【飲食店開業】理想のお店をつくろう!準備にかかる期間と流れ

【飲食店開業】理想のお店をつくろう!準備にかかる期間と流れ

飲食店開業を夢に見たことがある方も多いのではないでしょうか。飲食店の開業は思い立ってすぐにできるものではありません。開業するためには、どんな業種であってもきちんと流れに沿って手順を踏む必要があります。飲食店を開業したい方はどのような流れに沿って開業しなくてはいけないのでしょうか。開業するための流れを10個のSTEPで解説します。

【10STEP】飲食店の開業

ここからは、飲食店を開業するための流れを10STEPに沿って解説していきます。1から10までを漏れなく完了するには1年ほど期間を要します。「いつまでに開業したい」と決めている人は、逆算して早めに行動に移しましょう。

開業STEP1.飲食店としての方向性を定める

飲食店を開業する流れ『STEP1』は、飲食店としての方向性を定めるための『コンセプト作り』です。コンセプトを決めるのがなぜ大切なのか、どのように決めるのか解説します。

コンセプトを決める

飲食店を開業し、継続的な経営を実現して成功に導くためには『コンセプト作り』が何よりも重要です。「なぜ飲食店を開業するのか」「どんな人のための飲食店なのか」「どんな飲食を提供するのか」「差別化のポイントは何なのか」など、コンセプトをきちんと考えたうえで事業計画を始める流れに入らなくてはいけません。コンセプト作りが曖昧だと、その後の流れも、どこを目指すべきなのか分からず不明瞭なものになってしまいます。

コンセプト作りをする際、個人の好き嫌いだけで決めてしまうと行き詰まってしまうためおすすめできません。飲食店の開業でするべき『コンセプト作り』の際には、7W2Hの視点を持って進めていきましょう。

Why(理由・目的):なぜ・何のために開業するのか?
When(時期・タイミング):いつまでに開業するのか?
Where(場所・立地):どこのエリアのどんな立地に開業するのか?
Who(主体者・関係者):誰がどんなメンバーと開業するのか?
Whom(対象者・お客様像):どんなターゲット層に対して開業するのか?
What(メニュー):どんなメニューで開業するのか?
Which(目玉商品):どのメニューを目玉商品にするのか?
How(方法):どのように世に広めていくのか?
How much(費用・予算):どれくらいの時間とお金をかけて開業するのか?

7W2Hの中でも重要なのが『Why』の飲食店を開業する理由や目的の部分です。飲食店を開業するにあたって『強い意志』がないようでは、事業は中途半端になってしまいかねません。

開業STEP2.事業計画を立てる

飲食店を開業するための次の流れは『事業計画を立てること』です。事業計画書とはどのようなものなのか、説明します。

事業計画書は丁寧に作る

事業計画書は『どのような事業をしようとしているのかを説明する書類』のことで、資金調達をする際に必要になります。ローンや補助金の審査に通りやすくするためにも、丁寧な作り込みをおすすめします。事業計画書には以下の10の項目を含まなくてはいけません。

1.創業者のプロフィール
2.ビジョン・理念・目的
3.事業内容
4.自社のサービス及び商品の強みや特徴
5.市場環境・競合
6.販売やマーケティング戦略
7.生産方法・仕入れ先
8.売り上げの計画
9.利益の計画
10.資金調達の計画

個人店とフランチャイズの違い

飲食店を開業するにも、個人店にするかフランチャイズを活用するかの2つの方法があります。

個人店を開業するのであれば、自由に店舗のコンセプトを決められますが、すべての流れを自分1人でこなさなくてはいけません。対してフランチャイズであれば、加盟金やロイヤリティなど『フランチャイズ本部に支払う費用』が発生することになりますが、開業までの流れから開業後までサポートしてくれるので、経営初心者であれば心強いといえるでしょう。ブランド力も活用できるので、収益化しやすいメリットがあります。(※経営サポートの内容に関しては、フランチャイズ本部によって異なります)

