店舗ビジネスに欠かせない「商圏」範囲の設定方法とは
- 2022.05.20
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独立・開業し、新しい店舗を出店しようと考えたとき、業態が定まったあとはまずはどのエリアに出店するのかを決める方が多いはずです。その際にぜひやるべきなのが『商圏分析』です。店舗ビジネスの成功確率を上げるためには必要不可欠な要素といえるでしょう。とはいえ、商圏とはそもそもどんなものなのか、商圏の範囲はどの程度に設定すべきなのかなど、初めての場合はわからないことが多いですよね。そこで本記事では、商圏の基本的な情報と、商圏の範囲をどのように設定すべきか、実際どのように分析すべきかなどをまとめてご紹介します。
『商圏』とは何か
商圏とは、店舗ビジネスを展開するにおいて、その店舗に来店するお客さんが住んでいる範囲のことをいいます。商圏を分析して集計したデータを活用しやすいように保存しておくことで、出店するエリアを決める指標となるだけではなく、出店後のビジネスにも活かせます。
商圏はエリアマーケティングにおいてかなり重要な概念であり、商圏を把握することでビジネスを成功へと導くことができるでしょう。
商圏分析のメリット
では、商圏を分析・把握することのメリットはどういった点にあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
エリアやターゲット層の特徴を把握できる
商圏の範囲を定めて分析することで、そのエリアそのものの特徴や、ターゲットにしている層の特徴を捉えることができるようになります。
エリアの特徴を把握するということは、自店舗にマッチしているか、データを元に判断できるということです。つまり、そのエリアに出店して売り上げを上げられる見込みがあるかを見極められることにつながるわけです。
退店リスクを減らせる
商圏分析を行うことで、狙っているエリアとターゲット層の特徴を把握でき、それを出店後の売り上げ予測にも活用できるとお伝えしました。
売り上げが立つ見込みを把握できるということは、見当違いなエリアに出店せずに済むということですよね。
商圏範囲を決め、そこで集計したデータを元にしっかりと検討を重ねて出店の可否を決定できるので、「一度出店したのにもかかわらず結局売り上げが伸び悩んで退店することになった」というリスクを減らせます。
店舗出店以外にも活用できる
商圏の範囲を決め、分析することによって得たデータは、店舗出店エリアを決める際に活用できます。
さらにそれ以外にも、出店後の販促戦略を立てたり、広告出稿時の効果予測や検証を行ったりなど、さまざまなマーケティング活動において活用できるのです。
ただし、このように店舗運営に活かしていくためには、定期的に商圏分析を行う必要があります。
周囲の環境の変化をいち早く察知できる
定期的な商圏分析を重ねることで、ちょっとしたエリア状況やターゲット層の変化を察知できます。
こういった変化は、顧客の店舗利用の行動変化にもつながってくる可能性が高いため、何か問題が起こったときも迅速に原因を把握して対応できることでしょう。
商圏分析のデメリット
店舗ビジネスにおいてさまざまなメリットがある商圏分析ですが、実施するのにデメリットも存在します。
多角的に調べる必要があるため、手間・コストがかかる
出店を検討している店舗の商圏の範囲を決定し、必要なデータを集計して分析する『商圏分析』は、流れとしてはシンプルですが、分析するために集めるべきデータはさまざまあり、詳しい商圏を把握するためには多角的に調べる必要があります。
ひとつの情報だけでは偏った情報になりかねないので、できることなら情報をより多く集めたいところ。しかし、集めるにはどうしても手間とコストがかかってしまうため、なかなか多くの企業が深くまで手をつけられていないのが現状です。
さらに、店舗の特徴によって集めるべき情報も異なるので、一概にこのデータを集めたら大丈夫とはいえない点はデメリットといえるでしょう。
すべてを包括的に調査できる業者がなかなかない
商圏分析は多角的に行う必要があるものです。手間とコストがかかるので、本来の業務以外にしっかりと時間をかけられる体制が欲しいところです。とはいえ、そのために体制を変えたり人手をプラスしたりするのはむずかしいですよね。
