フランチャイズチェーンとは、個人や法人がフランチャイズ本部と契約し、チェーン店の経営を行う事業形態です。
本記事では、フランチャイズチェーン展開の仕組みを解説するとともに、企業がチェーン展開する理由を紹介していきます。
フランチャイズチェーンとは
フランチャイズチェーンとは、個人や法人がフランチャイズ本部と契約し、チェーン店の経営を行う事業形態です。
フランチャイズチェーンの加盟店は、フランチャイズ本部から店舗の商標やノウハウを使う権利を受け取り、対価としてフランチャイズ本部に“ロイヤリティ”を支払います。
フランチャイズ本部は、随時、新しい加盟者を迎え入れることで、チェーン店舗を拡大していきます。
仕入れ・販売・集客など、店舗経営に大切な要素をパッケージにすることで、未経験でも経営可能な仕組みづくりをしているのが特徴です。
![](https://stp-magazine.entrenet.jp/wp-content/uploads/2020/11/フランチャイズ(FC)とは?.png)
チェーン展開(多店舗展開)の5つの方法
チェーン展開とは、同一ブランドで複数の店舗を運営していく経営形態を指します。
チェーン展開している店舗の特徴は“すべての店舗で一定に保たれたクオリティのサービスを提供していること”です。
店舗を選ばず、安定したサービスを受けられるため、顧客は安心して利用できるでしょう。
またフランチャイズ本部にとっても、チェーン展開には“一気にブランド認知や顧客獲得を進めることができる”などといったメリットがあります。
フランチャイズチェーンで展開される店舗には、次の5つの種類があります。
それぞれの定義やメリットなどについてみていきましょう。
レギュラーチェーン(直営店)
レギュラーチェーン(直営店)とは、企業が自ら店舗を運営する店舗形態です。
特徴
- 企業が店舗責任者を雇用し、運営
- 最終責任は企業
メリット
- 新規サービスなどのテストがしやすい
- ブランドイメージの維持も容易
- 管理が行き届きやすい
デメリット
- 出店費用や初期費用が高額
- 多店舗展開するスピード感が遅い
- 人員確保や社員教育が必要
直営店の店長としての役割、働き方については、こちらでも紹介しています。
![](https://stp-magazine.entrenet.jp/wp-content/uploads/2022/04/6d18ff3028e9b64a5510111b09aefdfd.jpg)
フランチャイズチェーン(加盟店)
フランチャイズチェーン加盟店とは、フランチャイズ本部とフランチャイズ加盟契約を結んだ独立した事業者が運営する店舗です。
特徴
- フランチャイズ本部の商標・ブランドで営業
- 加盟金・保証金・ロイヤリティ支払い義務
- 経営責任は加盟店オーナー
メリット
- 加盟店:知名度のあるブランドで起業、本部からのサポート
- 本部:低コストでの事業拡大、収益増加による新商品・サービス開発
デメリット
- 加盟店:加盟金・保証金・ロイヤリティ支払い義務、経営の自由制限
- 本部:ブランドイメージ・サービス質維持の責任、加盟店増加に伴うサポート・管理負担
フランチャイズのメリット・デメリットについてはこちらでも紹介しています。
![](https://stp-magazine.entrenet.jp/wp-content/uploads/2022/11/4950997_s.jpg)
ボランタリーチェーン
ボランタリーチェーンは、同業種の小売店が自らの意思で組織し、小売店の自主性と協調性を活かしたチェーン形態といえます。
フランチャイズチェーンとの違い
- フランチャイズチェーン:本部と加盟店が1対1で契約
- ボランタリーチェーン:加盟店自らが本部を結成
メリット
- 加盟店同士の横のつながりがあり、情報共有や相互助成が可能
- 大量購入によるコスト削減
- 小規模では取引できないメーカーの商品取り扱い、価格交渉が可能
- 地域密着経営が可能
- 加盟店の自主性が尊重される
デメリット
- フランチャイズチェーンに比べて本部機能が弱い
- 加盟店の意識統一や情報共有が難しい場合がある
のれん分け
のれん分けは、企業が長年勤めた従業員に独立支援を行い、自社の商標やノウハウを使って事業を営むことを認める制度です。
特徴
- 従業員によるフランチャイズ
- 信頼関係に基づく企業と従業員の関係
- 従業員の独立と企業への貢献の両立
- フランチャイズチェーンよりも親密な関係
メリット
- 従業員の独立支援と企業利益の両立
- 優秀な人材の定着促進
- フランチャイズチェーンよりも低コストで展開可能
デメリット
- フランチャイズチェーンよりも管理が複雑
- 従業員とのトラブルリスク
江戸時代から続く伝統的な制度で、元々は「信用のお墨付き」としての役割を持っていました。
現代におけるのれん分けは、社内フランチャイズとして活用されることが多く、従業員のモチベーション向上、人材育成に効果的とされています。
代理店
販売代理店は、メーカーから商品を仕入れ、自社の責任で販売する企業です。
特徴
