【実録】融資は借りられる時に借りておけ。後悔してからでは遅い

【実録】融資は借りられる時に借りておけ。後悔してからでは遅い

数回に亘って続いている融資のポイント。
今回は、融資を受けずに事業を進めた場合のリスクについて紹介します。

そもそも、事業を始める時に、融資を受けるか・受けずにやるかは経営者の自由。受けること・受けないことに善悪はありません。
ただ、「受けられたはずの融資を受けなかったがゆえに、後で失敗した」というアクシデントは、過去の個人事業主で多く起こっています。。

今回は、都内でネイルサロンを経営しているAさんの経験を紹介し、融資を受けることがいかに大事かを語っていきます。

 

中途半端な自己資金があることが、失敗の第一歩

Aさんは、2017年6月にネイルサロンを東京都内でオープンしました。
ネイルサロンは、店舗ビジネスの中でも少額の費用で始められることにもあり、そしてAさん自身も、幸運なことに小さなお店1つ開くには困らないくらいの資金が手元にあったため、融資を受けることは粉微塵も考えませんでした。

開業資金は、物件取得費・内装費(といっても床だけ)・美容家具・什器・ネイルのジェル一式等、合わせ500万円程度。加えて運転資金で200万円ほど見積もっていたと思います。

一般的な会社員の感覚しか持っていなかった私は、「これでなんかうまくいきそう」という根拠のない自信を持っていました。

この時点でもっと少ない資金がなかったら、迷うことなく融資を申し込んでいたでしょう。
しかし当時のAさんは、「資金に余裕はあるけど、運転資金に余裕を持たせるために、融資も受けておこう」とは思えませんでした。

 

なかなか来ない単月黒字。資金は減る一方。そうなったときは…

いざ始めてみると、オープン直後はなかなかうまくいきません。
スタッフはなかなかシフトに入ってくれないし、店長を任せようと思っていた人は辞めてしまったので、ネイルサロンなのに繁忙日の土日が休み、ということも続きました。

当初2~3ヶ月で単月黒字になると思ったのに、そんな気配はゼロ。資金だけはどんどん減っていきます。

これは、いよいよまずい、となってきたとき、ようやく「融資受けといた方がいいかな」と思うようになったのです。

このタイミングになって初めて、厳然たる事実に気づきました。Aさんはもう融資を受けられる信用力を失っていたのです。

前の記事で、金融機関は「お金を返してくれそうな人だから、お金を貸してくれる」とお伝えしたことがありました。
単月黒字を達成していない絶賛赤字まっしぐらの当時の僕を見て、金融機関は「利益が出てない事業にお金を貸しても、返してくれそうにないもん」と思ったことでしょう。上の青文字の状態の事業に、お金を貸してくれる所はありません。

今思えば、お金を借りるならば一番信用力が高い時、つまり開業前にしっかり借りておくべきだったのです。

それを逃すと、事業が続き、利益が出続けている状態まで待たないといけないのです。
結果的に私は融資を受けることは諦め、運転資金が足りなくなったときは、会社員の仕事とはまた別にアルバイトをこっそりしたりして耐えしのぎ、倒産を乗り越えたのです。
(本当にしんどかった…。)

 

順風満帆な経営なんてない。うまく行かないときでも攻めの判断ができるお金を確保すべき

Aさんの失敗の原因ははっきりしています。

「自分はうまく行く」という慢心です。

自分が頑張るのは当たり前。外部要因も乗り越えないと利益はでません。
Aさんの場合はスタッフの管理・定着などが想定通りいかず、売上が伸びませんでした。そして最低限の運転資金しか残していなかったため、リカバリーのために採用広告費・集客費を追加する、という対策がとれませんでした。

Aさんが用意していた2~3ヶ月分の運転資金など、スタートダッシュができなければすぐに尽きます。
売上が出なくても6ヶ月分くらいはお店が続けられるくらいの運転資金を用意しておけば、確実にもっと早く危機を脱出できたはずです。お金で解決して切り抜けられる危機もあります。

そんな攻めの判断ができるように、きちんと資金を確保できる準備(=融資)をしておくべきだったのです。

 

幸いAさんは、その後に入ってきてくれたスタッフが踏ん張ってくれて持ち直し、なんとかお店を続けることができ利益も出るようになりましたが、1年目は本当に危なかったようです。
そして、Aさんと同じような目に遭い、1年目でお店を閉めざるをえなくなった経営者さんは全国にたくさんいます。

今でも私達のところに相談が来る人は、「とりあえず自己資金でやって、足りなくなったら借ります」という人がいます。
人それぞれ戦略があるのでもちろん否定はしませんが、Aさんが体験した辛さを味わってほしくないなあと日々願っています。

Aさんの体験はとても貴重。「状況が悪くなっても攻めの経営判断ができるほどお金が余りそうか確認してください。融資を受けられるのは今のうちですよ。」とアントレからも伝えるようにしています。少しでも不安があれば、アントレ独立おたすけサービスにいつでもご相談ください。