デイサービスで開業するには?より良い施設をつくる3つの心得
- 2022.05.30
- 会社設立

高齢化社会に伴い、需要が増えてきている『デイサービス』。高齢者がより快適に過ごせるよう、デイサービスを開業したいと思う方も少なくないでしょう。しかし、デイサービスの開業には満たさなくてはいけない基準が数多くあります。利用者が快適に過ごすことができる『より良いデイサービス』を開業するには、どのような基準を満たさなくてはいけないのか。また、どんな心得を持っていなくてはいけないのかについて解説していきます。
デイサービス(通所介護)の開業に必要な3つのこと
介護資格を取得しているからといって、デイサービスの開業はできません。デイサービスを開業するためには、事前にやっておかなくてはいけないことが3つあります。開業前に整えておくべき3つのポイントがどのようなものなのか、説明していきます。
法人の設立
介護保険事業の一種であるデイサービスは、原則として法人でないと運営ができません。そのため、デイサービスを開業したいのであれば、必ず『法人の設立』が必要になります。法人形態はさまざまなので、法人格の見定め、介護保険法に基づくサービスの展開、資本金の算出をして設立と登記をしましょう。
人員の確保
デイサービスを含む介護保険事業の開業には、人員基準が設定されています。利用者数に応じて必要な人員数も異なるので、必ず基準を満たす人数を確保しておかなくてはいけません。また、人員基準を含めた配置基準や資格要件に関しては都道府県ごとに違いがあり、必ず開業したい自治体の規定を確認するようにしましょう。具体的な基準に関しては、東京都での基準を基に、以下の章にて紹介していきます。
設備の用意
デイサービスでは多くの利用者が半日から1日程度の長時間を過ごすことから、生活上必要な各種設備の設置が不可欠となります。このことから、デイサービス事業所に対しては設備基準が設けられています。
設備基準の対象となるのは食堂や機能訓練室、相談室、送迎車などで、各々には内部の構造や広さなどに関するこまかな基準が設定されているのです。詳しくは以下にて、その一例を紹介します。
参考:厚生労働省『指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(◆平成11年03月31日厚生省令第37号)』
デイサービスの開業におすすめな3つの法人格
上記で記述したとおり、デイサービスの開業には法人の設立が必要です。法人形態には、営利・非営利・NPO法人や株式会社・合同会社・合名会社などがあります。しかし、初めての開業ではどの法人格を設立すれば良いかわからないですよね。どの法人格で設立するべきかわからない方のために、デイサービスの開業におすすめな3つの法人形態をご紹介します。
【認知度が高い】株式会社
耳にすることも多い『株式会社』とは、有限責任法人と呼ばれる法人形態の一種です。有限責任法人では、出資者は出資した金額の範囲内の責任を負うことになります。
株式会社の設立には、最低24万円ほどの費用が必要になります。電子承認を利用することで印紙税を節約できるため「なるべく初期費用を抑えたい」という方は電子承認を活用してみましょう。「なるべく正確に法人の設立がしたい」「すべて自分でやるには時間がない」という方は専門家に手続きを依頼する方法もあります。
【設立までスピーディ】合同会社
『合同会社』も株式会社同様、有限責任法人の一種です。合同会社では、公証人役場での定款認証が必要ありません。認証がない分、株式会社の設立に比べてよりスピーディに設立できるので「なるべく早くデイサービスを開業したい」方におすすめです。
費用も10万円と株式会社の半額以下で設立できるので、初期費用を抑えたい方にもおすすめの法人形態です。また、登録免許税の最低金額が株式会社は15万円なのに対して、合同会社は6万円分です。資本金が少ないのであれば、合同会社の方がコストを抑えて開業できます。
【資本金がいらない】NPO法人
非営利法人である『NPO法人』であれば、資本金を用意せずに設立が可能です。しかし、NPO法人は他の非営利法人と違って、設立の許可を得なくてはいけません。より公益を高くするために、理事の人数が10人以上必要なのも特徴のひとつです。設立のハードルは高いものの、一定の公益を行政が担保してくれていることがわかります。
デイサービスの開業に必要な職員
デイサービスの開業には、一定数の人員の確保が必要です。具体的に必要な人員にはどのような人なのか、東京都で定められている基準を基にお伝えします。
【看護職員】
利用定員が10名以上の場合:看護職員1名以上
利用定員が10名以下の場合:看護職員または介護職員1名以上
※資格要件:看護師・准看護師
【介護職員】
利用者の数が15名以下の場合:介護職員1名以上
利用者の数が16名以上の場合:15人以上を超える人数÷5人に1を追加した人数
例)利用者17人の場合
17ー15=2
2÷5=0.4
0.4+1=1.4
→2人以上の介護職員が必要
【機能訓練指導員】
利用者数にかかわらず:1名以上