- メーカーから商品を仕入れ、自社の責任で販売
- メーカーから販売目標や価格設定などを指示されることがあるが、経営には基本的に干渉されない
- 自社のブランドで商品を販売することも可能
メリット
- 有名メーカーの商品を扱える
- メーカーからサポートを受けられる
- 自社の経営に自由度がある
デメリット
- メーカーの指示に従う必要がある
- 商品の仕入価格が高額になる場合がある
企業がチェーン展開する理由
フランチャイズ本部がチェーン展開をする目的は、大きく4つあります。
総じて、効率的に事業を拡大することが目的といえるでしょう。
それぞれについて、詳しく解説していきます。
売り上げと認知度の向上
店舗数を増やすことで、より多くの人に商品やサービスを認知してもらうことができ、売り上げアップにつながります。
これは、物理的に店舗数が多いほど、多くの人に商品やサービスを見てもらえる機会が増えるためです。
また、知名度が上がれば、新規顧客を獲得しやすくなります。
知名度の高い企業は信頼されやすく、消費者が商品やサービスを購入する可能性が高くなるためです。
コストダウン
チェーン展開をする目的の1つがコストの削減です。
大量仕入れや物流の効率化、広告宣伝費の節約など、チェーン展開することでさまざまなコストを削減することができます。
コスト削減は、フランチャイズ本部だけでなく加盟店にとっても大きなメリットといえるでしょう。
事業運営の効率化
チェーン展開をする2つ目の目的は事業の早期拡大です。
店舗事業拡大が早いことには、加盟店とフランチャイズ本部の両方にメリットがあります。
ノウハウやマニュアルを共有することで、店舗運営を効率化することができます。
これは、すべての店舗で同じオペレーションを行うことで、無駄な作業を減らし、効率的に運営できるためです。
また、すべての店舗で同じ基準で人材育成や顧客管理を行うことで、質の高いサービスを提供しやすくなるため、人材育成や顧客管理なども一元的に行うことも可能です。
リスクの分散
一つの店舗に集中してリスクを負うのではなく、複数の店舗に分散することで、リスクを軽減することができます。
これは、一つの店舗が閉店しても、他の店舗で売り上げを上げることができるため、全体の収益に大きな影響を与えないためです。
まとめ
本記事では、フランチャイズチェーンにおけるチェーン展開の仕組みを解説してきました。
チェーン展開とは、同一ブランドで複数の店舗を運営していく経営形態のことをいいます。
本部が直接運営する直営店のほかに、個人や別の法人に運営を任せる加盟店を募るのがチェーン展開の特徴です。
毎日のように目にするファストフード店やコンビニエンスストアの中にも、チェーン展開された加盟店が多くあるでしょう。
フランチャイズチェーンは、業界や経営未経験でも憧れの仕事で起業したい!という夢を後押ししてくれる仕組みです。
特に起業したいけど、自力でゼロから始めるのは不安だという方には、フランチャイズチェーンでの起業をおすすめします。
まずはフランチャイズチェーンの仕組みを理解し、どんな業種・業態で起業したいのかを、じっくり検討してみることが大切です。
アントレでは、加盟店を募集している本部について紹介しています。どのような本部が存在するのか、一度見てみてください。
よくある質問
Q:フランチャイズ加盟に向いている人/向いていない人の特徴とは?
A:向いているのは「主体的に動ける責任感が強い」人/向いていないのは「行き当たりばったりで他責志向の」人
フランチャイズビジネスに向いている人の特徴は大きく5つあります。
一方、フランチャイズビジネスに向いていない人の特徴は、以下の4点です。
Q:フランチャイズ加盟~開業までの流れは?
A:情報収集・資料請求/説明会参加/審査/契約/開業準備/開業
まず、インターネットやフランチャイズ展で情報を収集し、興味のある業種や地域を絞り込み、複数のフランチャイズ本部から資料を取り寄せましょう。
資料をもとに本部と面談や説明会に参加し、制度や事業内容、開業資金、サポート体制を理解します。
次に、フランチャイズ本部が加盟希望者の審査を行います。
審査基準は本部により異なり、経歴や財務状況、経営理念などが審査されます。
審査合格後、契約書を理解し署名捺印します。
契約締結後は、店舗物件の選定、内装工事、スタッフの募集・研修、開業資金の調達を行います。
フランチャイズ本部からサポートを受けながら準備を進め、開業に向けて最終確認を行います。
フランチャイズ加盟から開業までの期間は、一般的に3〜6ヶ月ですが、場合によっては1年近くかかることもあります。
Q:フランチャイズチェーンに加盟して起業するメリット/デメリットを知りたい
A:最大のメリットは「ブランド力の利用」主なデメリットは「経営の不自由さ」
フランチャイズに加盟するメリットは大きく分けて5つあります。
また、フランチャイズ加盟によって受けるデメリットは以下のとおりです。
![](https://stp-magazine.entrenet.jp/wp-content/uploads/2020/11/フランチャイズ(FC)とは?.png)
<文/近藤正希子>