独立・開業してひとりで業務を行っていたり、副業としてまずは事業を行ったりしている場合は、なおさらじっくり時間をかけるのは大変でしょう。
そうなると、業者に委託することを検討することになりますよね。しかし、商圏の範囲を設定し、さまざまな情報を多角的に集めて分析するといった方法で、包括的に調査してくれる業者はなかなか見当たらないのが現実です。結局のところ手間がかかってしまうことになります。
定期的に行う必要性がある
店舗を出店する際には商圏分析を一度行うことでしょう。出店エリアを決める際には一度でいいかもしれませんが、今後そこで店舗を営業していくとなると、定期的に行うのがおすすめです。
というのも、一度の商圏分析では、調査したときのみのエリアやターゲット層の特徴や状況しか把握できないから。周辺情報やターゲット層の特徴は移り変わっていくものです。次に商圏分析をした際には、何かしらの変化が起こっているでしょう。
分析し集めたデータを比較することで、起こっている変化を把握し、店舗運営に活用していけるというわけです。
一度の商圏分析の結果のみを参考に店舗運営をしてしまっては、変化による問題に上手に対処できなくなってしまうでしょう。
定期的に行うことで得られるデータにメリットはありますが、かかる手間を考えるとデメリットにも当てはまるといえます。
商圏の範囲とは
商圏の範囲の設定は、出店する店舗の特徴によって大きく異なります。なぜなら、店舗によってターゲット層や店舗への来店頻度、店舗への主なアクセス方法が異なるからです。コンビニエンスストアと大型ショッピングセンターでは、行く頻度もアクセス方法も違ってくるのは当然ですよね。
では、商圏の範囲はどのように設定するのが適切なのでしょうか。まずは、参考となる例を見ていきましょう。
商圏の範囲の例は以下の通りです。
・コンビニエンスストア:~500m(移動手段:徒歩)
・飲食店(定食屋、中華料理店等):~500m(移動手段:徒歩)
・ファミリーレストラン:2~3km(移動手段:車)
・大型小売店(GMS):10~20 km(移動手段:車)
・ドラッグストア:2~5km(移動手段:車)
例に挙げたものだけでも、範囲はかなり異なります。
参考:make smiles『商圏とは?商圏分析の方法や決め方について徹底解説』
商圏の範囲の種類とは
商圏の範囲にはいくつか種類があります。
・足元商圏
・一次商圏
・二次商圏
・三次商圏
・運転時間商圏
『足元商圏』は、店舗や会社がある場所から5分程度で移動できる範囲のこと。次に紹介する『一次商圏』の範囲と同一と捉えられることが多い範囲です。
『一次商圏』は店舗から徒歩で10~15分程度で、来店頻度目安をほぼ毎日と設定している範囲のことです。
そして『二次商圏』は自転車で10~15分程度でアクセスできる距離で、来店頻度の目安を週に1〜2回と設定する範囲のことを指します。
さらに『三次商圏』は、電車や自動車で30~40分程度でアクセスできる距離で、来店頻度の目安を月に1回から3ヶ月に1回と設定する範囲のことです。
また、郊外にある大型駐車場を備えている店舗などの場合は『運転時間商圏』という範囲が適切。店舗からの運転時間で商圏を作成する方法です。
こういった商圏の種類から自店舗に適した商圏の範囲を選択する必要があります。
出店エリアを決めるときは分野を決めて商圏分析を行うのがおすすめ
商圏分析は、今後独立・開業をしようと検討している方にとっても、これから直近で出店を考えている方にとっても、そして現状独立・開業して店舗を経営している方にとっても大切になります。
商圏分析をすることで、出店エリアの策定はもちろん、今後の戦略を考えることにも役立てられるでしょう。
今後独立・開業しようと考えているのであれば、商圏分析の基本とともに、どの分野で開業をするかをしっかり考えることも必要です。
独立・開業のアイデアを得たいなら、独立開業を支援する独立情報サイトをチェックするのがおすすめ。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。
ameri
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