してきています。例えばITツールの発達。コロナの流行もあり、遠隔でも仕事ができる環境がかなり整ってきています。最初だけはお金がかかったりもしますが、在宅勤務ができる環境を作ったり、サテライトオフィスの業者と提携して、違う拠点を作ったりすれば、そもそも出社する必要もなくなり、長期的に見れば通勤交通費の削減に繋がります。

それ以外にも、事務系業務もクラウド型ツール・アプリケーションで便利なものが出てきていますので、手動で行っていた業務も自動化できるようになっています。これらの導入が、人件費削減につながっていきます。

◆採用費

次に大きなお金がかかるのが、人を採用するときにかかるお金です。人の採用は大きく、新卒・中途の二種類の採用手法があり、なかでも新卒はインターンシップ(今は中小企業でもよく行っております)や説明会の開催、求人広告への掲載など、色々必要になってきます。

社員1人採用するのにも、数十万~数百万ほどかかると言われていますから、それだけ経営上大きなコストですよね。さらに、せっかく入社してもらっても、早いタイミングで辞められてしまった場合は、費用・時間含めて無駄になってしまいます。早期退職も避ける努力も、採用コストを下げるためには必要なのです。

◆オフィスコスト

オフィスコストとは、テナントの家賃のことだけを指しているわけではありません。代表的なものだとコピー機・プリンタのリース費用、コピー用紙代、机・椅子のリース代、事務用品代など、オフィスで必要になるもの全般を指します。

人数が多ければ多いほど費用も増えていきますし、その逆に、減らすことができれば大きな収益につながります。さらに、家賃は毎月発生するものでもありますので、一度削減できれば、その効果をずっと実感することができます。

今後は在宅勤務のさらなる普及により、社員全員が座れるほどの床面積を確保する必要もなくなります。そうなると、狭く家賃が安いオフィスに移転することを検討するケースも増えるでしょう。そして、出社する人数が減れば、連動して電気代やコピー代などの別のコストも削減できるはずです。

総務省が出した試算によりますと、在宅勤務やフリーアドレスの普及が進むことによって、オフィスでの電気の消費量は一人あたり43%削減可能といわれています。オフィスのコストを減らすために、企業で在宅勤務を増やしていくのも、利益を生み出す上ではありでしょう。

◆IT機器の費用

パソコンやタブレットなど、IT機器の進化は本当にめまぐるしく、そしてどんどん機能もよくなっていきます。その利便性をいかにl浸透させていくかが企業のテーマになっています。生産性を上げるのも大事ですから。でも、毎年危機を買い換えられるわけではありません。都度新しいものを購入していては、積み重なって大きな費用がかかります。本当に必要なのであれば、買うだけではなく、「リース・レンタル」の形も検討してみましょう。新規で購入するコストを抑えながら、最新機器を利用することができるのがリースの利点です。

購入・レンタル・リースそれぞれにメリットやデメリットが存在するので、使う目的とどれくらい使うのかを検討したうえで、調達方法とかける費用を決めていくべきだと思います。

最後に、

コストカットは、場あたり的に進めたり、不定期に行っても効果は薄いでしょう。会社である以上、収益を継続して生み出していくことが求められます。つまり、コストカットも常に検討すべきであるという意識を持ちましょう。だからこそ、計画・段取りが大事です。コストカットを恒常的に行っていくためには、計画、実行、改善のプロセスを何度も繰り返し、効率化していく必要があります。 ここではコストカットの基本的な手順について紹介します。

ー今のコストの現状分析・プラン作成
最初でもお伝えした通り、重要なのは、コストカットそのものも目的の設定です。そのためにはまず現状の課題を把握。必要なコストもあります。何にコストがかかっているのかをまずは知った上で、必要なもの・そうでないものを取捨選択し、そして取り組むべき優先順位を決めましょう。順番を決めたら、具体的な行動プランまで落とし込めるとより効率的に進めることができます。

ープランの実施・共有
コストカットプランを作成したら、実行に移していきます。大事な点、コストカットを推し進めるときは、関わる人全てに情報を事前に伝えておくことです。そもそもコストカットにはネガティブなイメージがつきやすいもの。いきなり経費が使えなくなる・削減削減と言われた、などということになれば、社員の士気が一気に下がってしまうものです。繰り返しになりますが、コストカットにも意義があります。意義がある以上、社員にも理解してもらった方がいいに決まっています。浸透させるのも経営者の大事な役割です。

ー結果の分析・検証
コストカットで社員に負荷がかかることも多いので、実施したまま振り返りをしない、というのは絶対にダメです。社員の努力に報いるためにも、行った後、コストを削減することができたのか・収益は出るようになったのか、など分析もセットでやらなければなりません。実施期間も、1ヶ月、3ヶ月、半年後などある程度期間を決めて行うことによって、前後比較もしやすいです。結果が可視化されることで、社員も「今取り組んでいる意義」も理解しやすいので、士気を維持する効果もあります。

ー改善!
コストカット施策への評価・分析を行なった後は、その結果をもとに改善を行います。バックオフィスのメンバーだけでなく、取り組みは全従業員で協力して行う必要があります。企業にかかるコストは局所的なものではなく、すべての従業員の一つひとつの行動と密接に関連しているからです。

また改善案は少人数チームで考える方法もありますが、従業員からコストカットアイデアを募集するのも良いでしょう。

最後に、コストカットのイメージそのものを普段から払拭していく取り組み・発信も大切です。欧米などでは、利益創出の一つとして完全に認知されていますが、日本ではまだまだ「会社の業績がやばくなったときの最終手段」というイメージが強いようです。ただ、普段からコストカットを意識しておくことは、業績の悪化を未然に防ぐことになり、賞与への還元など、社員が普段から利益の恩恵を受けられることにもつながります。これは経営の本質ですので、自信をもって粘り強く、ネガティブイメージを払拭していきましょう!