双方のメリット・デメリットを比較して自分に合うものを選択すると良いでしょう。

開業STEP3.資金を確保、調達する

次にしなくてはいけないのが『資金調達』です。資金調達はどのようにするのか、説明します。

資金調達先の選択肢

資金調達先には5つの選択肢があります。

1.親類や知人からの資金調達
2.共同経営による資金調達
3.民間金融機関からの資金調達
4.公的機関からの資金調達
5.リースによる資金調達

一般的な資金調達は『民間金融機関からの資金調達』です。事業計画書を提出して審査してもらうため、作り込んでおく必要があります。そのほかの方法でも事業計画書は「自分がなぜ飲食店を開業したいのか」という熱い気持ちを理解してもらうのに有効です。

半年分の『運転資金』は必須

飲食店を開業するためには、開業資金だけでなく半年分の運転資金の準備もしておかなくてはいけません。事業計画を立てる際に初期費用だけでなく、毎月のランニングコストを算出して、半年間でいくらほどの運用資金が必要なのかも計算しておきましょう。

開業STEP4.立地と物件を探す

飲食店開業の流れ『4つ目のSTEP』は、物件探しです。物件を探す際、漠然と「おしゃれだからここのエリアにする」と決めてしまうと、1つ目のSTEPで決めたはずのターゲット層に当てはまらないエリアだった…なんてことになり兼ねません。

先にターゲットを決めてから物件を探す流れには「ターゲットが来そうなエリアに店を構える」という意図が含まれます。最初の努力を水の泡にしてしまわないよう、物件選び、特にエリアや立地決めは「誰がターゲットなのか」を意識して決めるようにしましょう。

開業STEP5.メニューを決める

飲食店開業において、必要不可欠なのが『メニュー決め』です。メニューは飲食店の主役ともいえる存在です。「なぜ、誰が、誰のため、何を提供したいのか」の軸をブラすことなく、何度も案を出して、家族や友人に意見を求めながらメニューを決めていきましょう。また、メニューは競合との差別化を図れる部分でもあります。自分の飲食店ならではの『看板メニュー』も、いくつか考案できると良いでしょう。

開業STEP6.各種申請をする

飲食店を開業するためには、いくつか申請を上げなくてはいけません。こちらも流れに沿って、きちんとすべて提出しなくては開業できないので、注意しましょう。

令和3年6月より、オンライン申請が可能となりました。厚生労働省のページよりアカウントを取得し、必要書類をそろえて申請を行いましょう。必要書類は以下のとおりです。

・施設の構造及び設備を示す図面
・営業を譲り受けたことを証する書面等
・水質調査の結果(貯水槽・井戸水使用の場合)
・許可申請手数料
・食品衛生責任者の資格を証明するもの(食品衛生責任者手帳等)

対象ファイルは下記形式のファイルです。各ファイルのアップロードのサイズは最大 1MB となります。

・画像系ファイル(png,jpg,gif,jpeg,bmp)
・Office 系ファイル(xls,xlsx,doc,docx,ppt,pptx)
・PDF 系ファイル(pdf)

参考:厚生労働省『食品衛生申請等システム
   『食品衛生申請等システム システム利用マニュアル 営業許可・届出機能

これらの申請は、申請して即日許可が下りるわけではありません。その後の流れに余裕を持てるよう、申請のスケジューリングをしておきましょう。

開業STEP7.従業員を探す

飲食店を開業する流れの中で、従業員を探すのも欠かせないSTEPです。もちろん「最初は自分1人でホール、キッチン、すべて担う!」というのであれば、従業員を探す必要はありません。しかし、自分1人ではなくホール専属、キッチン専属などの従業員の雇用が必要な場合には、きちんと事前に求人をしておかなくてはいけません。採用には時間がかかる可能性がありますので、計画的に進めましょう。

