フランチャイズ契約の「ゼッタイ押さえるべき!」3つのポイント

フランチャイズ契約の「ゼッタイ押さえるべき!」3つのポイント

「フランチャイズで独立したい」と考えている人も多いのではないでしょうか。

自ら新規ビジネスを立ち上げて起業するよりも成功する確率が高いといわれており、フランチャイズで独立という手段は人気です。しかし注意すべき点を見逃してしまうと、ビジネスの失敗につながりかねません。

その注意すべき点が「契約」です。契約内容をしっかり確認しないと、自分の経験や希望と照らし合わせた際に不利な契約になってしまい、いざフランチャイズ経営を始めた際にうまくいかなくなってしまいます。

ここでは、契約時に「ゼッタイ押さえるべき!」ポイントを3つに絞って分かりやすく解説していきます。フランチャイズを検討している方は、ビジネスを成功させるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

フランチャイズ契約とは

フランチャイズは、日本でも非常に普及している事業形態の一つです。フランチャイズ契約とは「フランチャイズ事業本部がフランチャイズ加盟店に、ブランド名や商標、ノウハウなどを提供する代わりに、加盟店が事業本部に、加盟金やロイヤリティなどの金銭を支払う契約「のことを指します。

フランチャイズについてもっと知りたい方は、こちらの記事も読んでみてください。

フランチャイズ(FC)とは?意味や仕組みを分かりやすく初心者向けに解説

https://entrenet.jp/magazine/25755/

フランチャイズの契約期間はどのくらい?

フランチャイズを始める前に、契約したらいつまで契約する必要があるのか、心配になる方もいるかもしれません。

契約期間は1年契約や3年契約、5年契約、10年契約など、フランチャイズ事業本部によって異なります。一般的には3~5年契約が最も多いといわれています。

では、なぜ様々な契約期間があるのでしょうか。ここでは、契約期間の違いによるメリットやデメリットも含めて解説していきます。

契約期間の長さはゼッタイ確認!

フランチャイズを始めるにあたり、契約期間の長さをチェックすることは必須です。では、契約期間が長い場合と契約期間が短い場合で、どのような違いが生じるのでしょうか。

契約期間が長い場合

一般的に5年以上の契約期間があるフランチャイズは契約期間が長いといえるでしょう。5年契約には飲食店が多く、10年契約にはコンビニエンスストアが多いといわれています。

メリットとしては「契約期間が長いフランチャイズの場合、長期的にフランチャイズ本部からサポートをしてもらうことが多い」ということが挙げられます。フランチャイズ事業本部が投資した額を回収するのに時間を要することが一つの要因です。

しかしその場合、途中解約した際の違約金は高額であることが多いため、気軽にやめられないということがデメリットになります。

契約期間が短い場合

一方で、契約期間が短い場合はどうなのでしょうか。一般的に、3年契約以下の短いフランチャイズは、比較的小さな事業規模であることが多いといわれています。

メリットとしては「契約期間が短い場合、契約の見直しや変更、途中解約などが比較的行いやすい」ことが挙げられます。また長期契約と比較して、投資回収期間が短いことが多く、フランチャイズ加盟店側にも投資回収期間が短くなる可能性があります。

契約期間が短い場合のデメリットは、更新料がある場合にコストが高くなることです。また更新頻度の多さが手間になることも、デメリットになります。

【意外な落とし穴】契約期間の計算方法

契約期間が重要だということは伝えましたが、契約期間の算出方法もフランチャイズ事業本部によって異なるため、必ず確認しましょう。

契約開始時として多いのが、「契約締結日」や「オープン日」です。「契約締結日」を契約開始時点とする場合、出店準備期間も計画期間に含まれることになります。そうなると開店してすぐに翌年のロイヤリティを支払うという事態も起こり得るため、充分に注意が必要です。

フランチャイズの契約費用は、ロイヤリティだけじゃない

フランチャイズを始めるにあたり、必要な費用はロイヤリティだけではありません。例えば、ロイヤリティの他に以下のような費用が必要になる場合があります。

・加盟金
・保証金
・研修費
・宣伝広告費
・設備費
・更新費

フランチャイズ事業本部によっては、加盟金の中に開業準備のサポート費用が含まれていたり、研修費が含まれていたりすることもあります。事業本部によって異なりますので、それぞれの費用に何が含まれているかを確認しておきましょう。また、違約金に関しても、事前に必ず確認しておきましょう。

違約金の金額と発生条件を理解しよう

契約期間中に解約する場合、違約金が発生する可能性があります。フランチャイズ契約時に中途解約の定めがない場合、契約期間中に解約することすらできない場合もあります。

経営していく中で、何が起こるかわからないため「違約金の有無と金額」や、「中途解約の定めがあるかどうか」などを事前に必ず確認しておきましょう。

保証金の金額、返金について確認しよう

フランチャイズ契約において、金銭債務を担保するために、フランチャイズ加盟店がフランチャイズ事業本部に預け入れる保証金があります。フランチャイズ契約時に、保証金額、預託時期、返金方法等が定められるため、チェックが必要です。事業本部は、加盟店の債務を保証金から充当することがあるため、どのようなケースで保証金からの充当が発生するのかも併せて確認しておきましょう。

フランチャイズ契約には、メリットと制約がある

独立の手段として人気のフランチャイズですが、その理由はフランチャイズならではのメリットがあるからです。しかし、メリットの代わりに制約があることも忘れてはいけません。ここでは、フランチャイズ契約のメリットと制約について解説してきます。

提供されるノウハウは?

