アントレ-事業開始の準備-店舗物件を探す前に

9.事業開始の準備

02店舗物件を探す前に

立地もさることながら、商圏選びが重要

店舗を開業する場合は、業種や業態、ターゲット、競合状況、営業方針、さらに資金力などの条件にもとづいて、出店地域(商圏)や立地条件を絞っていくことになる。言い換えれば、店舗コンセプトに合致する場所を見つけ出すわけだ。店舗ビジネスの成否を決めるのは、一般に「場所が7割」といわれる。したがって具体的に物件を探し始める前に、立地条件もさることながら、まず、どの地域(商圏)に出店するのかを、よく考えてほしい。とかく「店舗を出すのなら、大きな都市の駅前や繁華街などが有利」と考えがちだが、そういうエリアではすでに複数の先輩同業者が営業をしている場合が多いし、何より店舗物件の取得費用や賃料が高額になってしまう。また、「どのような層に、どのようなベネフィットを提供する店なのか」を考えた場合、必ずしもそのような商圏や立地が適しているとも限らない。さらに重要な点として、店舗を開業しようとしている人と、その地域との相性という問題もある。データ的には好条件の商圏だとしても、「その街」の空気が好きになれないこともある。長く通い、あるいは暮らし、地域とともに営業していくことを考えると、自分の感覚と合うか合わないかは大きな問題だ。

出店地域のチェックポイント
チェックのキーワード
地域性 オフィス街、商業街、工業地帯、住宅街、郊外、文教地区、山林周辺、幹線道路沿い
住民層 単身者、学生、子どもなし夫婦、子どもあり夫婦、高年齢、2世帯、高・中・低額所得
人口格差 昼間・夜間差、平日・休日差、季節差(特に学生街の場合は要注意)
交通関連 電車、バス、駅、改札口、踏み切り、高架、乗り換え、乗降客
公共施設 役場・役所、警察署、学校、病院、公園、スポーツ施設、文化施設
有力施設 神社、仏閣、結婚式場、斎場、名所、旧跡、名勝
核店舗 百貨店、スーパー、大型専門店
競合店 競合店・類似店の規模、質、売り上げ傾向
商店街の種類 高級商店街、大衆的商店街、学生街、飲食街
商店街の取り組み キャンペーン、共同スペース、空き店舗対策、ホームページ
注意設備 危険物取り扱い工場、交通事故多発道路、氾濫河川、高圧線、反社会的団体拠点
将来変化 再開発、区画整理事業計画、道路拡幅計画、 交通機関の増発、大型店などの出店、マンションや団地などの住宅整備計画、公共施設の整備計画

競合なしの地方都市にチャンスあり

出店地域を想定する時、真っ先に浮かぶのは自分が地の利を得た場所だ。自宅周辺、元の勤務先の周辺、学生時代を過ごした地域、旅行で頻繁に訪れた地域、あるいは故郷。通勤の便や見込み客の有無を考えて、そうした場所をピックアップすることは間違えではないが、前述したように、商圏人口と競合状況という観点を加味して、それらの地域で本当に大丈夫なのかどうかチェックしてほしい。実は全国の地方都市には、十分な人口を擁しながら、同業店舗が出店していないケースも少なくない。いわば「求められる」かたちで、その地域に飛び込むという考えもある。いずれにしても出店候補地域には必ず出かけ、表を参考に、周辺環境や通行量などを丹念に調べよう。
なお、店舗出店のための支援企業が各地にある。自分ひとりでは難しいようなら、ネットなどで調べて相談してみてもいい。

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