会社員でもFIREできる? 実際に早期リタイアをした人を税理士が調査!

会社員でもFIREできる? 実際に早期リタイアをした人を税理士が調査!

コロナをきっかけに一気に日本に広がった「FIRE(早期リタイア)」ブーム。

前回の記事では、FIREについて詳しく解説しました。
究極のワークライフバランスを実現? 話題のFIRE(早期リタイア)を税理士が解説!

みなさんの中には「そんなに若くもないし、貯金もないしFIREなんて無理だよね……」と、諦めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実際のところ、FIREは身近とは言いづらく、実践している人はまだまだ少数。みなさんの周りにFIREを達成された方がいらっしゃらないからこそ、なかなかイメージしづらいというのも本音かもしれません。

そこで今回は、FIREを達成した人の話を紹介したいと思います。

会社経営をしてFIRE達成した人だけでなく、会社員をしながらFIREを早期に達成した方もいます。一体どのようにしてFIREを達成したのか、詳しく見ていきましょう!

Case 1:世帯年収800万円でもFIREができる? 不動産投資から、結果的にFIREを達成した人

FIREを達成した人が、必ずしも最初からFIREを目指していたとは限りません。
まずはFさんのケースを見てみましょう。

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Fさんプロフィール
現在の年齢:52歳
家族構成:奥さん、こども2人
世帯年収:800万円
FIREを目指した年齢:30歳
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Fさんは元々ごく一般的な会社員です。

小さく不動産投資を始め、徐々に資産を増やしていき、結果的にFIREという選択肢が見えてました。

30代を迎えたタイミングで、Fさんは「このまま会社員をしているのでは将来が大丈夫だろうか」という、漠然とした不安を抱えていました。

その不安を払拭すべく始めたのが不動産投資でした。

まずは不動産投資の本を何冊も読み、不動産投資セミナーに出て、知識を身につけた上で小さな中古マンションを買いました。

初めて賃貸収入が入ってきた時は喜びの余り、会社帰りに高級寿司を買って帰ったそうです。そこから不動産をいくつか購入し、安定した資産形成をしていきました。

普通の会社員がどうやってFIREを目指すの?

そんなFさんの世帯年収は800万円。

そもそもどうやって、不動産を購入するお金を用意したのでしょうか。

それは「節約」です。

Fさんは毎月の生活費をきちんと把握して、無駄なお金を使わず全て貯金に回しました。そして初期投資の400万円を貯めたのです。

また会社員は、自営業者に比べて住宅ローンが受けやすいというメリットがあります。

会社員でありながら「副業」という形で、Fさんは確実に資産を形成していき、FIREを達成しました。

会社員をしながらFIREを達成した人のその後は?

FIREを達成したあとは、どのような生活を送っているのでしょうか。

Fさんは現在、ご自身で不動産業を営みながら、学童保育のボランティアに参加しながら生活しています。

FIREを達成した結果「もっと世の中に貢献していきたい」という思いが生まれ、ご自身の子育て経験を活かし、学童保育のボランティアに精を出しているそうです。
 

Case 2:FIREを達成した人に憧れて、独立・起業。株式売却で自らもFIREを達成した人

続いては、FIREを目指した方のケースをご紹介します。

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Kさんプロフィール
現在の年齢:34歳
家族構成:独身、こどもなし
年収:3,500万円
FIREを目指した年齢:28歳
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Kさんは、ある経営者に出会ったのがきっかけで、FIREを目指しました。

その経営者さんは若くして飲食店経営で成功、株式売却で資産を築き、FIREを達成した方でした。

Kさんは当時新卒で入社したコンサルティング企業に在籍していましたが、その経営者に出会い、独立を決意。

退職後すぐに起業して、その方のサポートも受けつつ確実な経営を続けていきます。独立から5年後の33歳の時に飲食業で株式売却に成功し、FIREを達成しました。

FIREを達成後はノマドワーカーに!

