勘定科目が分からないときは、全て雑費で帳簿付けしてOK?

勘定科目が分からないときは、全て雑費で帳簿付けしてOK?

日々の取引を帳簿付けするとき、どの勘定科目にしていいのか迷うことがあります。そんなとき、ついつい雑費に付けてしまっていませんか。1取引あたりの金額は少なくても、1年間通じると結構な金額になります。今回は、雑費について考えていきます。

勘定科目の雑費とは

一般的に雑費とは、少額のもので、特にその支出に対して別の勘定科目を作成する必要のない重要性の低いものをさします。重要性が低いというのは、会社によって捉え方が違うため、いろいろなものが雑費で処理されています。

具体的には、以下のようなものを雑費で処理しているケースが多いです。
・クリーニング代
・ゴミ袋代
・ゴミ処理代
・印鑑証明や住民票発行など役所に対する手数料
・振込料
・組合費
など

勘定科目名はどのようなルールで決めるのか

「ルールはあるようでない」というのが本当のところです。例えば、水道代や電気代は水道光熱費、電話代は通信費など、世間一般であたりまえに使われているものはその勘定科目を使います。ゴミ処理代を衛生費としても、そのままゴミ処理代としても、どちらでも問題ありません。会社としてわかりやすい勘定科目を決めてください。

一度決めた勘定科目は毎年継続します。毎年継続することで前年と比較ができ、経営判断をしやすくなります。勘定科目の決め方の1つに、商品ごとにわける方法とお店ごとにわける方法があります。

商品ごとにわける場合は、A商品は事務用品費でB商品は消耗品費でわける方法です。この場合、同じお店でA商品、B商品を同時に購入し、1枚のレシートに記載されている場合でも、商品ごとに勘定科目を分けて帳簿付けします。お店ごとにわける場合というのは、そのお店でよく買う商品をもとにA商店は事務用品費、B商店は消耗品費と決めて帳簿付けします。毎年継続することを条件に、管理しやすい方法で処理します。

個人事業主の場合は、経費になるかどうかが重要

個人事業主の場合、お金を事業用とプライベート用に分けていない人も多いようです。出どころが一緒なので、その支出がプライベートのものなのか事業に対する経費なのか、あいまいになってしまうことがよくあります。

しかし、経費になるものをきちんと分けて帳簿付けすることがいちばん大切です。支出の中から経費になるものをきちんと分けることができていれば、多少勘定科目名が違っていても問題になることはありません。まずは支出の管理から行うようにしましょう。

雑費が多すぎてはダメなのか

話が横道にそれましたが、本題にはいります。「雑費が多すぎてはダメですか?」の問いに対する答えは、「多すぎないほうがいい」です。これには2つの理由があります。

1つ目は、前年と比べて増減があっても理由がわかりづらいということです。雑費にいろいろなものを含めてしまうと、「前年と比べて20万円の雑費が増えた」といってもそれが何に対する支払いなのかわかりにくくなります。経営分析や経営判断をする際、どの支出を削減したらいいのかわからないと、誤った判断をしてしまう危険性があります。

2つ目は、対外的な信頼性を保つためです。いろいろな見方がありますが、1つの目安として全体の経費の中で、雑費は10%未満が望ましいといわれています。銀行の融資担当者などは、雑費の割合が多いと正しい経理ができていないのではないかと考えることもあるようです。

なお、事業開始後の初の税務調査の場合、雑費の金額が多いと目についてしまいますが、経費であれば、まったく問題ありません。一度、税務調査が入ると、その会社ごとのファイルに結果を記載しますので、次回以降の調査は滞りなく進むでしょう。また、税務署にはこの業種のこの規模の会社であれば、経費の割合がどれくらいになるかという資料が存在するようです。同業種・同規模の会社と比較し、とびぬけて雑費が多いと、調査の対象になることもあるので注意が必要です。

雑費を少なくするには

雑費を少なくするためには、複数の勘定科目を使うことが効果的です。
先ほどの例では、下記の科目に置き換えることができます

クリーニング代…消耗品費
ゴミ袋代…消耗品費
ゴミ処理代…衛生費や外注費
印鑑証明や住民票発行などの役所に対する手数料…支払手数料
振込料…支払手数料
組合費…諸会費

消耗品費と雑費

数万円の備品などを購入した場合、消耗品費で帳簿付けします。消耗品費も雑費と同様に、ついつい使ってしまう科目です。文房具などは、事務用品費に分けたほうがいいでしょう。こちらも下記のようなルールを決めておきましょう。

・文房具は事務用品費で処理する
・1万円を超えるものは、消耗品費で処理する
・数千円以下のものは、雑費で処理する

まとめ

1.まずは経費であることが重要
2.経費は、多くのものを1つの科目で処理しない
3.会社内でルールを決め、それに沿って処理する

帳簿の目的は経営分析をし、次年度によりよい経営を行うことです。毎年同じルールで処理し、適格な経営分析と正しい経営判断ができるようになりましょう。

元記事はこちら
アントレSTYLE MAGAZINE
https://entrenet.jp/magazine/15955/