大きく2種類に分かれる株式会社
大別すると、株式会社には、小さな株式会社(株式譲渡制限会社)と大きな株式会社(株式非譲渡制限会社)の2種類があると考えていい。
定款(その会社の基本的な事項を定めた、いわば「会社の憲法」のようなもの)に、株式の譲渡を制限する旨を記載して株式譲渡制限会社になれば、「取締役1人」「監査役なし」など、従来の有限会社に似た株式会社を設立することができる。
一方、株式譲渡制限をしない場合は、従来の株式会社同様、取締役3人以上、監査役1人以上を選出する必要がある。独立当初、どちらを選ぶかとなれば、株式を譲渡制限して、小さな会社として始めるのが一般的である。
ちなみに既設の有限会社制度はすでに廃止されており、新たに有限会社を設立することはできない。ただし、既設有限会社は、商号中に有限会社の文字を残したまま存続することが許されている。
会社法における会社類型
合同会社は、共同事業に最適
合同会社は、出資者全員が有限責任であり、なおかつ意思決定方法や利益分配方法を自由に決められる唯一の会社類型である。
合同会社は、異質の人的資源を生かす事業に適している。たとえば合同会社設立に際し、AさんはBさんの倍額を出資。だが、事業はBさんの専門能力に負う。だから「両者の利益分配率は同等」と決めることも可能。株式会社は、出資比率=利益分配比率なので、こうした取り決めができない。この点に株式会社ではなく、合同会社を設立する最大のメリットがある。
株式会社と合同会社の違い
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合同会社 |
株式会社 |
譲渡制限会社 |
非譲渡制限会社 |
最低資本金 |
制限なし |
制限なし |
出資者 |
有限責任社員1人以上 |
発起設立:1人以上無制限 募集設立:2人以上無制限 |
出資の内容 |
現金、現物のみ |
現金、現物のみ |
出資者の責任範囲 |
出資額の範囲内 |
株式の引受額の範囲内 |
取締役の数 |
必要ない |
1人以上 |
3人以上 |
監査役の数 |
必要ない |
いなくてもよい |
1人以上 |
代表取締役 |
必要ない |
いなくてもよい |
1人以上 |
取締役会 |
必要ない |
置かなくてもよい |
必要 |
役員の任期 |
制限なし |
取締役:10年まで延長可 監査役:10年まで延長可 |
取締役:原則2年以下 監査役:原則4年以下 |
総 会 |
必要ない |
開催しなければならない |
最高議決機関 |
有限責任社員 |
株主総会 |
決算の公告 |
必要ない |
決算期ごとに行う |
出資分の譲渡 |
全社員の同意がなければできない |
取締役(会)の承認が必要 |
自由 |
組織変更 |
全社員の同意により、合名会社、合資会社、株式会社に変更できる |
株主総会の決議により、合名会社、合資会社、合同会社に変更できる |
※合同会社の欄の「社員」とは従業員のことではなく出資者のこと