アントレ-会社の設立-「種類株式」も積極的に導入しよう

7.会社の設立

05「種類株式」も積極的に導入しよう

新設会社は通常、譲渡制限株式を選択

株式の専門家や実務家以外にはなじみが薄く、聞いても、わかるようでわからないのが「種類株式」。だが要するにこれは、「発行できる株式はひとつではなく、いろいろな種類が認められている」という意味に解釈すればいい。こうした知識はまだまだ普及していないが、種類株式の発行は、これから会社を設立する人にとって、学習しておくべきテーマである。
たとえば表にある優先株式と無議決権株式を合体させた「無議決権優先株式」の発行などは考え得る方法だ。これは、「会社の経営には口を出さないでほしい。その代わり他の株主よりも配当などを優先して行うので、出資をお願いしたい」といった趣旨で発行するもの。小さな会社が第三者から出資を受ける際には、使い勝手のいい株式である。
また、多くの新設株式会社で導入されるのが「譲渡制限株式」だ。ほかにも表にあるように、様々な条項を付加した株式が発行可能。中には将来の事業承継(後継者へのバトンタッチ)の際に効力を発揮する種類株式も複数ある。すぐに必要がないとしても、どのような種類株式の発行が可能なのか、理解しておいて損はない。

発行できる株式の種類
@ 優先株式・劣後株式 利益配当や会社解散時の残余財産の分配について、他の株に比して優先ないしは劣後する株式
A 議決権制限株式 株主総会での一部の事項における議決権がない株式。すべての事項に議決権がない「無議決権株式」も発行できる
B 譲渡制限株式 株式の譲渡や贈与などによる取得に関して、会社(取締役会など)の承認を要する株式
C 取得請求権付株式 株主が会社に対して株式を取得する(買い取る)よう請求できる株式
D 取得条項付株式 一定の事由が生じた場合、会社が、株主の同意を得ずに株主から取得する(買い取る)ことのできる株式
E 全部取得条項付株式 株主総会の特別決議によって、会社が株主から全部を取得する(買い取る)ことのできる株式
F 拒否権付株式 通称黄金株。株主総会などの決議事項のうちの一定の事項について、「当該種類株主総会決議も必要」とすることで、結果的にその決議事項に対する拒否権を持つ株式
G 取締役・監査役の選・解任権付株式 当該種類株主による種類株主総会の決議だけで、取締役や監査役を選任もしくは解任できる株式
H 人的種類株式 通称VIP株。配当や残余財産分配、議決権などを株主ごとに異なる定めをした株式。「A株主は1株につき2議決権」などと決めることが可能
I 普通株式 「普通株式」は通称。上記1〜9の株式のように、特殊な条項を付加していない「一般的な株式」のことをいう

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