開業STEP8.販促・集客活動をする

飲食店開業の流れの中で、欠かせないのが集客活動です。「集客はお店がオープンしてからでも良いのでは?」と思っていたら、それは大間違いです。オープンと同時に集客をしても急にお客様は来店するケースは少なく、せっかくの華々しい開店時期なのに客足がない!なんてことになり兼ねません。

前々から集客をしておくことで『〇月〇日オープンの新しいお店』と期待値を上げられます。オープン日を事前に知っていてもらえれば、開店からお客様をお迎えできるようになります。集客にはSNSなどの上手く活用するのがおすすめです。おすすめのメニューや店内の雰囲気を事前にアップすることで「このお店に行ってみたい」「このメニューが食べてみたい」と思ってもらえること間違いなしです。SNS限定のキャンペーンなどを打ち出してみるのも良いかもしれません。

開業STEP9.開店準備をする

飲食店開業の流れ『9つ目のSTEP』は、開業準備をすることです。すべての申請が完了し、従業員も採用でき、基盤が整ったら、あとは開店の準備をします。

店の内装・外装はコンセプトに沿ってデザインし、コンセプトを体現した店作りを心がけましょう。メニューの冊子にもこだわるとお店の想いがお客様に伝わりやすくなるので「あまり見られていないだろう」と小さなことでも気を抜いてしまわないよう注意しましょう。

実際に来店したつもりでシミュレーションをすることは、必要な備品や提供時間がどれほど必要なのかもチェックできるのでおすすめです。特に、提供時間は長すぎると酷評にもつながるので、あらかじめ「どれほど時間がかかるか」「特に時間がかかるのはどのメニューなのか」などを把握しておきましょう。「このメニューはお時間がかかります」と一言伝えておくことで、お客様も楽しみにメニューを待っていられますよね。

開業STEP10.いよいよオープン!

すべての準備が整ったら、いよいよ飲食店が開業できます。オープンしてからはどんなポイントに注意しながら経営するべきなのか、2つの心得を紹介します。

お店の今後は口コミで決まる

どんなに良いサービスやメニューを提供していても、口コミがなければお店の存続は厳しいことにもつながります。飲食店にとって口コミは『今後の成否を左右するのに最も重要』といっても過言ではないほどの威力を持っています。開業当初、どれだけの口コミを書いてもらえるかで集客率にも影響が出ます。「口コミを書いてくれた人には〜」とキャンペーンをするなど、来店から口コミを書いてもらうまでの『流れ』を作る工夫ができると良いかもしれません。

「失敗」はつきものと思おう

飲食店を経営している中で「もっとこんなサービスがあったら良かった」「こんな対応が必要だった」など「失敗した」と感じるシーンにいくつも打ち当たるでしょう。しかし「失敗した」と落ち込むばかりでは、せっかく開業した飲食店なのに、何の成長もできずに退化していくのみです。

開業したてはもちろん「失敗はつきもの」の精神できちんと受け止めるようにしましょう。失敗から学べることも多いため、次に活かせるよう『改善案』や『解決策』を見つけていけると経営も上手くいくはずです。

『綿密な準備』が飲食店の成否を分ける!流れに沿って、するべきことを確認しよう

飲食店の開業には、さまざまなことを決めたり、手続きをしたり、面倒と思ってしまうことがいくつもあります。しかし、すべてのSTEPを流れ通りにクリアしたのち、夢の『自分のお店』が開業できます。「どれほど綿密な準備ができたのか」が飲食店の成功への第一歩なので、きちんとSTEPを飛ばさずに順立ててこなしていきましょう。

「どんな流れだったっけ?」と感じることがあれば、いつでも読み返して正しい流れで開業の準備を進めましょう。

PROFILE

ちはる

大手IT商社でプロダクトプロモーション担当を経て、WEBコンテンツ制作会社に転職し、ライターとして所属。その後、独立し、現在はビジネス・不動産関連の記事を主に執筆。
元記事はこちら
アントレSTYLE MAGAZINE
https://entrenet.jp/magazine/32914/