※資格案件:言語聴覚士・理学療法士など
利用者数に応じて必要な人員が異なります。自分が開業したいデイサービスはどれほどの規模なのかを決めてから、人員の確保をしましょう。
デイサービスの開業に必要な施設
デイサービスの開業には『設備基準』を満たした設備の設置が義務付けられています。具体的にどのような設備が必要なのか紹介します。
通所介護(デイサービス)の設備基準は以下のとおりになります。
・食堂、機能訓練を行う場所(※合計面積が1人あたり3㎡以上)
・相談室(※パーテーションでの仕切りでも可だが、机といすは必要)
・事務室(※パーテーションでの仕切りでも可だが、備品を収納できる程度の広さは必要)
・静養室(※専用のベッドの設置が必要)
・トイレ(※車椅子で利用できるものが複数必要)
・浴室(※サービスに含まれる場合のみ)
・能訓練器具
・緊急時呼び出しボタン
・送迎車
デイサービスでは多くの利用者が半日以上過ごすため、生活に必要な設備の設置が必要不可欠です。
デイサービスの開業にかかる費用
デイサービスは「設備を整えなくてはいけない、人員を確保しなければならない」という観点から、開業に多額の費用がかかります。
介護保険事業の仕組み上、サービス提供から最初の3ヶ月は収入が得られません。これらの費用については、事前に準備資金として用意しておく必要があります。
何にどれほどの費用がかかるのか、主に大きなコストのかかる3つの項目をチェックしていきましょう。
1.人件費
必ず発生するのが『人件費』です。最小限の人員での運営であったとしても、以下のような人を雇わなくてはいけません。費用は一般的に月額20万円ほどなので、少なくとも月額100万円以上の人件費がかかると思っておきましょう。
・管理者
・生活相談員
・機能訓練指導員
・看護職員
・介護職員
2.運転費用
デイサービスでは、ほとんどのケースで送迎のサービスを用意しています。送迎にかかる人件費、ガソリン代、自動車保険料も開業時からかかる費用にあたるので、確保が必要です。
3.施設費
地域や物件によって異なりますが、賃貸で運営する場合には、敷金・礼金などといった初期費用や月額の家賃が必要になります。
4.改装費
デイサービスの施設は、基本的にバリアフリーであるのが望ましいです。大掛かりなリフォームが必要な場合には、多額の費用が必要になります。
居抜き物件を活用することでリフォーム費用を節約することもできますが、フルリフォームする場合、1000万円以上必要になるケースもあります。複数の業者から見積もりを請求し、どれだけの費用が必要になるのか、節約できるポイントはあるのか早めに知っておくと良いでしょう。
デイサービスの開業を支援する制度
デイサービスの開業には、支援をしてくれる制度がいくつかあります。費用を一部負担してくれるものもあるので、必ずチェックしておきましょう。
補助金・助成金
デイサービス開業時に、条件を満たしていれば支給が受けられる補助金・助成金は以下のとおりです。
・中小企業労働環境向上助成金
・雇用管理制度助成コース
・介護福祉機器助成コース
・特定求職者雇用開発助成金
・トライアル雇用助成金
実地指導
『デイサービスのサービス品質向上』を目的とした、実地指導が受けられます。行政から定期的に指導してもらえるので、活用してみましょう。実地指導の際、必要な書類をそろえたり、記録を残したり、やるべきことをきちんと実施したうえで指導に挑みましょう。指摘されたのにも関わらず改善ができていないと、保険給付の返還を求められるケースもあります。
デイサービスの経営を軌道に乗せるための、3つの心得
デイサービスの経営を軌道に乗せるためには3つの心得を胸に刻んでおく必要があります。開業者は、以下の3点を意識しましょう。
心得その1.まずは全力で『最初の利用者』を獲得する
デイサービスの経営を軌道に乗せるのに、何よりも重要なのが最初の利用者の獲得です。そのためにも、常に『利用者ファースト』の心を胸に刻んで「どうしたらより快適に過ごしてもらえるのか」を考え続け、工夫を重ねられるのが望ましいです。
心得その2.職員の人間関係に気を配る
デイサービスは『人と人とが関わるビジネス』です。利用者に余裕を持って接するためには、職員の心の余裕が何よりも重要です。職場の人間関係には十分気を配り、気持ちよく働ける職場を目指しましょう。
心得その3.口コミや評判の大切さを知る
デイサービスの人気を高めるためには、口コミや評判が重要です。批判がある場合にはすぐに改善し、その旨を利用者の方に理解してもらえるよう発信していきましょう。
デイサービスの開業は難しい…!周りの支援を受けながら準備を進めよう
デイサービスは、資格保有者の確保や設備の準備などの専門的な要素が多く、開業のハードルとしては高いです。しかし、高齢化社会に伴い需要が伸びつつあるのも事実です。デイサービスを開業したいのであれば、周りに支援してもらいながら、確実に準備を進めていきましょう。
ちはる
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