焦らず、慌てず、じっくりと取り組む
会社法の施行以降、会社設立手続きはずいぶん簡略化された。なので、できる限り、自力設立に取り組んでみてほしい。
自分で手続きを進めるメリットは、支出の抑制や達成感の獲得だけでなく、会社経営者として必須の知識を実地で学べる点にある。たとえば、定款、資本金、決算、利益分配、登記簿謄本……。これらは会社設立後にも頻繁にかかわりを持つ言葉である。これらの知識を早めに習得しておけば、後が楽。わからない事柄を、ひとつずつ潰していって、丹念に設立手続きを進めていけば、会社がこの世に誕生する頃には、大切な知識と事業開始への強い意欲を確実に獲得しているはずである。
ただし、「急いては事を仕損じる」である。どうしても設立を急ぐ事情がある時は、やはりプロに託すのが正解だ。
登記申請時に必要な書類
登記申請書 | 収入印紙を貼付した登録免許税納付用台紙をセットする |
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定 款 | 公証役場で認証されたもので、「謄本」と刻印されているもの |
残高証明書 | 金融機関に発行してもらったもの |
取締役会議事録 | 株式会社の場合。取締役1人で、代表取締役を選定せず、かつ、定款に本店所在地を記載しているなら不要 |
就任承諾書 | 株式会社の場合。定款で定めた役員と発起人とがまったく同一であれば不要 |
代表取締役の印鑑証明書 | 取締役1人の場合は取締役の印鑑証明書 |
代表社員選出についての総社員の同意書 | 合同会社など、株式会社以外の会社を設立する場合に必要。ただし、代表社員を選出しない場合は不要 |
別 紙 | 非コンピュータ庁では「登記用紙と同一の用紙」 |
代表者の印鑑届出書 | 会社の代表印を法務局に登記するためのもの。代表者個人の印鑑のことではない |
会社設立にかかる諸費用
手続き | 項 目 | 合名会社・合資会社 | 合同会社 | 株式会社 | 備 考 |
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定款認証 (公証役場) |
収入印紙代 | 0円(不要) | 4万円 ただし電子文書なら0円(不要) | 定款認証のためにかかる費用は、どの公証役場でも同一金額 | |
認証手数料 | 0円(不要) | 5万円 | |||
謄本手数料 | 0円(不要) | 定款のページ数×250円 | |||
残高証明 (金融機関) |
発行手数料 | 0円(不要) | 400〜800円(消費税別) | 残高証明書ではなく、出資金の払込保管証明書の発行を受ける場合は、出資金の1000分の2.5程度。金融機関によって異なる | |
登記申請(登記所) | 登録免許税 | 6万円(一律) | 6万円以上 | 15万円以上 | 出資金の1000分の7。ただし、最低額は株式会社15万円、合同会社6万円。ほかは一律6万円 |
登記完了確認など(登記所) | 登記簿謄本 | 1通600円×必要数 | 登記完了確認や資本金の引き出し、税務署など諸官庁への届出用 | ||
印鑑証明書 | 1通450円×必要数 | ||||
合 計 | 約6万〜7万円 | 約6万〜11万円 | 約21万〜25万円 |