そんなKさんはFIRE達成後、どんな生活を送っているのでしょうか。Kさんはいわゆる「ノマドワーカー」として、飲食業の経営コンサルティングをして過ごしています。

株式売却をするまでの5年間は、まさに血の滲むような努力を重ねたというKさん。

しかし仕事にやりがいを感じていたため、FIRE後も「働かない」という選択肢は生まれなかったそうです。

ただし、これまでのように絶対的に仕事を最優先しているわけではありません。現場での仕事は信頼できる人に任せ、ご自身はいろいろなところに旅行しながら生活をしています。

Case 3:20代でFIREを達成したけれど、またビジネスしたくなった人

続いてはFIRE達成後、また新たなビジネスを始めた方のケースをご紹介します。

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Hさんプロフィール
現在の年齢:45歳
家族構成:奥さん、こども3人
年収:8,000万円
FIREを目指した年齢:22歳
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Hさんは元々高卒で公務員をしていました。

しかし「このままでは将来が不安だ」と思い、22歳から不動産投資の勉強を始めます。

最初はコツコツと貯めていた貯金で、300万円の古いアパートを1棟購入。不動産投資を開始し、順調に資産を増やしました。そして29歳でFIREを達成します。

29歳でFIRE達成して働くて幸せになったか?

29歳で念願のFIREを達成したHさんは、半年間何もせずにゆっくりと過ごしました。

しかし、働かないことで社会との接点が薄くなり、次第に自分が世の中から疎外されたような気分に陥ってしまったそうです。

そこで一念発起し、起業。不動産で資産形成を目指す方向けの、コンサルティング事業を始めます。

お金があれば幸せになれる?

仮にFIREできるだけのお金が手元にあったとしても、幸せになれるとは限りません。

それどころか早くにリタイアできるほどのお金ができてしまうと、今度は「手元のお金を失う恐怖」が生まれると、Hさんは語ります。

だからこそHさんは現在、再び仕事に情熱を燃やしています。それはお金のためという理由以上に、自分が社会の一員として働くことそのものに意味を見出したからではないでしょうか。

月々の積立額で変わる! FIREに必要な準備期間は?

今回はFIREを達成した方を3名、ご紹介しました。

年齢も属性も全然違いますね。中には会社員で、FIREを達成した方もいらっしゃいました。

しかし共通しているのは、FIREを達成するまでに数年間の期間を要しているという点です。

参考に、毎月の積立額とFIREするときの目標積立額をそれぞれ設定して、どれくらいの年数が必要かをシミュレーションしてみました。

■前提条件
・期待利回りは年利5%、再投資され複利計算とします。
・税金等や投資にかかる手数料等は考慮外とします。
・あくまで簡易なシュミレーションとなります。

毎月の積立額が10万円だとしても、積立目標を3,000万円としてFIRE後の生活費を抑えられれば、16年程でFIRE達成も夢ではありません。

FIREを目指すのに年齢は関係ありませんが、早いに越したことはありません。

会社員の方も、FIRE達成という目標を掲げて思い切って法人を作ってみたり、副業からフリーランスとして活動をスタートしてみてもいいかもしれません。

これから先の未来に「FIRE」という選択肢をぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。

文=齋藤 雄史
編集=内藤 祐介

<プロフィール>
齋藤雄史さん
税理士/公認会計士
宮城県仙台市出身。

高校卒業後、進学資金を貯めるため、新聞販売店に勤務。その後、地元の簿記専門学校に進学、東日本大震災同年の2011年公認会計士試験合格。

合格後、新日本有限責任監査法人福島事務所勤務。
法律の世界に魅せられロースクールに進学し、同時期に板橋区にて会計事務所を開業。

ITやクラウド対応を武器に顧客開拓に成功し、20代〜30代をはじめとする多くの起業家から厚い信頼を得ている。

元記事はこちら
アントレSTYLE MAGAZINE
https://entrenet.jp/magazine/32854/