フランチャイズ加盟店は、ロイヤリティを支払う代わりにフランチャイズ事業本部から店舗運営に関するノウハウの提供を受けることができます。では、どのようなノウハウを提供してもらえるのでしょうか。例えば、以下のようなものが提供されます。

・店舗運営のマニュアル
・従業員への研修
・経営、店舗運営指導

店舗運営のマニュアルは、事業本部が作成して加盟店に提供されることが多いです。マニュアルの作成は、店舗経営のなかでも非常に工数のかかる作業ですが、事業本部が提供してくれるの大幅な作業軽減につながります。また従業員への研修も、事業本部が請け負ってくれるケースがあります。従業員が事業本部によるしっかりとした研修を受けることにより、接客技術等の向上が期待できます。また経営が初めての場合でも、事業本部からのサポートがあるため、安心して経営できるのは大きなメリットといえます。

テリトリー権は?

フランチャイズ契約の際は、テリトリー権に関しても確認しておきましょう。テリトリー権とは、特定の地域における同一フランチャイズの出店制限のことを指し、以下の種類があります。

・クローズド・テリトリー
・オープン・テリトリー
・期間限定テリトリー
・優先的テリトリー

クローズド・テリトリーとは、フランチャイズ加盟店などに対して特定の販売領域を与え、そこでの独占的な販売権を保証する制度のことをいいます。この合意を結ぶことができれば、出店領域に同じフランチャイズの店舗が出店されなくなります。加盟店にとっては、競合が少なくなる分、メリットは大きくなるといえるでしょう。

逆にオープン・テリトリーとは、特定の販売領域に出店する店舗数を制限し、上限を超えてテリトリー内に他のフランチャイズ店の出店をさせない制度のことをいいます。店舗数は制限されるものの、一般的には、同じフランチャイズの店舗同士で競争が発生するといわれています。

期間限定テリトリーとは、開店後一定期間に限って出店数を制限するという制度を指し、優先的テリトリーとは、特定の販売領域の中に出店を検討する場合、事業本部がその領域内の加盟店に「続けて出店しないか」と優先的に声をかける制度を指します。

どれも事業本部と加盟店による合意の上、フランチャイズ契約に明記されることになります。

テリトリー権の範囲の指定方法は「店舗から半径〇km」といった距離で指定する場合や市区町村、行政区画、店舗の最寄り駅などで指定する場合があります。

就業規則や商品の制約は?

フランチャイズ契約のなかに、競業避止義務や商品や備品をフランチャイズ事業本部が指定したものにすることなども含まれることがあります。

競業避止義務とは「フランチャイズ契約期間中、もしくは契約終了後の一定期間内は自営も含め、同一商業地域で、同一の営業を行ってはいけない」というものです。

また商品や備品に関しても、事業本部が指定するものを使用する必要がある契約の場合もあります。その点にも注意が必要です。

この他、加盟店側に課せられる義務について、こちらの記事に詳しくまとめられています。

加盟契約 ~失敗しないための【FC加盟】基礎知識~ 第6回

https://entrenet.jp/magazine/3134/

フランチャイズ契約する前にしっかり確認を!

フランチャイズの独立は、フランチャイズ加盟店側にとっても大きなメリットがあるため、非常に人気です。しかし、いざフランチャイズを始めると、契約期間や競業避止義務などにより、しばらくの間は経営が順調か否かに関わらず制限がかかります。また契約内容によっては、フランチャイズの失敗に大きく影響を及ぼす可能性もあるでしょう。そのため、事前に契約内容を確認することは非常に重要になってきます。

特に、契約期間やロイヤリティなどの費用、フランチャイズ契約に伴う制約などは、全て必須で確認すべき項目です。フランチャイズ契約の前に必ず確認して、自分にあった契約内容になるよう交渉しましょう。

中小企業庁のHPにもフランチャイズ契約の際の留意点がまとめられています。
フランチャイズ契約を検討する場合は、契約前にしっかり読み込んでおくとよいでしょう。

中小企業庁『フランチャイズ事業を始めるにあたって』

https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/download/21fyFranchiseStart.pdf

フランチャイズ事業本部とフランチャイズ加盟店は、あくまでもビジネスパートナーとして対等な関係です。パートナーとして一緒に事業を大きくしていきたいと思える事業本部を選択することが、後悔の少ない決断につながるといえるでしょう。 

PROFILE

TOM

ベンチャー企業のシステムエンジニアから独立し、フリーランスエンジニア兼Webライターとして活動中。ライティング業は、M&Aなどビジネス系の記事を中心に執筆。
元記事はこちら
アントレSTYLE MAGAZINE
https://entrenet.jp/magazine/26445/