起業した人(経営者)はここを抑えろ!収入リスクと保険のススメ

起業した人(経営者)はここを抑えろ!収入リスクと保険のススメ

日本もようやく「働き方改革」が進んできましたね。多くの会社で出産、結婚はじめライフステージに合わせた柔軟な働き⽅を各自で選べるようになってきて、それに合わせて、会社と雇用契約を結ぶことにこだわらない新しい働き方もどんどん当たり前になってきています。

この時代の変遷の中で、会社勤めだった方が、起業・経営者としてのキャリアを始めるときは、社会保障制度がどう変わるのかをはじめに知っておかなければなりません。経営者は従業員・公務員と比べ、公的年金・公的医療保険といった社会保障制度が充実していないため、生活の中で起こりうるリスクから自分を守る必要があるのです。
だからこそ今回は、起業家や経営者が知っておくべき経済的なリスクと保険について解説します。

起業家・経営者の社会保障とは。従業員・公務員に比べて給付金や年金が少ない!?

前段として、日本の公的医療保険・公的年金の二種類の社会保障について、従業員と経営者はどう異なるのかをお伝えします。

公的医療保険

公的医療保険にもいくつか種類があります。一つは経営者などが加入する「国民健康保険」と、従業員が加入する「健康保険」、公務員が加入する「共済組合」があります。

年齢によって医療費の自己負担割合は異なるとはいえ、負担割合自体はどの制度も同じです。そして、医療費の自己負担が上限額を超えた場合、その差額を支給する「高額療養費制度」も同様に保障されます。違うのはここからです。怪我・病気で働けなくなった時の「傷病手当金」は、健康保険・共済組合だけに適用される保障であり、経営者が加入する国民健康保険は対象外なのです。これに代表されるように、起業家や経営者は、従業員や公務員と比較して給付の対象項目が少ない仕組みとなっています。

公的年金制度

公的年金とは、国が管轄する年金制度を指します。「国民年金」と「厚生年金」があり、保障としては、老後に給付される「老齢年金」、亡くなったときに残された遺族に給付される「遺族年金」、所定の障害状態になったときに給付される「障害年金」の3種類があります。

また従業員や公務員など(第2号被保険者)は、国民年金と厚生年金の両方に加入できるのに対し、起業家や経営者(第1号被保険者)は国民年金のみの加入です。

このように、つまり起業家や経営者は、従業員や公務員と比べて公的医療保険でも受け取れる給付の対象項目が少なく、公的年金制度についても受け取れる年金が少ない仕組みとなっています。だからこそ、補うための民間の保険への加入は、より重要になると言えるでしょう。

これは国の制度なのだから仕方ありません。ポイントはここからです。

起業家・経営者は、どのような保険に加入するべきなのでしょうか?

従業員と経営者では、実は制度の充実度が違うのです。従業員は、死亡した際に遺族に支払われる遺族年金が、受給条件を満たしさえすれば、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の両方を受給することができます。それに比べて、経営者や起業家が受給できるのは「遺族基礎年金」だけ。つまり、足りない場合は、民間企業の死亡保険などでカバーする必要があるのです。

さらに、将来の年金の場合も同じ。従業員は、受給条件を満たしさえすれば、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の両方を受給することができますが、起業家や経営者の場合は、受給できるのは「老齢基礎年金」だけです。同様に、年金についても従業員や公務員とは差があり、貯蓄型保険などでカバーする必要があります。

これらの点のほかにもケアしておかないとけないのは、怪我や病気で働けなくなってしまったときの備え・蓄えです。従業員や公務員であっても、長期間働けない状態になったときには、経済的負荷がかかるのは同じです。しかし、起業家や経営者の場合はより一層大きな課題になります。公的な社会保障制度でまかなえる保障が少ないぶん、より厳しい経済状況に陥るリスクがあるのですから。

「就業不能」状態になった場合の保障

病気やケガで就業不能になってしまったときは、受給条件を満たしさえすれば、従業員や公務員でしたら、加入している健康保険から「傷病手当金」が給付されます。それに比べて、起業家や経営者が通常加入する国民健康保険では、そもそもそのような制度自体がありません。さらに、障害状態になった際には、受給条件を満たしさえすれば、従業員や公務員は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」を受給できるのに対して、起業家や経営者は「障害基礎年金」のみの受給となります。

休暇制度についても違いがあります。まず従業員・公務員には、「休職制度」や「病気休暇制度」というものがあります。
◆休職制度:最大3年間の休職が取得可能
◆病気休暇制度:有給休暇として最大90日間は給料の100%を、90日以降1年間は給料の80%が受給可能。その後も傷病手当金が最長1年6ヵ月の期間、支給されるなど、病気やケガで長期にわたって働けない状態が続いても生活が保障される。

つまり、怪我や病気などで働くことが困難になり、収入が著しく減った時に、従業員であれば、1年6ヵ月間は公的保障である傷病手当金が経済的な支えとなってくれるのですが、起業家や経営者の場合には、制度自体がないために、収入がゼロになってしまうのです…!

民間業者が販売している「就業不能保険」は、経営者が抱えがちな悩み、収入の減少や経済的な不安をカバーしてくれます。そして、入院して退院した後の在宅療養や日々の生活費など、医療保険ではカバーできない不足金額も、保険でまかなうことができるのです。ただし、支払い条件や対象期間は、保険会社や商品によっても当然異なるため、加入する前にしっかり確認することが重要です。

就業不能保険は、働いているすべての方に検討するに足りる保険です。特に社会保障制度による経済的サポートが、従業員に比べて少ない起業家や経営者には、何かあった時に支えになるはずです。

起業家や経営者は、従業員や公務員に比べ、社会保障制度で不足する分の、民間保険で備えていくことが、より重要になってきます。リスクに備えることはマイナスにはなりません。一度検討してみてはいかがでしょうか。