依頼先は予算とスケジュールで選択
店舗物件を確保したら、内装、外装、設備などの工事を行う。といっても、方法は一様ではない。電気や配管など専門技術を要するところ以外はすべて自分でやる方法から、デザインは自分で行い、施工だけを工務店などに発注する方法、さらには基本構想段階からプロに依頼する方法など、さまざまである。どれを選ぶかは店舗コンセプトや予算、オープンまでの時間などによって決まってくる。が、最近は、低予算でも仕事を引き受けてくれるデザイン会社や内装会社も少なくない。プロに頼む予算はないと、あきらめずに声をかけてみよう。
気に入った店舗から内装業者を聞き出す
では、プロに依頼する場合、どうやって探すのか? インターネットで施工実績の画像をアップしている会社を検索する、専門誌で探す、知人のルートで当たるなどの方法もあるが、一番いいのは、自分が気に入っている店舗に出向き、その店のオーナーに発注先を教えてもらうこと。予算まで聞き出せれば申し分ない。
また、内装費は内容によっていくらでも跳ね上がる。複数業者から見積もりを取ることが大前提で、費用に関する条件もあらかじめきちんと決めておくことだ。なお、内装工事を行わずに開業する方法もある。いわゆる居抜きといわれるもので、前の借り主の内装をそのまま使う方法だ。不動産会社に居抜き物件を探している旨を伝えれば、リストを出してくれる。
店舗工事の流れ
- 1. 構想
- 自分の店の商品構成や特性を、「店舗」という器を使ってどう表現していくか。そのコンセプトを十分に練り、設計・施工者と共有していく。その際に、たとえば「アジアの混沌」とか「癒しの空間」など、キーワードを設定すると店づくりの狙いがイメージしやすい
- 2. 基本計画
- 構想にもとづいた、店の基本的なレイアウトを決定する。入り口の位置、動線はどうつくるか、バックヤードはどれくらい確保するか、また飲食店であれば厨房の面積・位置などを決定し、平面図にまとめていく。後悔しないためにも、しっかりとつめておきたい
- 3. 設計
- 作成されたパース、平面図、天井伏図、立面図をもとに、レイアウトの詳細を決め、許認可業種の場合は役所と折衝し、設備機器の計画・設計などを行う。これらの要素を付加して、実際に店をつくるための施工計画や実施設計図面が作成される
- 4. 見積もり
- これには、複数の業者に見積書と施工方法の提案書を出してもらって、その中から選定する「入札」方式と、あらかじめ特定の業者に施工を任せる「特命」方式の2種類の方法がある。それぞれにメリット・デメリットがあるので、予算など自分に合った条件で考えたい
- 5. 契約・発注
- ここで一番注意したいのは、工事代金の支払い方法。「着工時に1/3、中間時に1/3、竣工時に1/3」というのが一般的だが、オープンした後に手直し工事が発生することもあるので、最後の支払いは竣工してから1カ月後に、というかたちで相談するといい
- 6. 施工
- 工事に入ったら、近隣の店舗や住宅へのあいさつはきちんとしておく。また、現場のチェックは設計・施工者の説明を聞きながらマメに行い、使い勝手などに問題がある場合は相談し、調整していく。店が完成してからやり直すことを考えれば、出費も少額で済む
- 7. 引き渡し
- これは、施工業者との間で工事の完成を確認し合うこと。この時、工事引き渡し受書を作成して、残工事、追加工事などについて、きちんと話し合っておくことが大切だ。さらにこの後に、商品搬入や陳列、従業員教育などを行う開店準備期間を十分に取っておくこと
- 8. オープン
- さまざまな準備を終えて、いよいよ開店。この時に意外に困るのが、お祝いの花を飾る場所である。友人や知り合いからのお祝いを粗末にするわけにはいかないが、苦労してディスプレーした商品などを遮るようでは本末転倒。万全の準備をして開店にのぞみたい